263 / 942
第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者
第263話 不気味な魔物トカシボウ
しおりを挟む
タチクサ町。
一本ヅノをしたのっぺらぼうに歯がむき出しの魔物がいた。体長およそ4・5メートル。大きなおなかに小さな足どろりと垂れ下がった両腕がある。
ドッドッドッと走っているようだった。何故なら逃げている人を追いかけているみたいだったから。
ハァハァハァと息を切らす逃走者。その汚らしい恰好をした男は瓦礫を伝い走っていく。
そして地面に落ちていた木の棒を拾い。
「く、くっそーーこの町から出て行けーー!!」
ブンと木の棒を魔物のお腹に突き刺すように投げた。
当たったがブニンと木の棒を弾くお腹。走るのを中断して失速した男は魔物の伸びる手に捕まりそうになった。
「うわぁ!!」
ザッとロードが抱えて魔物の手をかいくぐっていく。
「大丈夫か?」
抱えた男性を安全な場所に降ろすロード。
「あ、ああ、アンタは?」
「勇者ロードだ」
「あの人は無事か……」
魔物と逃げまどっていた男を見てハズレが言葉を零した。
「ひぃ――何あの悍ましい魔物」
スワンがあまりの不気味な格好をした魔物に気持ち悪さを覚える。
「トカシボウか……」
ロードが魔物を見て呟く。
「何だそりゃ!?」
今まで逃げまどっていた男が訊く。
「辺りにある物を口に含み飲み込む習性を持つ危険度の高い魔物だ」
トカシボウと呼ばれる魔物はその辺に落ちていた家の木材を手に取って口の中へ入れていく。
ガリガリガリと歯で噛み砕き、ゴクンと喉から飲み込んで行く。
「家の瓦礫を食べた!!」
スワンがロードの元へ近づきながら言う。
「気を付けろ!! 奴の唾液は瓦礫をも溶かす!!」
ハズレが剣を構えて注意を促す。
「あなたは離れていた方がいい」
ロードが男を背に立つ。
「わかった、頼んだぞ」
「待ってこの辺りに井戸はない? あったら教えて!」
スワンが男を呼び止める。
「こんな時に? まぁいいついて来い」
ボウウウウウ~~~~ゲップをするトカシボウ。
「来るぞハズレ」
「ああ、けどいつもみたいに最初の一撃で両断しないでくれ……奴の腹から胃酸が飛びだしたら大惨事だ」
「魔物大図鑑で腹の中に物質を溶かす液体が入っていることは学んだ」
「けっこう……」
並ぶ二人にトカシボウは顔を突っ込ませてきた。
ザッザッと避ける二人。ロードは蹴りで家の残骸である木片をトカシボウに向かって次々と打ち込む。
「ボウウウウウ~~」
その背後には炎の剣を構えたハズレが控えていた。
「飛べ炎よ!!」
炎の斬撃がトカシボウを襲う。
(あの火力ハズレ本気だな)
トカシボウが焼けていく様を見てロードは思う。
(危険な奴だからなぁ、早々に決着をつけたい)
そう考えたハズレだったが豪火の中から軽くジャンプして炎の牢獄から抜け出すトカシボウ。
「「――――!!」」
ズンとハズレのいる場所にのしかかっていく。それをロードが間一髪のところで抱えて回避した。
「ロード、助かった」
「礼は後だ……」
ロードはトカシボウをよく観察していた。
「ボバアアアアアア!!」
無数の粒となった飛び散る唾液がロードとハズレに襲い掛かる。それは溶解性のある唾液。
ロードはすぐさま自分の足元にあった木の壁を持ち上げて、盾にして攻撃をやり過ごす。
守らなくていい範囲にも唾液が飛び散る。
この時、
(これが溶解唾か俺達の剣で受けるなら問題なさそうだな)
ハズレは金閣寺製の剣なら唾液ぐらいは受け切れると判断した。
「ハズレ……こいつフツーのトカシボウではないぞ」
木の盾を押し返したロードが言う。
「ん? どういうことだ?」
「木片の攻撃はあのブヨブヨした身体と肌で効果がないのはフツーのトカシボウと同じだ。唾も剣で触れても問題ないだろう。が、唾の量が多すぎる、それにいくら燃えない肌とは言え、ハズレの火力が全く通用しないのはおかしい。それにどこか俊敏だ。歯の力も強い」
「確かに……だったら」
「あれはこの異世界の環境で強く育っているトカシボウだ」
一本ヅノをしたのっぺらぼうに歯がむき出しの魔物がいた。体長およそ4・5メートル。大きなおなかに小さな足どろりと垂れ下がった両腕がある。
ドッドッドッと走っているようだった。何故なら逃げている人を追いかけているみたいだったから。
ハァハァハァと息を切らす逃走者。その汚らしい恰好をした男は瓦礫を伝い走っていく。
そして地面に落ちていた木の棒を拾い。
「く、くっそーーこの町から出て行けーー!!」
ブンと木の棒を魔物のお腹に突き刺すように投げた。
当たったがブニンと木の棒を弾くお腹。走るのを中断して失速した男は魔物の伸びる手に捕まりそうになった。
