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終章 いざ! 世界征服へ!
最終52話 最初の晩餐
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部活動を、もとい邪神殿での会合を終えた私は、夕暮れ時の空を眺めながら帰路につくのであった。
「ただいまーー」
私はとある国のとある県のとある市のとある区のとある町のとある番地のとある一軒家に住んでいる。私一人と雌猫一匹そして――
「おう! やっと帰って来たか!」
この子は同居人の契約者、小悪魔的マスコットキャラクターのデビルン。
「お風呂にするのかぞ? それとも食事にするのかぞ?」
この子は同居人の契約者の弟イビルン。
二匹とも私の家に居候する正真正銘のオカルト的存在の自称大悪魔である。羽根をパタパタとパタつかせているところが少しチャーミングである。
私はリビングに行き荷物を降ろし、時計に目をやる。すると午後6時を回っていた。
「どっちにするんだぞ?」
「お風呂にするわ」
私はバスルームに直行した。衣服を脱ぎ棄て、洗濯機に放り込む。
「替えのパジャマをお願いね」
「了解したぞ」
スィーーと洗面所のドア越しから退居していくイビルンだった。
私はバスルームへ入って行った。まずはシャワーで身体のすみずみを洗い、浄化作業をこなしていく。
シャンプーで頭を泡立てて洗い、ボディーソープで身体を泡立てて洗う。
洗い終わった私はバラ風呂へと、つま先から侵入していく。
(ふぅ~~~~気持ちいいわ……)
私はお風呂の中でくつろいだ。
(先輩と付き合っているなんてチャンネル登録者が知ったらなんて言われるかしら。炎上とかしたりするのかしら。いずれにせよ当分は黙っておいた方が良さそうね。家の近所も撮影に使ってしまったし私の家がどこか特定しようと思えばできちゃうものね。先輩とは校内の邪神殿のみで会うことになってるから、そちらの心配は無用かしら……)
「持って来たぞ。ここにネグリジェやパジャマを置いておくぞ!」
「ご苦労様、イビルン」
さて、どうしてイビルンが家に居候しているのかというと少し事情がある。
(イビルンとの交信は現状私にしかできないのよね。これはダークネス・カイザー様がオカルト的力を有していないから、つまりイビルンと話が出来ないし、姿を目撃することも出来ない。あの時は悪魔界に居たから見えていたみたいだけど、人間界では通用しないらしい。私はデビルンから貰ったオカルト的力で見ることが出来るのでイビルンの世話をダークネス・カイザー様から任されている。最初は面倒だと思ったけど意外と家事全般をこなしてくれて助かっているわ)
肩まで湯船にお浸かりながらイビルンの契約について思案する。
(イビルンとの追加契約、私が新たな親族になることを約束することでダークネス・カイザー様を助けることが出来た。そしてデビルンとの契約内容はクレヴァナルのメンバーと共に世界征服を達成させること……この二重契約は面倒ねぇ……だって世界征服したら、私は二匹の大悪魔に魂を食べられてしまうんだもの……それに拒めば、その人の親族が魂喰らいにされかねない。厄介ね)
「ふぅ~~~~」
私は風呂場で足を延ばしリラックスする。
「まぁ、先のことはこれから考えましょう。今の私は恋せよ乙女なのだから!」
お風呂から湯舟に浸かっていた身体を立ち上がらせ、浴室で身体を拭きパジャマを着て退場していく。
「あがったわよ」
リビングに到着して時計を見ると、6時半になっていた。どうやら30分近く入っていたらしい。
「おう! じゃあメシにするか!」
「バステトちゃんにはこれを……」
「……どうも、いただきます」
イビルンからのキャットフードを頂くバステトだった。
私は一つきりしかないテーブルの椅子に腰掛けた。
「さて今日は何が出るのかしら?」
デビルンとイビルンが二匹がかりで持って来たディナーは何と北京ダックだった。
