大悪魔を駆使して始まる世界征服

丹波 新

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第一章 大悪魔との契約

2話 見えてしまう景色

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全ての原因は黒い流れ星にあったと見て間違いないだろう。
夏休み中は可笑しなことがたくさん起きた。バステトが紐くるんでリンゴジュースを持って来るし、お風呂に入って一緒に会話をしたり、ロボットマウスに興味を抱かなくなったりと、優雅に過ごしていた。まぁ、マタタビには興味津々だったが。
とにかくそんな夏休みを過ごしていた。
そして、9月1日とある曜日の私の通う御剣星座標高等学校では、始業式が開催される。私は今、その始業式という神聖な月日の変わり目の儀式に参加すべく登校中であった。肩にはバステトが乗っかっている。さらに…………

「おい、バステトまた何かしたのか。なんか見えてはならないものが見えるんだが……」

「はて主様、私が急に話せるようになったからと言って、何でもかんでも私の仕業にされては困ります」

「お前以外の誰がこんなスキルを発動させられるんだ……見ろあちこちを、足のない人でいっぱいではないか!」

「……主様、私にも一応は見えます……足がないと言うことは、幽霊でも見ているのでは……」

「もちろん、これは幽霊以外の何物でもないさ。っていうかお前見えるのか?」

「はい」

「なんで私に幽霊が見える。飼い主に似て頭の良い使い魔よ、50文字以内で簡潔に述べよ」

「……申し訳ございません。私には理解が及びません」

「そうか、この無能なるバステトめ、この期に及んでまだそのようなことを……」

(待てよ……これも黒い流れ星の影響なのだろうか……? 夏休み期間中は見えなかったぞ)

彼女には至る路上で、浮遊したり、地縛したり、他者に憑りついたりしている幽霊が見えていた。

差していた純黒の日傘で顔を覆いながら、私は関わるとめんどくさそうな幽霊たちから逃げることにした。
9月の始まりと言っても猛暑は長く続いていたし、衣装は黒一色のゴスロリファッションである。何故なら通っている学校は基本的に私服で登校しても良いのだ。多少のメイクも許されるゆるゆるな学校である。さらに使い魔バステトを授業に付き合わせてもいい、異例中の異例の学校だった。

「スマフォで写真も撮れないのか……これでは、誰かに話しても電波女になってしまうではないか」

「主様は十分電波でございます」

「うるさい――発言権を取り下げるぞ。私にしか聞こえない声だからと言って授業中に話しかけてくれるなよ」

「始業式の日に授業はありませんと、先だって聞いておりましたが……」

「私は今後のことを言っているのだ。明日からは普通に授業も再開される。その時に話かせてみろ、お前への供物は安物のキャット缶になることだろう」

「は、ははっ!」

「わかればよろしい」

身長程まで伸ばした美しい美しい長い黒髪を手で梳かしながら優雅に言ってみせる。

(しかし、眼帯はつけて来るべきではなかったかな~~ちょっと不便だ。歩きづらい……いや、それよりこの霊感体質だ。新たなスキルを手にしたはいいいが、異世界じゃないと役に立たんだろうに……)

「危ない! 主様!」

(――?)

バステトが声を張り上げたので、歩くのを中断した。どうやら顔を日傘で隠していたから前にいる7才くらいの女の子に気が付かなかったらしい。もう少しで正面衝突するとこだった。

「ぐすっ、え~~~~ん、え~~~~ん」

電柱を背中にしていた女の子が突然泣き始めた。足がないので幽霊だとすぐにわかった。

「――!? どうした!?」

「ぐすん、あれ? おねいちゃん私が見えるの? もしかして幽霊さん?」

「違うわ――ベイビーちゃん。私は大邪神様と契約した邪神官であるぞ。この幽霊少女め」

「流石は主様、幼女相手にも対応を変えず平常運転ですか……」

「うるさい……それでどうした? 何故泣いているんだ?」

「迷子なの。お家がどこにあるか分からなくなちゃって……それで、いろんな幽霊さんに聞いてたんだけど、結局――辿りつけなくて……」

「要するに見捨てられてしまったと……」

「主様、相手は幼女です。どうかそれなりの対応を……」

「――黙れ雌猫…………おい、私の名は黒井アゲハ、貴様は何という名前なのだ」

「忘れちゃった」

(どうにもならねぇ~~名前さえわかればスマフォで探してやろうと思ったのに……ん?)

幼女の胸には生年月日と名前を記された名札があった。1956年6月18日。明豊アカネ。

(ば、ババァじゃん――まあいいか)

「アカネとやら家は近いのか……この場所に見覚えはあるか?」

「凄い、どうして名前がわかったの。やっぱり幽霊さんの仲間なの?」

「いいから、ここに見覚えはあるか?」

「知らない道」



「長引きそうだな。しかしアカネ――我についてたもうれ……さすれば、帰り道を教えてやろう」

「ほんと、わ~~~~い、ありがとうおねいちゃん」

「そうと決まればまずは私の学校だ。我について来るがよいぞ」

「うん、わかった」

(幽霊ってもっと怖いモノだと思っていたんだが、流石に朝からホラーゲームにはならないか……)

そうこうしている内に学校の校門に辿り着き、登校した。
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