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第一章 大悪魔との契約
4話 安全な降霊術のやり方
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なんとアカネは車に牽かれた事故死の少女だったのだ。
「おねいちゃん……また戻って来ちゃったよ。ここはおねいちゃんと初めて会った場所なんだけど……」
「そうだとも」
「主様、私もここに戻って来ては意味がないと思われます。その~~スマートフォンで住所を割り当てたらよいのではないでしょうか……」
「そんなことは百も承知している。それに念のため明豊アカネとうい名で検索してみたが、アプリにはそのような住所は見当たらなかった」
「では、この子の家はもう……」
「おそらく土地ごと買い占められたのだろう。明豊家がどのようになったか、フフフ、予想はつく。すなわち闇の取引だな……さて、こいつを使う時が来ようとは……我にも予想だにしなかった事態よ、フフフ……」
鞄の中から取り出したのは、授業で使う教科書ではない。本物のオカルト商品、幽霊に関する分厚く重い本である。
「霊界との交信する入門書――これは……? 名案です主様」
「当然だ。私は大邪神様と契約した邪神官である。猫の声が聞け、幽霊の姿が普通に見えるのだ。この本に書かれた呪文も当然マスターできる素質があるに違いはない」
「おねいちゃん、この他にも、怖い本がたくさんあるよ」
いつの間にかアカネが私の鞄を物色していた。
「コラ、勝手にあさると本の魔力に魅了され、悪霊になったり、呪い殺されたりするぞ」
中身を眺めることしかできないアカネから、強引に鞄を奪い取り本のタイトルを読ませないようにした。
「……いじわるしないでよ。おねいちゃん」
「あ~~~~はいはい、え~~っとアカネの場合は地縛霊だよな……生まれた年が1956年なら、その父と母は亡き者になっている設定か……」
入門書に書かれているはずの地縛霊の項目を探し、適当にアカネの文句を受け流し、本のページを捲り続けていく。
「――あった! 地縛霊と在った時の対処方法!」
そこにはこう書かれていた――まず、良き霊か、悪しき霊かの見分け方。
(ええい、飛ばせ飛ばせ……私の知りたいことはさらに先、降霊術だ)
「この様な物が本当に役立つのでしょうか……?」
疑問を投げかけてくる使い魔は無視する。
「霊感に目覚めた私ならばこの本は言わばゲームの攻略サイトよ。どんな術であろうが使いこなして見せようぞ――よし! あった!」
目当ての項目を探り当てたので、しばし黙読する。
――まず体を清めておく霊との干渉は危険なので塩風呂に入るのが効果的である。
(素人なら塩風呂で、霊感体質なら水洗いだけでもオーケーか。朝風呂に入って正解だった……さてお次は……?)
――現世に幽霊を呼び出すので、何かしらの血肉が必要――例、人間の骨や、動物の死骸などを供物とする。
(フン……我は知っているぞ、髪の毛一本でも呼び出せることをなぁ)
――次に良い環境を用意する――出来るのなら降霊術専用の工房があると便利。注意――昼間や明るい所では霊を呼び出しにくくなってしまう。
(論外だな……朝から、そこらじゅうで霊を目撃している私にとっては……しかし一応、後で日傘でもここの電柱にくくりつけておこうか。万が一にも召喚出来なくては困るからな。ん? 掃除かこの電柱でドーベル犬などが縄張りを主張していなければよいのだな。後でバステトに舌で舐めてもらって掃除させよう)
――次に降霊術の霊召喚のための陣を描く。象形文字、ラテン語、ルーンなどなど、様々な文字があることも覚えておこう。
(初歩中の初歩だな……読むまでもないわ。何故なら我は既にここに書かれている文字をマスターしているのだから)
――最後に全く別の霊を呼び出さない為に狙った霊の遺物を陣の中心部分に置いておこう。
(――ナニ!? そんなものないぞ……う~~~~ん。困ったなぁ、困ったときはスマートフォンで検索だが、本の情報の方が正確なのは確か。例題のように遺物を取りに行く暇も当てもない。アカネの髪にでも供物になってもらうか)
スマートフォンで一応、検索なり、情報なり調べてみる。
(やはり、くだらんサイトばかりだなぁ……本以上の事は書かれていない)
しばし考えをまとめていると、私は天才的な発想を閃いた。
「そうだ! スマートフォンならば――あの機能があるではないか!」
「主様、私にはこの本の文字は読めませんが、何かいい案でも載っていたのでしょうか……?」
肩に乗ったバステトを撫でながら、我は使い魔である黒猫にこう告げた。
「――ああ、思いついたぞ。私の神をも超えた妙案がなぁ……」
降霊術の載った本を、分厚い本がいくつも入る鞄に、また無理やり押し込んで収納する。これが重いのなんのって、
「――さて、バステト実行に移そうではないか! アカネを家に帰してやろう」
「おねいちゃん……また戻って来ちゃったよ。ここはおねいちゃんと初めて会った場所なんだけど……」
「そうだとも」
「主様、私もここに戻って来ては意味がないと思われます。その~~スマートフォンで住所を割り当てたらよいのではないでしょうか……」
「そんなことは百も承知している。それに念のため明豊アカネとうい名で検索してみたが、アプリにはそのような住所は見当たらなかった」
「では、この子の家はもう……」
「おそらく土地ごと買い占められたのだろう。明豊家がどのようになったか、フフフ、予想はつく。すなわち闇の取引だな……さて、こいつを使う時が来ようとは……我にも予想だにしなかった事態よ、フフフ……」
鞄の中から取り出したのは、授業で使う教科書ではない。本物のオカルト商品、幽霊に関する分厚く重い本である。
「霊界との交信する入門書――これは……? 名案です主様」
「当然だ。私は大邪神様と契約した邪神官である。猫の声が聞け、幽霊の姿が普通に見えるのだ。この本に書かれた呪文も当然マスターできる素質があるに違いはない」
「おねいちゃん、この他にも、怖い本がたくさんあるよ」
いつの間にかアカネが私の鞄を物色していた。
「コラ、勝手にあさると本の魔力に魅了され、悪霊になったり、呪い殺されたりするぞ」
中身を眺めることしかできないアカネから、強引に鞄を奪い取り本のタイトルを読ませないようにした。
「……いじわるしないでよ。おねいちゃん」
「あ~~~~はいはい、え~~っとアカネの場合は地縛霊だよな……生まれた年が1956年なら、その父と母は亡き者になっている設定か……」
入門書に書かれているはずの地縛霊の項目を探し、適当にアカネの文句を受け流し、本のページを捲り続けていく。
「――あった! 地縛霊と在った時の対処方法!」
そこにはこう書かれていた――まず、良き霊か、悪しき霊かの見分け方。
(ええい、飛ばせ飛ばせ……私の知りたいことはさらに先、降霊術だ)
「この様な物が本当に役立つのでしょうか……?」
疑問を投げかけてくる使い魔は無視する。
「霊感に目覚めた私ならばこの本は言わばゲームの攻略サイトよ。どんな術であろうが使いこなして見せようぞ――よし! あった!」
目当ての項目を探り当てたので、しばし黙読する。
――まず体を清めておく霊との干渉は危険なので塩風呂に入るのが効果的である。
(素人なら塩風呂で、霊感体質なら水洗いだけでもオーケーか。朝風呂に入って正解だった……さてお次は……?)
――現世に幽霊を呼び出すので、何かしらの血肉が必要――例、人間の骨や、動物の死骸などを供物とする。
(フン……我は知っているぞ、髪の毛一本でも呼び出せることをなぁ)
――次に良い環境を用意する――出来るのなら降霊術専用の工房があると便利。注意――昼間や明るい所では霊を呼び出しにくくなってしまう。
(論外だな……朝から、そこらじゅうで霊を目撃している私にとっては……しかし一応、後で日傘でもここの電柱にくくりつけておこうか。万が一にも召喚出来なくては困るからな。ん? 掃除かこの電柱でドーベル犬などが縄張りを主張していなければよいのだな。後でバステトに舌で舐めてもらって掃除させよう)
――次に降霊術の霊召喚のための陣を描く。象形文字、ラテン語、ルーンなどなど、様々な文字があることも覚えておこう。
(初歩中の初歩だな……読むまでもないわ。何故なら我は既にここに書かれている文字をマスターしているのだから)
――最後に全く別の霊を呼び出さない為に狙った霊の遺物を陣の中心部分に置いておこう。
(――ナニ!? そんなものないぞ……う~~~~ん。困ったなぁ、困ったときはスマートフォンで検索だが、本の情報の方が正確なのは確か。例題のように遺物を取りに行く暇も当てもない。アカネの髪にでも供物になってもらうか)
スマートフォンで一応、検索なり、情報なり調べてみる。
(やはり、くだらんサイトばかりだなぁ……本以上の事は書かれていない)
しばし考えをまとめていると、私は天才的な発想を閃いた。
「そうだ! スマートフォンならば――あの機能があるではないか!」
「主様、私にはこの本の文字は読めませんが、何かいい案でも載っていたのでしょうか……?」
肩に乗ったバステトを撫でながら、我は使い魔である黒猫にこう告げた。
「――ああ、思いついたぞ。私の神をも超えた妙案がなぁ……」
降霊術の載った本を、分厚い本がいくつも入る鞄に、また無理やり押し込んで収納する。これが重いのなんのって、
「――さて、バステト実行に移そうではないか! アカネを家に帰してやろう」
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