スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

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二章 超AIの大活躍

33話 ヤミヤミちゃんとの失恋はダメ

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「ヤミヤミちゃんとの失恋はダメ……それが第三本目の勝負ですか?」

オレは恐る恐る訊いてみた。このゲームは廃人ゲーマーでもある前渡とうやからの推薦もある。そうやすやすとクリアはさせてくれないだろう。むしろここに来て大ピンチでもあったりする。負けてしまえば、アイスクリームパンのくだんの件はバレてしまうのだから。

「前渡くんの提案だ、悪いが勝たせてもらう」

来ヶ谷先輩はそう返してきた。

「――さぁ、ディスクはセットした。起動を開始する。目頭! 今回はプレイ映像を残しておかなくていいぞ。攻略法は記録済みだからな!」

来ヶ谷部長がそういうと、目頭副部長もオレの背後に回ってきてモニター内に注目する。依然としてデレデーレがモニター内で泳ぐような舞いを披露していた。

「あれ……おかしいなぁ起動しないぞ」

来ヶ谷部長がそう呟いた。

「古いゲームだから壊れちゃったんですかねぇ~~」

ふぶくデヨーネがモニター内を覗き込む。ソフトを入れたのにアイコンが表示されないからである。

「……もう一度、入れ直した方が――――」

前渡とうやが言いかけたが、

「――待て、そのソフト以前データ内をハッキングした後遺症でさぁ~~起動に時間が掛かるんだよ」

会話に割って入って来たのは自分の席で何かしらの作業をしている峰谷ゆうすけだった。

「…………そうなのか……?」

いっそ壊れてくれてたらいいのにと思うオレであった。

『まだですか? まだですか?』

「――もう少し待ってみ――」

その時、ヤミヤミちゃんとの失恋はダメというソフトのアイコンがモニター内に表示された。

「早速クリックっと……」

来ヶ谷部長がアイコンをクリックするとゲームソフトが起動した。

『で、これはどんなゲームなんですか……?』

モニター内では既にオープニング映像が流されている。それを片耳にデレデーレは来ヶ谷部長に訊いていた。

「簡単に言うと恋愛シミュレーションゲームだな。ほら昔、昔流行してたギャルゲーってあるじゃんアレみたいなものだよ」

『ギャルゲー、検索してみます…………』

そうするとデレデーレは僅かな沈黙と共に口を開いた。

『ああ~~、バットエンドを回避しながらグッドエンドに持ち込むゲームのことですか……?』

「そっ、いやホント話が早くて助かる」

モニター内は依然として素人くさいオープニング映像が垂れ流されている。

『攻略対象キャラクターがいるんですよね……? で、誰のルートを選べばいいんですか……?』

攻略対象キャラというのは簡単に言えば誰と恋愛に陥るかという話である。

「ふっふっふ、訊いて驚きたまえ! このゲーム攻略対象キャラは一人しかいないんだ!」

「ああ~~、ありますよね~~、そういうフリープレイのゲーム。オレも人工知能を組み立てる過程で何度かプレイしたことがありますが……グレイト・オブ・サンクチュアリとか、義妹との逃避行とか、僕だけのシンデレラとか」

思い当たるゲームがいくつかあったので口に出してみる。

『攻略対象キャラクターが一人となるとかなり簡単なのでは……』

「案ずることはない、このゲームはタイトル通りヤミヤミちゃんがヒロインとして登場する。だが、ギャルゲーとは常に選択肢が出てくるだろう? その選択肢を一つでも間違えると即バットエンドとなるんだ」

『えっ、一つでも間違えるとバットエンド? 一体何が起こるんですか?』

「具体的に言うとヤミヤミちゃんは俗にいうヤンデレだ。選択肢を間違えて失恋するとすぐに包丁で刺しに来る恐ろしいキャラクターなのだ」

「……ヤンデレというより犯罪者予備軍ですよねそれ、しかも刺すんだかられっきとした犯罪者……」

オレは思わずツッコミを入れてしまった。その時ちょうどオープニング映像も終了し、タイトル画面が出て来た。

『えーっとえと、このニューゲームを押せばいいんですよね……?』

「ああ、そしたら即始まるから気負付けたまえ」

『ちなみに選択肢はいくつぐらい出てくるんですか?』

「野暮なことは訊かずプレイしてみな……」

前渡とうやが急かす。

「――いくつくらい出るか教えてくれてもいいだろう」

間髪入れずにオレは意見する。

「オレだって最初はなんのヒントもなしにプレイしたさ」

そう言われるとぐうの音も出ない。

『ご安心くださいケンマ様、必ずや全選択肢を攻略して見せましょう』

モニター内にいるデレデーレはニューゲームのボタンを押す。

――さぁ、ゲームスタートだ。
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