スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

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一章 超AIとの大生活

3話 礼儀正しい朝食

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午前7時、オレはいつもより少し早いが朝食を取りに、寮の食堂へと足を運んだ。

寮の人口は男女合わせて、合計60人近くであった。

寮では普段、男子棟と女子棟に分かれているが食堂では男女混合で食べることになる。

オレは食堂へ入りトレイを持って今日の献立を受け取っていく。

「……ご飯並みに、サンマのかば焼き、わかめの味噌汁に納豆ねっと」

「おはよう」

ふとカウンターから食堂のおばちゃんから挨拶されたので、

「おはようございます」

とオレは返した。のだが、、、

『食堂の奥様、おはようございます』

はぁ!? オレはスマフォの入った胸ポケットを見た。食堂のおばちゃんもまじまじ見て、

「……おやまぁ~~、新しいゲームってやつかい?」

「まぁ~~そんなところです……はい」

デレデーレのことを誤魔化したのち、朝食の乗ったトレイを持って適当な場所に腰掛けた。

「いいか、オレの許可なく挨拶するのは厳禁だぞ」

『――ですがケンマ様、朝の挨拶は日本のみならず世界の常識、これを怠っては超AIの名がすたります。それとこれから付き合っていくわけですから、身近な人には挨拶しておかないと……」

デレデーレのラブメーターが49に下がっていた。どうやら落ち込んでしまったらしい。

「厳禁と言ったら厳禁だ。まだ、試作段階には変わりないんだからな。超AIのことを話し散らして周りに期待されるのも、オレとしては好ましくないんだ。わかってくれ……それにお前の紹介はやっぱり自分からしたいと言うか……」

『はい……そういうことでしたら、わかりました』

デレデーレのラブメーターが元の50に戻っていた。

(やれやれ、いちいち説得しないと数値が下がることもあるのか……)

オレは食事に取り掛かるまずは箸で、、、

『ストォーーーーーーーーーーーーーーーーップ』

「何だよ」

サンマの蒲焼にお箸を伸ばしかけた手を引っ込めた。

『ケンマ様、食べる前に常識的な挨拶があるでしょう……』

「常識的な挨拶?」

オレには何のことだか分からなかった。

『いただきます』

「ああ~~そんな挨拶もあったなぁ~~随分昔からやっていないけど……」

オレは遠い目をして幼少時代に思いをはせる。

『ケンマ様、いただきますしてから食べましょうね♡』

「わかったよ。いただきます」

オレは再び箸を伸ばすのだが、

『ストォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーップ』

「今度は何?」

『手を合わせていただきましょう』

デレデーレの言われるがままに、オレは一旦箸を置き、手を合わせて、

「――いただきます」

心も篭ってない棒読みの挨拶で、礼儀もクソもあったものではなかったが、、、

『食べてよろしい』

好感度は上がったようで51とラブメーターに記録されていた。

そしてデレデーレに納豆をかき混ぜるに最適な回数を計測してもらう。

『ストップです。それくらいの粘着きでいいでしょう』

オレは納豆を一気に掻き込んで喉に流し込む。納豆ご飯なんて知るか。

『味噌汁はお熱いかもしれませんのでしっかり冷ましてから飲みましょう』

「猫舌じゃないんだから……これくらいなんてことないさ」

オレは味噌汁を口から喉へと流し込んだ。

そしてサンマの蒲焼と味噌汁を交互に、ご飯を掻き込む箸を進めて行くのだった。

食べ終わって立ち上がろうとするオレにデレデーレが話しかけてくる。

『ごちそうさまは?』

「……ごちそうさまでした」

手を合わせながらぼそっと言うと、オレはその場から立ち去った。

(言ってることはまともだった。デレデーレの調整はまぁいいか……)

オレは食堂をあとにして、学校の制服に着替えるために自室へと戻っていった。
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