スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

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一章 超AIとの大生活

5話 居眠り授業

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それは午前の授業三時間目の、歴史の授業中のことであった。

ふぁ~~とあくびが出そうだったが、頑張って抑え込む。これからすることは決してバレてはならない。

(ねよ……)

オレは教科書を立てて居眠りを始めた。

(校内指折りの才児にこんな授業は不要なのだ。頼む、いびきは搔かないでくれよ)

授業中こんなに眠いのも久しぶりだった。なにせいつもは9時には消灯時間、つまり寝る時間だったのだ。しかし今回は違う、異様に眠い。それもそのはず、昨日というよりも深夜帯でデレデーレのシステムが完成する勢いだったのだ。これはチャンスで流れが来ていることもあって、勢いで徹夜してしまったのが原因だ。

「(すぅ~~すぅ~~)」

結局、深夜0時にシステムは完成し、深夜2時半まで起きていたという話。
何故そんな時間まで起きていたのかというと、デレデーレの基礎言語能力の調整である。もちろん、あ・い・う・え・お、なる標準語はインプットされている。だが、挨拶や敬語の指導は難しかった。

「――――――マ」

「(だってデレデーレはまだ0歳なんだもん。それでもきちんと言語はマスターして貰はないと……)」

それで今の眠気に至るわけだ。

「――――ケンマ」

「(無事、人前に出せるようにはなったけど、合わせるべき人物は考えるべきだなぁ~~むにゃむにゃ)」

「あかつきケンマ」

その時、亀城先生が喉太い男の呼ぶ声がしたような気がした。

(あれ、オレ呼ばれてたりする? 寝てるのバレたのかなぁ~~、なんてねそんなはずないか。クラスには30人いる。オレは後ろの方の席だし、そう簡単に当てられないよ~~、あ~~ねみぃ~~)

オレは再び机に伏せる。

「あかつきケンマ! 聞こえとらんのかね!」

「――――はい! 聞こえてます!」

反射的に立ち上がった。

「この1900年に死亡したと言われる哲学者の人物の名を答えよ」

「何故に……」

オレは問い返した。歴史の授業で言い当てられるなんて事態は経験上これが初めてだったからだ。

「キミが居眠りに呆けていないかの確認だよ。ほんの3分前には説明したんだがね」

(正解です。というとオレの授業態度に問題ありとみなされる。これでもここは町一番の名門校、居眠りなんてしてるのがバレたら反省文街道まっしぐら)

オレはポケットに忍ばせておいたスマフォに高速で文字を打ち込んでいく。

(気づけデレデーレ誰なんだ? 1900に死亡した哲学者の名前は……)

速攻で返事が来た。その内容を教師に伝えるために口を開く。

「――フリードリヒ・ニーチェです」

何の疑いもなく堂々と返せたのは、答えを見たときなんとなく知っていたからだった。

「正解……どうやら居眠りは勘違いだったようだ。済まない済まない」

亀城先生が謝罪する。

「ふぅ~~」

オレは立ち上がった態勢から椅子にへたり込んだ。

(ありがとうデレデーレっと)

オレはまたも高速でスマフォに打ち込んでいく。

(いえいえ、お気になさらず)

という返事が返ってきた。

(さて、おやすみ)

(あの~~、大変申し上げにくいのですが、授業中に居眠りをするのはマナー違反なのでは?)

(固いこというなよ。こっちは2時半に寝て6時に起こされているんだよ。睡眠時間は何分? 3時間半だよ? 眠くて当然、じゃあおやすみなさい)

(ダメですよ! せめて寝るなら昼休みまで我慢しましょうよ)

オレはデレデーレの言う常識、そんなことはお構いなしに眠りについた。

(この気持ちはAIにはわからんのよな~~、後で寮に戻ったら修正しておこう)

こうして眠りにつき授業は瞬く間に終わったのだった。
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