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5 婚姻初夜後にラブラブ
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学園に戻った私を周りは素知らぬふりであたたかく迎え入れてくれた。貴族だけが集まるこの学園で、クルメ嬢が消えた噂は一つも立っていない。
恐らく閣下の口添えでもあったのだろう。
久々に登校するだけでも目立つのに、初日は公爵家の紋章がでかでかと刻まれた馬車で送られて、おまけに寮から出たら閣下の私兵を擁して授業を受けさせられる。下手な噂でも流せば切り捨てられそうな雰囲気だ。
「まぁ、ローズ様」
「もう体調は大丈夫ですの?」
「は、はい……」
「あまり無理はしないでね。わたくしのサロンでお茶でもいかが?」
「い、いえ、そんなっ、」
「無理は禁物よ。黙ってたってもう卒業ですもの」
「ええ、中等部から見知った皆様が一人も欠けることなく一緒に卒業できるって、素晴らしいことよ」
「そ、そうですね……」
約一週間休んでいただけなのに、大病でも患っていたかのような私に対する周りの態度。ステイル様も休み時間の度に私に会いにきては催促してくれと催促してくる。
「ローズ、何か欲しいものはないかい?」
「……とくには」
「そう言わず。そうだ、今度帝国から来た元皇宮料理人を食堂に呼んでランチしよう。なにが食べたい?」
学費に含まれている食堂のご飯とはまた別に、料理人を呼んでランチとは……。出張費や食材費、その他諸々、経費を計算する。
うむ。
嫁ぎ先の金庫から金貨が二、三百枚は余裕で消える。
「それより中庭で一緒にピクニックしませんか? 私、ステイル様の為に美味しい香草料理とプリンを手に入れたんですよ。あーんしてあげるから、ね?」
「っ、ローズ! き、君がそう望むなら!」
「やっと週末だ! 今までの遅れを取り戻そう! 石油王の末裔に魔導船クルーズ日帰り旅行に誘われているんだが、ローズはどこに行きたい? 空よりも、海がいいかなぁ?」
金に豪胆な石油王の末裔なら旅費は向こう持ちだろう。問題はその間に発動するステイル様の浪費癖だ。今日の旅行の記念にと魔導船を買い兼ねない。
「それより市井におりて年一回しか来ない移動サーカスを観に行きません? 一度も行ったことないんですよぉ」
「年一回か! それは観に行かなくてはな!」
「来週はローズと心が通った一ヶ月記念だ! 連休に入るし会場をかりて隣国から来た雑技団と舞踊団を呼んで盛大にパーティーと、」
「あ! 大勢に囲まれて騒ぐのも楽しそうですけど、私……ごめんなさい。本当はステイル様と、静かな場所で、二人きりで、ゆっくり過ごしたいんです。どうか連休は私に任せてもらえませんか?」
「……ロ、ローズ!? い、いいけど、そのっ……いいのかい?」
「はい。勿論」
連休中ということで、学園側には図書館を貸し切る届け出もした。勿論無料だ。ヲルガが「なら食堂の残り物でサンドイッチでも作っときますね~」と言っていたので、なら白パンも貰うよう頼んどいた。
「今日こそは! ローズ! 君の願いを叶えるまでは、私は断固として、」
「ステイル様の子供が欲しいです」
「…………」
「あっ……ご、ごめんなさい、私! つい口から本心がっ……結婚するまでは、無理なのにっ……だから言わないでおこうと思ったのにっ……毎日ステイル様が甘やかしてくるからっ、おねだり癖がついちゃった……あぁ、ごめんなさいステイル様……これ以上私のたがが外れないよう、どうか結婚まで甘やかさないでっ、お願いっ」
「……っ、いや、あ……え、結婚まで?」
「はい。結婚したら、叶えて下さいね?」
「え」
「私の欲しいもの……ステイル様がくれるの……楽しみに……してます、ね?」
「…………うん。絶対叶える」
その後ステイル様は無気味な程おとなしくなった。そして公爵家の跡継ぎとして以前より仕事に精を出すようになった。顔を見れば「何か欲しいものはないかい?」と言っていた面影は消え、顔を合わせれば上気した顔で静かに微笑むようになった。私も微笑み返した。スマイル無料で付き合いも順調な日々だった。
結婚式当日。
「ハッハハハ! やはりローズ嬢は凄いな! 婚姻までステイルの浪費癖をかわし続けた! 一族総出でも出来なかったことを! やはりオメロン家は凄いな! 銭ゲバと言われるだけある!」
閣下うるさい。
式場の準備室でぐったり。
ステイル様は男性用の準備室にいる。花嫁とは誓いのキスまで顔を合わせてはならないので、いま私の周りには公爵夫妻がいる。ステイル様には私の兄達やお父様がいま挨拶をしているところだろう。
そこでヲルガがから気になる報告があった。
「……ちらっと見てきましたが旦那様はこの会場で何も取ってませんでしたよ」
「……マジ? ……あの銭ゲバが?」
なら今日は人脈作りに精を出す気かな?