「うわぁ!!」
ザッとロードが抱えて魔物の手をかいくぐっていく。
「大丈夫か?」
抱えた男性を安全な場所に降ろすロード。
「あ、ああ、アンタは?」
「勇者ロードだ」
「あの人は無事か……」
魔物と逃げまどっていた男を見てハズレが言葉を零した。
「ひぃ――何あの悍ましい魔物」
スワンがあまりの不気味な格好をした魔物に気持ち悪さを覚える。
「トカシボウか……」
ロードが魔物を見て呟く。
「何だそりゃ!?」
今まで逃げまどっていた男が訊く。
「辺りにある物を口に含み飲み込む習性を持つ危険度の高い魔物だ」
トカシボウと呼ばれる魔物はその辺に落ちていた家の木材を手に取って口の中へ入れていく。
ガリガリガリと歯で噛み砕き、ゴクンと喉から飲み込んで行く。
「家の瓦礫を食べた!!」
スワンがロードの元へ近づきながら言う。
「気を付けろ!! 奴の唾液は瓦礫をも溶かす!!」
ハズレが剣を構えて注意を促す。
「あなたは離れていた方がいい」
ロードが男を背に立つ。
「わかった、頼んだぞ」
「待ってこの辺りに井戸はない? あったら教えて!」
スワンが男を呼び止める。
「こんな時に? まぁいいついて来い」
ボウウウウウ~~~~ゲップをするトカシボウ。
「来るぞハズレ」
「ああ、けどいつもみたいに最初の一撃で両断しないでくれ……奴の腹から胃酸が飛びだしたら大惨事だ」
「魔物大図鑑で腹の中に物質を溶かす液体が入っていることは学んだ」
「けっこう……」
並ぶ二人にトカシボウは顔を突っ込ませてきた。
ザッザッと避ける二人。ロードは蹴りで家の残骸である木片をトカシボウに向かって次々と打ち込む。
「ボウウウウウ~~」
その背後には炎の剣を構えたハズレが控えていた。
「飛べ炎よ!!」
炎の斬撃がトカシボウを襲う。
(あの火力ハズレ本気だな)
トカシボウが焼けていく様を見てロードは思う。
(危険な奴だからなぁ、早々に決着をつけたい)
そう考えたハズレだったが豪火の中から軽くジャンプして炎の牢獄から抜け出すトカシボウ。
「「――――!!」」
ズンとハズレのいる場所にのしかかっていく。それをロードが間一髪のところで抱えて回避した。
「ロード、助かった」
「礼は後だ……」
ロードはトカシボウをよく観察していた。
「ボバアアアアアア!!」
無数の粒となった飛び散る唾液がロードとハズレに襲い掛かる。それは溶解性のある唾液。
ロードはすぐさま自分の足元にあった木の壁を持ち上げて、盾にして攻撃をやり過ごす。
守らなくていい範囲にも唾液が飛び散る。
この時、
(これが溶解唾か俺達の剣で受けるなら問題なさそうだな)
ハズレは金閣寺製の剣なら唾液ぐらいは受け切れると判断した。
「ハズレ……こいつフツーのトカシボウではないぞ」
木の盾を押し返したロードが言う。
「ん? どういうことだ?」
「木片の攻撃はあのブヨブヨした身体と肌で効果がないのはフツーのトカシボウと同じだ。唾も剣で触れても問題ないだろう。が、唾の量が多すぎる、それにいくら燃えない肌とは言え、ハズレの火力が全く通用しないのはおかしい。それにどこか俊敏だ。歯の力も強い」
「確かに……だったら」
「あれはこの異世界の環境で強く育っているトカシボウだ」
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜
束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。
そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。
だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。
マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。
全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。
それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。
マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。
自由だ。
魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。
マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。
これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる