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Spring Season
第28投
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セカンドに足を進めた。遥夏は久留実の背中をじっと眺めていた。
セットポジションから投球モーションに入る間までに一回こちらを見つめた。
――けん制が来る。
大きくリードを取っていた遥夏が帰塁する。プレートを外してセカンドにけん制をした久留実の送球はセカンドベースにピタリと来たが余裕でセーフになる。
「ねぇクルミにクセあるNO?」
タッチを諦めたソフィーが笑いながら遥夏に尋ねる。
「クセですか……あなたならなんたなく分かってると思ってましたが」
「あぁやっぱそうka」
ソフィーはボールを久留実に返球して、「クルミけん制ナシne、バッター勝負」
遥夏はユニフォームの土を払いながら、ソフィーがセカンドベースを離れるのを確認すると、また大きくリードを取り始める。
久留実のけん制はワンパターンだ。昔からけん制する時は一回ランナーを見てから約5秒以内にけん制がくる。5秒を過ぎればほぼけん制はこない。逆に素早く二度ランナーを視認した時はすぐに投球モーションを始動する。
タイミングさえつかんでしまえば盗塁は容易かった。
――視認が二回。
遥夏は果敢に三塁に盗塁した。
久留実のボールは高めに浮き真咲はジャンプしながら素早く持ちかえ三塁に送球する。
セーフ!
三塁審の腕が横に開く。
「クッ」
真咲はレガースを叩き悔しさをにじませた。ツーアウトながらランナーは三塁。おまけにカウントはツーボール。言わずもがなバッター有利なカウントだ。
「久留実これで盗塁はないバッターに集中してこう」
真咲は微笑みながら久留実に声をかけたが、ランナー二塁と三塁では投球へのプレッシャーがまるで違う。
まず三振をとるために有効な下方向に変化する球種がパスボールやワイルドピッチの懸念で投げにくくなる。久留実の場合はストレートしか球種がないためあまり関係はないが、それでもコントロールには最大の注意を払わなければならない。
――神経質になりすぎなければいいけど。
右ピッチャーの久留実は三塁に到達した遥夏とまっ正面から対峙することになる。
――バッターに集中しないと。
スパイクで土を蹴る音。三塁から感じるプレッシャーに押しつぶされそうになる。
ボール、フォアボール。
二者連続のフォアボール。これで一、三塁。
――宮木さん分かってますよね。
遥夏は一塁ランナーの宮木にアイコンタクトを送ると宮木はそれに答えるようにヘルメットのつばを触り答えた。
一塁ランナーを一度見た。宮木はじりじりとリードを広め、久留実が一塁にけん制したと同時にスタートを切った。
「よし!」
ファーストの琴音はランナーを出し抜いたと言わんばかりに宮木の背中を追いかける。
「琴音バックホーム!」
真咲の声が球場にこだまする。
「えっ」
試合経験の浅い琴音は目の前のランナーしか意識が出来てなかった分、反応が遅れた。
「コトネホームはもう無理yo、そのままランナーころすNE!]
セカンドベースにカバーに入ったソフィーは自分のところに返球を呼んだ。
アウト!
宮木は遥夏がホームインしたことを確認すると大人しくタッチされアウトになる。
「ナイス走塁」
「どうも、キャプテン」
指宿はベンチに帰ってきた遥夏にプロテクターを渡して、守備位置に向かった。
セットポジションから投球モーションに入る間までに一回こちらを見つめた。
――けん制が来る。
大きくリードを取っていた遥夏が帰塁する。プレートを外してセカンドにけん制をした久留実の送球はセカンドベースにピタリと来たが余裕でセーフになる。
「ねぇクルミにクセあるNO?」
タッチを諦めたソフィーが笑いながら遥夏に尋ねる。
「クセですか……あなたならなんたなく分かってると思ってましたが」
「あぁやっぱそうka」
ソフィーはボールを久留実に返球して、「クルミけん制ナシne、バッター勝負」
遥夏はユニフォームの土を払いながら、ソフィーがセカンドベースを離れるのを確認すると、また大きくリードを取り始める。
久留実のけん制はワンパターンだ。昔からけん制する時は一回ランナーを見てから約5秒以内にけん制がくる。5秒を過ぎればほぼけん制はこない。逆に素早く二度ランナーを視認した時はすぐに投球モーションを始動する。
タイミングさえつかんでしまえば盗塁は容易かった。
――視認が二回。
遥夏は果敢に三塁に盗塁した。
久留実のボールは高めに浮き真咲はジャンプしながら素早く持ちかえ三塁に送球する。
セーフ!
三塁審の腕が横に開く。
「クッ」
真咲はレガースを叩き悔しさをにじませた。ツーアウトながらランナーは三塁。おまけにカウントはツーボール。言わずもがなバッター有利なカウントだ。
「久留実これで盗塁はないバッターに集中してこう」
真咲は微笑みながら久留実に声をかけたが、ランナー二塁と三塁では投球へのプレッシャーがまるで違う。
まず三振をとるために有効な下方向に変化する球種がパスボールやワイルドピッチの懸念で投げにくくなる。久留実の場合はストレートしか球種がないためあまり関係はないが、それでもコントロールには最大の注意を払わなければならない。
――神経質になりすぎなければいいけど。
右ピッチャーの久留実は三塁に到達した遥夏とまっ正面から対峙することになる。
――バッターに集中しないと。
スパイクで土を蹴る音。三塁から感じるプレッシャーに押しつぶされそうになる。
ボール、フォアボール。
二者連続のフォアボール。これで一、三塁。
――宮木さん分かってますよね。
遥夏は一塁ランナーの宮木にアイコンタクトを送ると宮木はそれに答えるようにヘルメットのつばを触り答えた。
一塁ランナーを一度見た。宮木はじりじりとリードを広め、久留実が一塁にけん制したと同時にスタートを切った。
「よし!」
ファーストの琴音はランナーを出し抜いたと言わんばかりに宮木の背中を追いかける。
「琴音バックホーム!」
真咲の声が球場にこだまする。
「えっ」
試合経験の浅い琴音は目の前のランナーしか意識が出来てなかった分、反応が遅れた。
「コトネホームはもう無理yo、そのままランナーころすNE!]
セカンドベースにカバーに入ったソフィーは自分のところに返球を呼んだ。
アウト!
宮木は遥夏がホームインしたことを確認すると大人しくタッチされアウトになる。
「ナイス走塁」
「どうも、キャプテン」
指宿はベンチに帰ってきた遥夏にプロテクターを渡して、守備位置に向かった。
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