表向きは貴人の社交場として登録している娼館の経営も順調らしいし。てかパーティーの予約で一杯らしいが、まさか客に乱行パーティーでもさせているのだろうか。不安しかない。
そこで噂の当人が入ってきた。
およ? 目が合って挨拶のため立ち上がる。
花嫁路の予行は済んだし、何をしにきたのだろう?
「……ふーん。まぁまぁだな」
「ありがとうございます。後でよろしくお願い致しますわね」
「……ああ」
歯切れが悪いな。
公爵家繋がりの分家や招待客は釣れなかったのかな。
「ところでお父様……この花嫁衣装、お母様が着たものと違いますよね? まさか新調されたもの?」
公爵家から支度金は頂いていたが、全てお父様の懐に入った。私には銅貨一枚も入ってない。流石の銭ゲバ。だから結婚式では流行とは関係のない上質な花嫁衣装を着た、今は故人のお母様から借りたのだが、届いたのは今年流行った真珠がふんだんに使われた上質な花嫁衣装だった。
当日それを気まずそうな顔で持ってきたお父様の様子がおかしいのだ。
「……お前は、亡き妻に唯一似てるし、跡取りにすればよかった」
「……は、?」
第六子になに言ってんの?
頭大丈夫?
閣下が笑いながらお父様の肩を抱いた。
「ははは、余波はあるものですな。いいところに着地してよかった」
「っ、一生解けなければよかった」
「まぁまぁ、これからは食事にでも誘ったらどうです? 私も人のことは言えませんが、伯爵もあまり父親らしいこと、してませんでしょ?」
「チッ……三回に一回は奢れよ?」
何故お父様と食事に行かなければいけないのか。奢りでも嫌なのに。三回に一回は奢れ、とは定期的に食事に誘うつもりなのか。
「はいはい、定期的にネタは仕入れておきますから、毎回奢って下さいね」
「チッ……仕方ない」
そろそろ時間だ。
お父様の腕を取って花嫁路に向かう。
「いいか、そのブーケはアッシュナー辺境伯の婚約者候補であるメアリー嬢に投げろ。一割やる」
「えぇ、これ造花ですが真珠入りですよ?」
ヲルガに投げて後で半分こしようと思ってたのにぃ。
「お前が考えた結婚斡旋業を表でも軌道に乗せる。今回の斡旋が成立したら更に二割やる」
「わかりました」
表でもって、あれはお父様向きの裏稼業だろうに。
お母様が病で儚くなられて、お母様を喜ばす為にしていた薔薇の研究を辞めたと思ったら、急に銭ゲバになっちゃって……お陰で鍛えられたけどさ。まぁ、花嫁路を歩きながら父娘でする会話じゃない。
「ではステイル君、後は頼んだ」
「はい!」
お父様の腕を離し、ステイル様の腕をとる。
誓いの言葉と指輪の交換が済み、ステイル様が緊張しながら声をかけてきた。
「……ローズ」
厳かにウエディングベールが上げられた。
ステイル様は艶のある銀色で纏めた正装を身に付けている。……うーむ。これはまたなかなかの……。周りからの嫉妬も混じった歓声も納得の美形だ。そんな事を考えていたらステイル様から誓いのキスが一度ならず二度、三度と止まらない。五度目のキスは神官の咳払いで阻止された。
「綺麗だよ……凄く可愛い」
「ありがとう、ございます」
輝く金色の髪と、熱を帯びた琥珀色の瞳。
上背も最初の婚約時とは違い、今は見上げる程ある。美形ながらも顔の造りは男らしい。それに天使のような甘い笑みがのると、周りの歓声が何トーンか上がった。所謂黄色い声だ。
「愛してるよ……私のローズ。やっと君の、欲しいものがあげられる」
最近は静かに微笑まれることが多く、あまり意識していなかったステイル様の凄絶な色気を含む顔が間近に迫ってきた。
「さぁ、いこうか」
「っ、ぅ、ぁ……はぃ」
「私も……凄く我慢した。ようやく手に入れられる」
いきなりこんな豹変されても、この後初夜もあるのだが、大丈夫だろうか、私? いや婚約当初からこんな感じでこられていた方が色々もたなかった気はするが。
さぁ、後はブーケをメアリー嬢に投げて仕舞いだ。さっさと終わらせて夜までに気持ちを落ち着かせたい。
メアリー嬢を探すも、おや? お父様が視界に入った。これ以上にないほど眉間に皺を寄せて意味深な目でヲルガを見ている。まさかまた二割がどうとか、ヲルガを狙ってんじゃないだろうな?
