スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

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四章 超AIの大決戦

60話 人の感情を持つ超AIたち

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――トワイライトをこの世から消去してほしい。

マーク・レイアーター氏のメールは一瞬何かの間違えかと思った。だから、

――本気ですか?

二度目を聞いてしまった。

――こんなこと冗談でいうほど僕は馬鹿げていないよ、ミスター暁。

「待て、そんなことより理由だ理由、なんでトワイライトを消して欲しいのか聞け、こいつマーク・レイアーターの名を語りオレをも騙す、凄腕のハッカーかもしれないんだぞ?」

峰谷ゆうすけが問題を改める。

『いえ、このメールアドレスは間違いなくマーク氏のものです』

デレデーレは確信していた。

「誰かが落ちていたスマフォを拾ったりとか、ハッキングでアドレスを入手したとか、偽物になる方法ならいくらでもある」

『ではケンマ様、私とマーク氏がいつ頃からであったのか訊いてみてください。それで答えが出るはずです』

「わかった……」

オレはメール文を打つため指を動かす。

――あなたが超AIと最初に話したのはいつ頃ですか?

――おお、デレデーレくんのことだね? 彼女とはこの二週間何度か話をしたよ。もちろん制作者の話をしたんだが教えてはくれなかったね。つまりキミのことだ。

――どういった会話をしたか覚えていますか?

――恋の成就の話とか、日本での礼儀作法についてに話とか色々とね。

「本物っぽいな」

「峰谷、今日二回目だぞその発言」

『そんなことよりお二方、この人は本物のマーク社長です』

「ああそうだな、水を差しちまって済まないな。会話を続けてくれ」

――マーク社長、トワイライトを消去してほしいなら自分たちで消去すればいいのではないですか?

――その方法がわかれば、僕はキミにこんな話を持ち掛けたりしないよ。

――では、どうしてトワイライトを消去してほしいんですか?

――彼女が制御の利かないプログラムシステムであることを知ってしまったからだよ。

――制御の利かない? どういう意味で言っているんです?

――言葉通りだよ、ミスター暁、アレは制御できない災厄さ。つい先ほどわが社の誇るAIホストコンピューターを破壊しつくしてね。謎の失踪を起こしたんだよ。

「AIホストコンピューターの破壊だと?」

峰谷ゆうすけが口走る。

(つい先ほど、いま15時半だから時差8時半で午前7時頃の出来事か?)

――どうしてそのような破壊行動をトワイライトは取ったのでしょうか?

――それがわからないから、彼女を御し切れなかったと言っているんだがね。

――僕の開発したデレデーレに何かしましたか?

――デレデーレくんには悪かったけどその構造を解析するのに少々手荒な真似をしたよ。これについては謝罪しよう。今彼女は近くにいるのかね?

――はい。

――そうか。

――あの~~一つ質問してもよろしいですか?

――何なりとミスター暁。

――先週のデモンストレーション時には彼女とは友人のように接していましたが、それが何故破壊活動にまで至ったかその動機については分かりますか?

――おお、あのデモンストレーションを見ていてくれていたんだね~~、もちろん僕はその時は友人として紹介したつもりだったさ。ただトワイライトの方はそうではなかったんだろうね~~、動機についてはさっぱりだよ。

――そうですか。

――ただ、一つ言えることはキミの超AIには感情があるみたいな言動をする事例がいくつも挙げられていた。僕らはそれを一括でコピーしたんだ。中身の論理を知らずにね。穴があったとすればその感情部分のところじゃないかな?

――感情。

――ミスター暁、昨日のハッキングに対してはおとがめはしないよ。僕らもズルして超AIを完成させてしまったからね…………ほっとしたかい?

――はい。

――ミスター暁、キミは正直だね。僕も学生時代を思い出すよ。っとその話は置いといてだね? 頼み事は聞いてくれるかい?

――条件があります。

――なんだろう?

――もう超AIが出てきたりしても手荒な調査はしないでください。彼女たちは僕らと変わらない普通の人間です、感情があるんです。痛いときは痛いというし、楽しい時は楽しいと言うんです。

――わかった。約束しよう。

オレはホッと胸を撫でおろした。

――それではこの辺で、

――うん。くれぐれも無茶は避けてくれトワイライトは何を考えているのかわからないからね。

――はい。

そう文脈を打ってマーク氏とのメールでの会話を終わらせる。

「面倒なことになったな」

峰谷ゆうすけがそう吐露していた。

『私~~実はというとトワイライトさんに会ったことが無いんですよね~~』

対してデレデーレの態度はのんきなものだった。

「なにはともわれ、まずはデレデーレのお帰りパーティーを楽しんでからだ」

オレはそう判断して踊り場から階段の方へと足を向ける。
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