敵とリア凸したら国宝級イケメンだった…まじかよ

ふわりんしず。

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今、通話出来ます?

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今日も無事仕事を終わらせて、いつもの時間帯にモルトを開いていた。昨日は酒を煽ってからゲームしたが、今日は素面。

昨日負けたのはスーパーヨッパ(酔っ払い)だったから、と思い直し当分禁酒する事にした。テッポチャに負けた事は当然悔しいが、何が1番悔しいってアンタ…マスコットキャラだとバカにして使わなかったキャラに何度もキルされまくったり、

初絡みでテッポチャに“弱いですね”なんて、俺の存在そのものをバッサリと否定されたのが1番腹が立つ。と言うか昨日あのあと泣いた。


打倒テッポチャ。打倒糞野郎。
いや、わんちゃん中身JKとかないかなぁ…いやねぇなきっと。名前に“ぽちゃ”を付けているあたり、体型は間違いなくぽっちゃりさんだろう。それ以外認めない。

昨日はテッポチャのお陰で悪夢に魘され、起きた時には嫌な汗を大量にかいていて

朝直ぐにシャワーを浴びた。テッポチャが夢の中で嘲笑いながら俺の首を刈る夢は…ある意味リアルすぎて笑えなかった。

なんなら軽くトラウマになりかけているが…トラウマってのは乗り越えるためにある。


そんなこんなで今日もマッチボタンをタップした。




『テッポチャ来いテッポチャ来い…来い来い来いこぉおおおいっ!』

テッポチャ検索で既にログインしている事は把握済み。なんならテッポチャがマッチボタンを押した瞬間“マッチ中”の文字まで確認している。同じタイミングでボタンを押せばあら不思議。敵チームにテッポチャがいるじゃなーい、あらやだ偶然♡的な展開の出来上がり。

今日こそは倒す、と呪文の様に唱えながら

マッチング中の画面を睨め付けた。



そして、“ピロン”というマッチング成功のスマホ音と共に、キャラクター選択画面へ移行した。

敵に誰が居るかまだ現段階では分からないが、メンバーは既に表示されており

皆、次々とキャラクターを選択していた。


(んー…俺はやっぱ火属性かな)

身内にさして興味はないが、一応だれがどのキャラを選んでいるのか確認のため

視線をそちらに流してみれば、

ある一点で、俺は息を飲む事となった。



同じタイミングでログインし、同じ時間にマッチボタンを押した俺。

間違いなくヤツと被ると思っていた。それは、敵として。


『なっ、…な、なっ、ななななんでお前がこっち側なんだよぉ!?』



マッチした味方の画面、つまりアバターカードに予想外の名前が記されていた。

“テッポチャ”と。













◆◆◆

倒す事だけを考えていた相手がまさかの味方。昨日の敵は今日の敵…ではなく、味方。

強いとは思っていたが味方として一緒にプレイをすれば更にその強さは実感できた。

味方が敵に囲まれた瞬間HPの回復魔法。かと思えば敵の足元をシャボン玉で固めて味方に攻撃チャンスを分かりやすく作る。

キャラクターにもよるが敵が逃げない様に足元に鎖を巻きつけたり、テッポチャがした様にシャボン玉で足元を固めたり、あとは箱みたいなのに1秒だけ閉じ込めたりと

補助の魔法も色々。属性も様々。鎖なら土属性、シャボン玉なら水属性みたく別れている。



まぁ俺がちょいちょい死にかけるせいで、

昨日初めて絡んだテッポチャから

“下手くそ”
“ノロマ”
“脳みその『ミソ』はどこに置いて来たんですか”
“あり得ない。周りが見えていなさすぎる”
“自己中プレイするなら他所でして”

と、個人のメッセージが荒らされまくり…


寛容な俺でも流石に試合中、『うるせぇええ!!!カス!あほっ!うんこ!』とボイスすら切っているスマホに1人でキレた。

そんな俺はどうやらテッポチャの中で『お荷物』認定されたらしく、



試合の後半に差し掛かった頃、唐突にメッセージが飛んできた

“今通話できますか?というか出ろ”

















※思ったよりやや長くなるので、もう1ページ追加で書かせて下さいませ。

【次回:嫌いではないですよその戦い方】


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