……少し牽制しとかなければ。ヲルガの結婚相手は本人の望む人か、私が決める。その意も込めて半分貰えると興奮した顔で待ち構えているヲルガに勢いよくブーケを投げる。
うむ、ナイスキャッチ!
「次はヲルガの番よ、いい相手、探しとくからね~!」
「はぁ~い、ローズ奥様!」
うわ。めっちゃお父様に睨まれた。
げ。しかもヲルガからブーケを奪った。
まぁいい。隣国になど渡さないぞという意図は伝わっただろう。
あ、とうとう我慢できなくなったのか、ヲルガが【存在空気】を発動させて会場のスリッパでお父様の後頭部をひっぱたいた。いいぞもっとやれ。
◆ ◆ ◆ ◆
で、初夜。
公爵邸の侍女達に何度も風呂に入れられ、あがる度に体中こねくりまわされて、足の爪先までピッカピカにされた。
……夜までに落ち着く暇は無かった。
ほぼ全裸の透け透けのナイト着に着替えて顔を真っ赤にして待っていたら顔を真っ赤にしたステイル様が寝室に入ってきた。
はだけたガウンから彫刻のような筋肉美が覗く。
「……綺麗だ……真っ赤な薔薇みたいだ」
「…………ステイル様も、真っ赤な……彫刻のようです」
「あはは、……婚姻までに鍛えたんだ」
ローズに喜んでもらえるように、そう言って髪を掻き上げたステイル様が妖艶に微笑んだ。
ギシッと音を立ててベットに乗り上げてくる。
「可愛い……」
「っ、……」
あわ、あわわわわ。
「もう欲しいものは、とか聞かないから、……せめて、どうされたいかは、これから毎晩聞かせてね?」
「っ、ぁ、ぅ……ぅう……わ、かりました」
「……楽しみぃ」
いつ浪費癖が直ったのか、それを考える余裕はない。期待に満ちた顔で私の言葉を待ち構えるステイル様に、ではキスを、その後は今夜はお任せで。と瀕死の頭でステイル様に微笑み返した。
で、初夜から数日後。
新婚ということで、ステイル様も私もしばらくは予定を入れていなかった。
今日も昼過ぎに起きて、のんびりと一緒にご飯を食べて、ソファーで寛ぎながら異国の絵本を読んだり、お茶を飲んだり、二人でゴロゴロしている。
「ディジーニー小国は、お城に泊まれるそうですね」
「ああ、確かその国は今は共和国だね。その絵本は、当時の王女様が描いたものらしいよ」
「可愛いお城。お庭も……素敵」
「ディジーニー小国は、君主制度が終わった後に王城が解放されたんだ。そこに描かれている庭にもいくつか貴人用の宿泊ホテルが建ったそうだよ」
「……行ってみたいなぁ」
ぽろっともらした言葉に私はしまったと両手で口を塞いだ。ステイル様の眼がきらりと光る。
「……やっと言ってくれたね」
「結婚記念日にどうかと。来年の」
「来年はもうお腹が大きいと思うから、早めに行こう」
「……えーっと」
「その、……ローズと一緒に新婚旅行に行きたい」
その為に学園在学中に数ヵ月先の仕事も済ませておいた、そう言ったステイル様に思わず抱きついた。
「できる旦那様って素敵っ」
「……やった……ほめられた」
がばっと押し倒されてソファーに沈む。
「ねぇ……ここで甘い蜜月を過ごすのもいいけど、」
「ンっ、」
はらりとステイル様の前髪が顔にかかって、瞼を閉じるとねっとりとしたキスが落ちてきた。じゅるっと水音を立てられ、その音にびくびくと反応する体を押さえ付けられて、深いキスをする。ようやく唇を離したステイル様が言った
「……異国にいくと、たがが外れるらしいよ」
「っ、はぁ……はぁ……確かに、お父様いわく、懐が緩むそうです」
「懐って、色んな意味があるからね」
ローズの懐が緩んだら嬉しいなぁ、と胸元をつつ、と指でなぞられた。
「っ、な、なんです?」
「……もっと言葉に出して、言って欲しいなぁ」
「ぅ、ぁ……」
「結婚したら、おねだりしてくれるって言ってたのに。まだ貰ってないなぁ」
「……ス、ステイル様、の、子供が、欲しい、で、す」
