6 / 52
第一章 大悪魔との契約
6話 黒井アゲハの私生活
しおりを挟む
私は自宅へと、もとい邪神の神殿へと舞い戻って来た。ここで我が工房であるプライベートルームで動画のアップのための編集作業を行っている。
(やはり、アカネたちの姿は映らないか……しょうがないタイトルは使い魔召喚の儀式として、バステトを全面的に押し出すか……アレでも人気度は高いからなぁ……あの雌猫は)
パソコンという異端技術を駆使して手慣れたCG作業に入る。そんな時、自室の扉が少しづつ開いて雌猫が顔を出した。
「我が使い魔バステトよ。何を咥えている」
「主様、母上殿からのお手紙のようです」
「フン……どうせ一人暮らしの心配しての事だろうな……開く必要はない捨てておけ」
「よろしいのですか? きっとご心配されています。返事の一つや二つあっても良いのでは?」
「しんぱいぃ~~? フン、私はデイネブリスパピヨン、リスナーたる使い魔を100万人以上抱える大物ユーチューバーであるぞ。仕送りなど必要としないほどのなぁ……」
「それは、そうですが……冷凍食品ばかりの生活では健康に異常を喫します。たまにはまともな料理動画でも上げてみては……?」
「サプリメントがあるじゃないか……じゃなくて魔術的栄養剤があるではないか。この黒井アゲハに料理などという俗世の座興に興味を持つわけがない」
「しかし、覚えて損はないでしょう……? 男子である彼も、きっと料理上手な女の子を気に入るはずです」
「(それは、そうかもしれないが……作れないのだから仕方がないだろう。それくらい察して見せよバステトよ)古い! 古い! 今の時代! 料理の出来ない女子など山程いるわ! そして料理好きの男子など山程いる。何なら動画でも見せてやろうではないか!」
「わかりました。手紙はここに置いておきます。読むか捨てるかはご自身で決めてください」
バステトは手紙を部屋の入り口に置いて、下がっていった。
(母上か……心配ないというのに、これでも年間、数億万は稼いでいるほうなのに……はぁ~~~~)
改めて作業の方に戻る。しかし、どこから来たのかイヌの霊が部屋に侵入してきた。
(霊感体質になったは良いが、これでは作業もままならないなぁ~~)
「これでも喰らえ!」
私は十字架を向けてみた。するとイヌの霊はどこかへ行ってしまった。
(これで良し、まさかこんな物でも効果があるとは、本来の用途は違うが、備えあれば憂いなしか)
数時間後、動画の内容は出来上がった。その名も――バステトを肩から魔法陣に呼び出してみた――だ。
一度、試しに動画を流して、編集が完璧か見てみる。
(まずは路上でバステトと立ち尽くす私か……次に暗闇である日傘を電柱にくくりつけて、路上に魔法陣を描く……よし、バステトが路上を掃除するシーンはなくなったか、アレがあると視聴者は驚かないだろうからな……次に私が魔法陣を描き、ラテン語の文字を書きしるしていくか……ここからだな。編集した詠唱を聞くとしよう)
『偉大なる大邪神さま。我が使い魔たるバステトを瞬間移動の魔術に今ここに召喚せよ! 漆黒の毛並みに身を包んだ妖艶なる雌猫を、呼びたもうれ、その名はバステト。混沌の災禍に身を置きて、今ここに現出せよ!』
「そして、突風の先の描写にはバステトの思いっきりリアルなCGを、我ながら何というグラフィックか……肩に乗っていたバステトの姿もちゃんと消えているなぁ。よしこれをアップするか」
そして、午後18時に【バステト召喚】の動画をユーチューブにアップした。再生数は一時間で百万を超えた。
(やはり、アカネたちの姿は映らないか……しょうがないタイトルは使い魔召喚の儀式として、バステトを全面的に押し出すか……アレでも人気度は高いからなぁ……あの雌猫は)
パソコンという異端技術を駆使して手慣れたCG作業に入る。そんな時、自室の扉が少しづつ開いて雌猫が顔を出した。
「我が使い魔バステトよ。何を咥えている」
「主様、母上殿からのお手紙のようです」
「フン……どうせ一人暮らしの心配しての事だろうな……開く必要はない捨てておけ」
「よろしいのですか? きっとご心配されています。返事の一つや二つあっても良いのでは?」
「しんぱいぃ~~? フン、私はデイネブリスパピヨン、リスナーたる使い魔を100万人以上抱える大物ユーチューバーであるぞ。仕送りなど必要としないほどのなぁ……」
「それは、そうですが……冷凍食品ばかりの生活では健康に異常を喫します。たまにはまともな料理動画でも上げてみては……?」
「サプリメントがあるじゃないか……じゃなくて魔術的栄養剤があるではないか。この黒井アゲハに料理などという俗世の座興に興味を持つわけがない」
「しかし、覚えて損はないでしょう……? 男子である彼も、きっと料理上手な女の子を気に入るはずです」
「(それは、そうかもしれないが……作れないのだから仕方がないだろう。それくらい察して見せよバステトよ)古い! 古い! 今の時代! 料理の出来ない女子など山程いるわ! そして料理好きの男子など山程いる。何なら動画でも見せてやろうではないか!」
「わかりました。手紙はここに置いておきます。読むか捨てるかはご自身で決めてください」
バステトは手紙を部屋の入り口に置いて、下がっていった。
(母上か……心配ないというのに、これでも年間、数億万は稼いでいるほうなのに……はぁ~~~~)
改めて作業の方に戻る。しかし、どこから来たのかイヌの霊が部屋に侵入してきた。
(霊感体質になったは良いが、これでは作業もままならないなぁ~~)
「これでも喰らえ!」
私は十字架を向けてみた。するとイヌの霊はどこかへ行ってしまった。
(これで良し、まさかこんな物でも効果があるとは、本来の用途は違うが、備えあれば憂いなしか)
数時間後、動画の内容は出来上がった。その名も――バステトを肩から魔法陣に呼び出してみた――だ。
一度、試しに動画を流して、編集が完璧か見てみる。
(まずは路上でバステトと立ち尽くす私か……次に暗闇である日傘を電柱にくくりつけて、路上に魔法陣を描く……よし、バステトが路上を掃除するシーンはなくなったか、アレがあると視聴者は驚かないだろうからな……次に私が魔法陣を描き、ラテン語の文字を書きしるしていくか……ここからだな。編集した詠唱を聞くとしよう)
『偉大なる大邪神さま。我が使い魔たるバステトを瞬間移動の魔術に今ここに召喚せよ! 漆黒の毛並みに身を包んだ妖艶なる雌猫を、呼びたもうれ、その名はバステト。混沌の災禍に身を置きて、今ここに現出せよ!』
「そして、突風の先の描写にはバステトの思いっきりリアルなCGを、我ながら何というグラフィックか……肩に乗っていたバステトの姿もちゃんと消えているなぁ。よしこれをアップするか」
そして、午後18時に【バステト召喚】の動画をユーチューブにアップした。再生数は一時間で百万を超えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる