レジェンドオーブ・ロード~物語に憧れて最強への道を歩み始めるオレは、魔王達の根源たる最魔の元凶を滅ぼし全ての異世界を平和へと導きます~

丹波 新

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第十四章 彼と彼女の両想いになるまでの一週間の逃避行

第682話 思わぬビンタ

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 ロードとフローランは昼食を取ることにした。

 フローラン曰くアルヨアジという赤色の花が食用植物と言い、それを花畑から一つづつ摘んで食料を確保する。

 それは花壇の花だがこの異世界そのものがフローラン・イレヴンズの敷地の為食べることは自由だった。

 そして近場のベンチで二人は座り、赤い花を食べていく。

「アルヨアジか……凄く甘い味だ……まるでトローのイチゴを思い出す」

「トローのイチゴ?」

「ああ、フルーツを代価にしたい世界でさ、そこで食べたんだよ。すごくおいしくて、失礼だけどあの味はこの花には及ばないな」

「そう……そんなにおいしいなら食べてみたい」

 フローランが赤い花を一本食べていく。

「大きくなったら異世界に旅行に行けばいいさ」

「無理、私はいずれこの異世界の女王になるの。遊びに行けるわけがない高度な政治問題が山済みなんだから」

 フローランはどこか諦めていた。

「オレも最初はそうだったよ」

「えっ……」

「ストンヒュー王国で使用人をしてる時、このまま何の変化もない日常を生きていくのかって……」

「じゃあどうして冒険に出たの?」

「道に迷ってる皆を放っておけなくなったからさ」

 ロードがほほ笑んんだ。

「そう……道に迷う人を……」

「魔王の一件が終わったら一緒に冒険に行くか?」

「そんなの無理、この異世界は置いてはいけない」

 寂しそうな顔をするフローラン。

「まるで王子様を待つお姫様だな……」

「たとえとしては悪くない」

 ロードとフローランは互いに微笑んだ。

 そしてお皿に乗ったのは最後の一本のアルヨアジ。

「食べていいぞ」

「いいえ、あなたに譲る。私のボディーガードだもん。またいつ魔王達が攻めて来るとも限らない。戦闘時空腹になったら――――」

 その時、フローランのお腹の虫がくぅーーっと鳴る。

 その音に赤面するフローラン。苦笑いするロード。

「あなたそんなにお腹が空いてたのね」

 フローランが意地になった。

「分けて食べよう」

 アルヨアジを真っ二つに割ったロードが、フローランにも分ける。

「あ、ありが――――」

 その時、ロードの手に触れそうになった時、手を引っ込めた。

「どうした……?」

「何でもない……その花お皿の上においてくださる?」

 ロードは言われるがままに花を置く。

 この時、
(危ない触れるところだった)
(もし触れでもしたらこの人も皆と同じように)
 難しい顔をするフローラン。

「どうした? 様子がおかしいぞ」

 ロードはあまりに警戒するフローランを見て心配になった。

「何でもない。さぁこれを食べて騎士の花園まで急ぎましょう」

 フローランが皿の上の赤い花を手に取り、口元で花びらを食べていた。


 ▼ ▼ ▼


 数分が過ぎた頃。

 ロードとフローランはレンガの道を歩いていた。

 数歩前に行くロードと数歩後ろからついて来るフローラン。

 明らかにロードは怪しんだ。

(おかしい、昨日は並んで歩いてくれたのに今日はやけに離れて歩くな)

 ロードが後ろのフローランと目が合うと、彼女は視線を逸らした

「どうした? 疲れてるのか? おぶってやってもいいんだぞ?」

「ひ、必要ありません! あなたはそのまま前をお進みください。私は付いていきますから」

「どうした? 昨日は並んで歩いてたじゃないか……なのに今日は距離を置いて歩くなんて変だぞ?」

「調子に乗らないでください。のちの女王であるこの私がそう簡単に人に心を許すと思いますか? 昨日はたまたま魔物が襲って来たので側にいただけです」

「無理するな、疲れてるんだろう? 昨日から歩きっぱなしだし、おぶるよ」

 ロードがフローランへ近づいて行く。

「ダメ! 来ないでください!」

 その悲痛な声にロードは近づくのをやめた。

「どうしたんだ?」

 ロードは問う。

「何でもありません」

 唇を震わせていう少女。

「キミ、泣いているぞ」

 ロードの一言でフローランは気が付いた。

「えっ……」

 目じりからひとしずくの涙が顔を伝って行った。

「悩み事なら聞くから……意地張らず甘えてくれ」

 ロードがあやす。

「うっ……うっ……」

 その一言でフローランは心に抱えているモノを吐き出しかけた。しかし――――

「何でもありません」

 彼女は美しさと麗しさと可愛さを保った。

「フローラン」

「あなたが前を進まないというのなら私が先に進むまでです」

 フローランはあくまで気丈を振り撒いた。

 その時だった。ロードの首に下げた裏切りの瞳が反応した。

「待てフローラン! 近くに魔物が居る!」

 ロードは叫んでフローランの手を取るが、

「――――!」

 バチンとビンタを食らわされた。

「無礼者! 私が一界の姫としての狼藉か!」

 フローランはロードをにらみつける。

「信じてくれ……」

 ロードも掴んだ手を放さずフローランの目を見た。

 その時のフローランはどこか安堵した表情だった。

(この子になにか精神的ショックがあるのは分かった)
(それを解決するのは後にしよう、まず解決すべきは)

 ロードの背後からガタゴトという音が響いた。

 三つのトロッコが三体の魔物を乗せてやって来た。

「危ないから下がってろ」

「はい」

 ロードは魔王からの刺客と対峙する。
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