「……可愛い。じゃあ私もおねだりする。一緒にディジーニー小国にいこ?」
「は、はぁい」
おねだりというより誘惑的なものに近い。いつそんなの覚えたのか。
そこで真っ青なヲルガが入ってきた。
「あわわわっ」
慌てて起き上がって着衣を整える。
ステイル様が不満そうだが、ヲルガの顔色を見て訝しげな顔をした。
「っ、はぁはぁ、緊急事態の為、不躾な入室、お許し下さい!」
走ってきたのか、ヲルガは全身汗だくだ。
ヲルガは今、侍女ではなく私の秘書として働いている。私が所持してる権利書(ライティ領にある店の管理)や、ヲルガの第二の武器で老若男女全てに対応できる【さとり】で隠れ家で占い師をさせたり、まぁ婚活も兼ねた人脈作りで自由に動いてもらっているのだ。
「どうしたの?」
「落ち着いて聞いて下さい! オメロン伯爵、あの人、おかしいんです!」
「落ち着きなさい、お父様はいつも変よ」
そう、人間だとか思わない方がいい。
「違うんです! 先日から隠れ家に訪れてきては、人脈作りの邪魔をしてくるんです!」
「……成る程、一枚噛ませろってことね」
もしかしてヲルガの第二の武器【さとり】に感付かれたか? 私も【さとり】をほんの少しだけ分けてもらったけど、金儲けにうってつけだもんな。
「違うんです! スリッパでひっぱたいてから、あの人おかしいんです!」
「落ち着いて。恐らくそれを脅しのネタに金儲けを企んでいるのだわ」
「違うんです! 私の父となにか約束もしたらしく、いつの間にか外堀が埋められているんです!」
「ええ、あれはそういう男よ」
「違うんです! 何かがおかしいんです! 嘘は一切言ってこないんです!」
それは確かにおかしい。
そこでステイル様が納得したようにポンっと手を叩いた。
「伯爵は再婚するつもりなのかもね」
「「ないないないない!」」
「あはは、謎が解けたよっ」
「「ないないないない!」」
ステイル様、謎解きの武器はどしたの?
一人だけすっきりしたような顔しちゃって。
「それよりヲルガ、新婚旅行はディジーニー小国に行こうと思うんだけど、」
「ええーっ、いいじゃないですか! いま一番売れてる風景画第一位がディジーニー小国を描いたものらしいですよっ」
うん。あれはほんと商売抜きでも観に行く価値あると思うわ。絵本だけで乙女心に火がついたもの。
「とりあえず着いたら私……はりきって遊んじゃうと思うのよ。そこでヲルガには、偵察も兼ねて一緒についてきて欲しくて」
「……あ、しかし」
「え? まさか行かないの?」
う~ん……と思案しだすヲルガ。
ライティ領の各店も軌道に乗ってるし、隠れ家での商売も順調だしね。
順調だからこそ、人は油断するものなのだけど、順調だからこそ今は側を離れたくないのよね。わかるわぁ~。
「ならお土産は期待しといて。でもあまり無理しちゃダメよ?」
「はいっ! お土産楽しみにしてますっ」
そう、順調だからこそ、人は油断するのだ。
約三ヶ月の新婚旅行で、メルヘンなディジーニー小国で浮かれまくって、ステイル様と弾けまくって、帰国するころには第一子を宿していたんだけど、……何故かヲルガが私の義母になり腹違いの子供まで宿しているなんて、後日それを真っ赤なヲルガと幸せそうなお父様から報告されるなんて、この時の私には知る由もなかった。
恐らく閣下の口添えでもあったのだろう。
久々に登校するだけでも目立つのに、初日は公爵家の紋章がでかでかと刻まれた馬車で送られて、おまけに寮から出たら閣下の私兵を擁して授業を受けさせられる。下手な噂でも流せば切り捨てられそうな雰囲気だ。
「まぁ、ローズ様」
「もう体調は大丈夫ですの?」
「は、はい……」
「あまり無理はしないでね。わたくしのサロンでお茶でもいかが?」
「い、いえ、そんなっ、」
「無理は禁物よ。黙ってたってもう卒業ですもの」
「ええ、中等部から見知った皆様が一人も欠けることなく一緒に卒業できるって、素晴らしいことよ」
「そ、そうですね……」
約一週間休んでいただけなのに、大病でも患っていたかのような私に対する周りの態度。ステイル様も休み時間の度に私に会いにきては催促してくれと催促してくる。
「ローズ、何か欲しいものはないかい?」
「……とくには」
「そう言わず。そうだ、今度帝国から来た元皇宮料理人を食堂に呼んでランチしよう。なにが食べたい?」
学費に含まれている食堂のご飯とはまた別に、料理人を呼んでランチとは……。出張費や食材費、その他諸々、経費を計算する。
うむ。
嫁ぎ先の金庫から金貨が二、三百枚は余裕で消える。
「それより中庭で一緒にピクニックしませんか? 私、ステイル様の為に美味しい香草料理とプリンを手に入れたんですよ。あーんしてあげるから、ね?」
「っ、ローズ! き、君がそう望むなら!」
「やっと週末だ! 今までの遅れを取り戻そう! 石油王の末裔に魔導船クルーズ日帰り旅行に誘われているんだが、ローズはどこに行きたい? 空よりも、海がいいかなぁ?」
金に豪胆な石油王の末裔なら旅費は向こう持ちだろう。問題はその間に発動するステイル様の浪費癖だ。今日の旅行の記念にと魔導船を買い兼ねない。
「それより市井におりて年一回しか来ない移動サーカスを観に行きません? 一度も行ったことないんですよぉ」
「年一回か! それは観に行かなくてはな!」
「来週はローズと心が通った一ヶ月記念だ! 連休に入るし会場をかりて隣国から来た雑技団と舞踊団を呼んで盛大にパーティーと、」
「あ! 大勢に囲まれて騒ぐのも楽しそうですけど、私……ごめんなさい。本当はステイル様と、静かな場所で、二人きりで、ゆっくり過ごしたいんです。どうか連休は私に任せてもらえませんか?」
「……ロ、ローズ!? い、いいけど、そのっ……いいのかい?」
「はい。勿論」
連休中ということで、学園側には図書館を貸し切る届け出もした。勿論無料だ。ヲルガが「なら食堂の残り物でサンドイッチでも作っときますね~」と言っていたので、なら白パンも貰うよう頼んどいた。
「今日こそは! ローズ! 君の願いを叶えるまでは、私は断固として、」
「ステイル様の子供が欲しいです」
「…………」
「あっ……ご、ごめんなさい、私! つい口から本心がっ……結婚するまでは、無理なのにっ……だから言わないでおこうと思ったのにっ……毎日ステイル様が甘やかしてくるからっ、おねだり癖がついちゃった……あぁ、ごめんなさいステイル様……これ以上私のたがが外れないよう、どうか結婚まで甘やかさないでっ、お願いっ」
「……っ、いや、あ……え、結婚まで?」
「はい。結婚したら、叶えて下さいね?」
「え」
「私の欲しいもの……ステイル様がくれるの……楽しみに……してます、ね?」
「…………うん。絶対叶える」
その後ステイル様は無気味な程おとなしくなった。そして公爵家の跡継ぎとして以前より仕事に精を出すようになった。顔を見れば「何か欲しいものはないかい?」と言っていた面影は消え、顔を合わせれば上気した顔で静かに微笑むようになった。私も微笑み返した。スマイル無料で付き合いも順調な日々だった。
結婚式当日。
「ハッハハハ! やはりローズ嬢は凄いな! 婚姻までステイルの浪費癖をかわし続けた! 一族総出でも出来なかったことを! やはりオメロン家は凄いな! 銭ゲバと言われるだけある!」
閣下うるさい。
式場の準備室でぐったり。
ステイル様は男性用の準備室にいる。花嫁とは誓いのキスまで顔を合わせてはならないので、いま私の周りには公爵夫妻がいる。ステイル様には私の兄達やお父様がいま挨拶をしているところだろう。
そこでヲルガがから気になる報告があった。
「……ちらっと見てきましたが旦那様はこの会場で何も取ってませんでしたよ」
「……マジ? ……あの銭ゲバが?」
なら今日は人脈作りに精を出す気かな?
表向きは貴人の社交場として登録している娼館の経営も順調らしいし。てかパーティーの予約で一杯らしいが、まさか客に乱行パーティーでもさせているのだろうか。不安しかない。
そこで噂の当人が入ってきた。
およ? 目が合って挨拶のため立ち上がる。
花嫁路の予行は済んだし、何をしにきたのだろう?
「……ふーん。まぁまぁだな」
「ありがとうございます。後でよろしくお願い致しますわね」
「……ああ」
歯切れが悪いな。
公爵家繋がりの分家や招待客は釣れなかったのかな。
「ところでお父様……この花嫁衣装、お母様が着たものと違いますよね? まさか新調されたもの?」
公爵家から支度金は頂いていたが、全てお父様の懐に入った。私には銅貨一枚も入ってない。流石の銭ゲバ。だから結婚式では流行とは関係のない上質な花嫁衣装を着た、今は故人のお母様から借りたのだが、届いたのは今年流行った真珠がふんだんに使われた上質な花嫁衣装だった。
当日それを気まずそうな顔で持ってきたお父様の様子がおかしいのだ。
「……お前は、亡き妻に唯一似てるし、跡取りにすればよかった」
「……は、?」
第六子になに言ってんの?
頭大丈夫?
閣下が笑いながらお父様の肩を抱いた。
「ははは、余波はあるものですな。いいところに着地してよかった」
「っ、一生解けなければよかった」
「まぁまぁ、これからは食事にでも誘ったらどうです? 私も人のことは言えませんが、伯爵もあまり父親らしいこと、してませんでしょ?」
「チッ……三回に一回は奢れよ?」
何故お父様と食事に行かなければいけないのか。奢りでも嫌なのに。三回に一回は奢れ、とは定期的に食事に誘うつもりなのか。
「はいはい、定期的にネタは仕入れておきますから、毎回奢って下さいね」
「チッ……仕方ない」
そろそろ時間だ。
お父様の腕を取って花嫁路に向かう。
「いいか、そのブーケはアッシュナー辺境伯の婚約者候補であるメアリー嬢に投げろ。一割やる」
「えぇ、これ造花ですが真珠入りですよ?」
ヲルガに投げて後で半分こしようと思ってたのにぃ。
「お前が考えた結婚斡旋業を表でも軌道に乗せる。今回の斡旋が成立したら更に二割やる」
「わかりました」
表でもって、あれはお父様向きの裏稼業だろうに。
お母様が病で儚くなられて、お母様を喜ばす為にしていた薔薇の研究を辞めたと思ったら、急に銭ゲバになっちゃって……お陰で鍛えられたけどさ。まぁ、花嫁路を歩きながら父娘でする会話じゃない。
「ではステイル君、後は頼んだ」
「はい!」
お父様の腕を離し、ステイル様の腕をとる。
誓いの言葉と指輪の交換が済み、ステイル様が緊張しながら声をかけてきた。
「……ローズ」
厳かにウエディングベールが上げられた。
ステイル様は艶のある銀色で纏めた正装を身に付けている。……うーむ。これはまたなかなかの……。周りからの嫉妬も混じった歓声も納得の美形だ。そんな事を考えていたらステイル様から誓いのキスが一度ならず二度、三度と止まらない。五度目のキスは神官の咳払いで阻止された。
「綺麗だよ……凄く可愛い」
「ありがとう、ございます」
輝く金色の髪と、熱を帯びた琥珀色の瞳。
上背も最初の婚約時とは違い、今は見上げる程ある。美形ながらも顔の造りは男らしい。それに天使のような甘い笑みがのると、周りの歓声が何トーンか上がった。所謂黄色い声だ。
「愛してるよ……私のローズ。やっと君の、欲しいものがあげられる」
最近は静かに微笑まれることが多く、あまり意識していなかったステイル様の凄絶な色気を含む顔が間近に迫ってきた。
「さぁ、いこうか」
「っ、ぅ、ぁ……はぃ」
「私も……凄く我慢した。ようやく手に入れられる」
いきなりこんな豹変されても、この後初夜もあるのだが、大丈夫だろうか、私? いや婚約当初からこんな感じでこられていた方が色々もたなかった気はするが。
さぁ、後はブーケをメアリー嬢に投げて仕舞いだ。さっさと終わらせて夜までに気持ちを落ち着かせたい。
メアリー嬢を探すも、おや? お父様が視界に入った。これ以上にないほど眉間に皺を寄せて意味深な目でヲルガを見ている。まさかまた二割がどうとか、ヲルガを狙ってんじゃないだろうな?
……少し牽制しとかなければ。ヲルガの結婚相手は本人の望む人か、私が決める。その意も込めて半分貰えると興奮した顔で待ち構えているヲルガに勢いよくブーケを投げる。
うむ、ナイスキャッチ!
「次はヲルガの番よ、いい相手、探しとくからね~!」
「はぁ~い、ローズ奥様!」
うわ。めっちゃお父様に睨まれた。
げ。しかもヲルガからブーケを奪った。
まぁいい。隣国になど渡さないぞという意図は伝わっただろう。
あ、とうとう我慢できなくなったのか、ヲルガが【存在空気】を発動させて会場のスリッパでお父様の後頭部をひっぱたいた。いいぞもっとやれ。
◆ ◆ ◆ ◆
で、初夜。
公爵邸の侍女達に何度も風呂に入れられ、あがる度に体中こねくりまわされて、足の爪先までピッカピカにされた。
……夜までに落ち着く暇は無かった。
ほぼ全裸の透け透けのナイト着に着替えて顔を真っ赤にして待っていたら顔を真っ赤にしたステイル様が寝室に入ってきた。
はだけたガウンから彫刻のような筋肉美が覗く。
「……綺麗だ……真っ赤な薔薇みたいだ」
「…………ステイル様も、真っ赤な……彫刻のようです」
「あはは、……婚姻までに鍛えたんだ」
ローズに喜んでもらえるように、そう言って髪を掻き上げたステイル様が妖艶に微笑んだ。
ギシッと音を立ててベットに乗り上げてくる。
「可愛い……」
「っ、……」
あわ、あわわわわ。
「もう欲しいものは、とか聞かないから、……せめて、どうされたいかは、これから毎晩聞かせてね?」
「っ、ぁ、ぅ……ぅう……わ、かりました」
「……楽しみぃ」
いつ浪費癖が直ったのか、それを考える余裕はない。期待に満ちた顔で私の言葉を待ち構えるステイル様に、ではキスを、その後は今夜はお任せで。と瀕死の頭でステイル様に微笑み返した。
で、初夜から数日後。
新婚ということで、ステイル様も私もしばらくは予定を入れていなかった。
今日も昼過ぎに起きて、のんびりと一緒にご飯を食べて、ソファーで寛ぎながら異国の絵本を読んだり、お茶を飲んだり、二人でゴロゴロしている。
「ディジーニー小国は、お城に泊まれるそうですね」
「ああ、確かその国は今は共和国だね。その絵本は、当時の王女様が描いたものらしいよ」
「可愛いお城。お庭も……素敵」
「ディジーニー小国は、君主制度が終わった後に王城が解放されたんだ。そこに描かれている庭にもいくつか貴人用の宿泊ホテルが建ったそうだよ」
「……行ってみたいなぁ」
ぽろっともらした言葉に私はしまったと両手で口を塞いだ。ステイル様の眼がきらりと光る。
「……やっと言ってくれたね」
「結婚記念日にどうかと。来年の」
「来年はもうお腹が大きいと思うから、早めに行こう」
「……えーっと」
「その、……ローズと一緒に新婚旅行に行きたい」
その為に学園在学中に数ヵ月先の仕事も済ませておいた、そう言ったステイル様に思わず抱きついた。
「できる旦那様って素敵っ」
「……やった……ほめられた」
がばっと押し倒されてソファーに沈む。
「ねぇ……ここで甘い蜜月を過ごすのもいいけど、」
「ンっ、」
はらりとステイル様の前髪が顔にかかって、瞼を閉じるとねっとりとしたキスが落ちてきた。じゅるっと水音を立てられ、その音にびくびくと反応する体を押さえ付けられて、深いキスをする。ようやく唇を離したステイル様が言った
「……異国にいくと、たがが外れるらしいよ」
「っ、はぁ……はぁ……確かに、お父様いわく、懐が緩むそうです」
「懐って、色んな意味があるからね」
ローズの懐が緩んだら嬉しいなぁ、と胸元をつつ、と指でなぞられた。
「っ、な、なんです?」
「……もっと言葉に出して、言って欲しいなぁ」
「ぅ、ぁ……」
「結婚したら、おねだりしてくれるって言ってたのに。まだ貰ってないなぁ」
「……ス、ステイル様、の、子供が、欲しい、で、す」
「……可愛い。じゃあ私もおねだりする。一緒にディジーニー小国にいこ?」
「は、はぁい」
おねだりというより誘惑的なものに近い。いつそんなの覚えたのか。
そこで真っ青なヲルガが入ってきた。
「あわわわっ」
慌てて起き上がって着衣を整える。
ステイル様が不満そうだが、ヲルガの顔色を見て訝しげな顔をした。
「っ、はぁはぁ、緊急事態の為、不躾な入室、お許し下さい!」
走ってきたのか、ヲルガは全身汗だくだ。
ヲルガは今、侍女ではなく私の秘書として働いている。私が所持してる権利書(ライティ領にある店の管理)や、ヲルガの第二の武器で老若男女全てに対応できる【さとり】で隠れ家で占い師をさせたり、まぁ婚活も兼ねた人脈作りで自由に動いてもらっているのだ。
「どうしたの?」
「落ち着いて聞いて下さい! オメロン伯爵、あの人、おかしいんです!」
「落ち着きなさい、お父様はいつも変よ」
そう、人間だとか思わない方がいい。
「違うんです! 先日から隠れ家に訪れてきては、人脈作りの邪魔をしてくるんです!」
「……成る程、一枚噛ませろってことね」
もしかしてヲルガの第二の武器【さとり】に感付かれたか? 私も【さとり】をほんの少しだけ分けてもらったけど、金儲けにうってつけだもんな。
「違うんです! スリッパでひっぱたいてから、あの人おかしいんです!」
「落ち着いて。恐らくそれを脅しのネタに金儲けを企んでいるのだわ」
「違うんです! 私の父となにか約束もしたらしく、いつの間にか外堀が埋められているんです!」
「ええ、あれはそういう男よ」
「違うんです! 何かがおかしいんです! 嘘は一切言ってこないんです!」
それは確かにおかしい。
そこでステイル様が納得したようにポンっと手を叩いた。
「伯爵は再婚するつもりなのかもね」
「「ないないないない!」」
「あはは、謎が解けたよっ」
「「ないないないない!」」
ステイル様、謎解きの武器はどしたの?
一人だけすっきりしたような顔しちゃって。
「それよりヲルガ、新婚旅行はディジーニー小国に行こうと思うんだけど、」
「ええーっ、いいじゃないですか! いま一番売れてる風景画第一位がディジーニー小国を描いたものらしいですよっ」
うん。あれはほんと商売抜きでも観に行く価値あると思うわ。絵本だけで乙女心に火がついたもの。
「とりあえず着いたら私……はりきって遊んじゃうと思うのよ。そこでヲルガには、偵察も兼ねて一緒についてきて欲しくて」
「……あ、しかし」
「え? まさか行かないの?」
う~ん……と思案しだすヲルガ。
ライティ領の各店も軌道に乗ってるし、隠れ家での商売も順調だしね。
順調だからこそ、人は油断するものなのだけど、順調だからこそ今は側を離れたくないのよね。わかるわぁ~。
「ならお土産は期待しといて。でもあまり無理しちゃダメよ?」
「はいっ! お土産楽しみにしてますっ」
そう、順調だからこそ、人は油断するのだ。
約三ヶ月の新婚旅行で、メルヘンなディジーニー小国で浮かれまくって、ステイル様と弾けまくって、帰国するころには第一子を宿していたんだけど、……何故かヲルガが私の義母になり腹違いの子供まで宿しているなんて、後日それを真っ赤なヲルガと幸せそうなお父様から報告されるなんて、この時の私には知る由もなかった。
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