「どこから仕入れてきたのよこんなもの……?」
「どこって悪魔界からだぞ」
イビルンが答える。
「いや~~供物としてニワトリとかダックは捧げられやすいからなぁ~~入手は簡単なんだぜ」
デビルンが答える。
「まぁ、食べられそうなものでよかったわ。ちょっと豪勢な気もするけど……何かのお祝いかしら?」
「俺たち話し合ったんだよ! 魂ってのは対象者の身体に比例するから、丸々太らせて食べることにしたんだぜ」
「ああ、そう、よく聞く話ね。けどねそう簡単に食べさせては上げないわ。わかっているわよね私の目的が世界征服って、もし成しえなかったらあなたたちはどうするの」
「死ぬまで待つしかないんだぞ」
「だから、」世界征服を成しえるまで俺様達を駆使してくれ」
「大悪魔を駆使して世界征服か……あんがい簡単かもね」
「今日はその前祝いだぜ! たらふく食べて作戦会議だ!」
「じゅるり、魂の鮮度を上げてから食べるんだぞ!」
「わかったわ、とにかく頂きましょう(丸々太るのは無しだけど……この北京ダックの匂いには逆らえそうもないわね)」
「「「最初の晩餐、頂きます」」」
一人と二匹で食卓を囲みワイワイしながら世界征服の作戦会議をするのであった。
その最初の一歩としてこう締めくくろう。
「テーマは題して、大悪魔を駆使して始まる世界征服!」
おしまい。
「ただいまーー」
私はとある国のとある県のとある市のとある区のとある町のとある番地のとある一軒家に住んでいる。私一人と雌猫一匹そして――
「おう! やっと帰って来たか!」
この子は同居人の契約者、小悪魔的マスコットキャラクターのデビルン。
「お風呂にするのかぞ? それとも食事にするのかぞ?」
この子は同居人の契約者の弟イビルン。
二匹とも私の家に居候する正真正銘のオカルト的存在の自称大悪魔である。羽根をパタパタとパタつかせているところが少しチャーミングである。
私はリビングに行き荷物を降ろし、時計に目をやる。すると午後6時を回っていた。
「どっちにするんだぞ?」
「お風呂にするわ」
私はバスルームに直行した。衣服を脱ぎ棄て、洗濯機に放り込む。
「替えのパジャマをお願いね」
「了解したぞ」
スィーーと洗面所のドア越しから退居していくイビルンだった。
私はバスルームへ入って行った。まずはシャワーで身体のすみずみを洗い、浄化作業をこなしていく。
シャンプーで頭を泡立てて洗い、ボディーソープで身体を泡立てて洗う。
洗い終わった私はバラ風呂へと、つま先から侵入していく。
(ふぅ~~~~気持ちいいわ……)
私はお風呂の中でくつろいだ。
(先輩と付き合っているなんてチャンネル登録者が知ったらなんて言われるかしら。炎上とかしたりするのかしら。いずれにせよ当分は黙っておいた方が良さそうね。家の近所も撮影に使ってしまったし私の家がどこか特定しようと思えばできちゃうものね。先輩とは校内の邪神殿のみで会うことになってるから、そちらの心配は無用かしら……)
「持って来たぞ。ここにネグリジェやパジャマを置いておくぞ!」
「ご苦労様、イビルン」
さて、どうしてイビルンが家に居候しているのかというと少し事情がある。
(イビルンとの交信は現状私にしかできないのよね。これはダークネス・カイザー様がオカルト的力を有していないから、つまりイビルンと話が出来ないし、姿を目撃することも出来ない。あの時は悪魔界に居たから見えていたみたいだけど、人間界では通用しないらしい。私はデビルンから貰ったオカルト的力で見ることが出来るのでイビルンの世話をダークネス・カイザー様から任されている。最初は面倒だと思ったけど意外と家事全般をこなしてくれて助かっているわ)
肩まで湯船にお浸かりながらイビルンの契約について思案する。
(イビルンとの追加契約、私が新たな親族になることを約束することでダークネス・カイザー様を助けることが出来た。そしてデビルンとの契約内容はクレヴァナルのメンバーと共に世界征服を達成させること……この二重契約は面倒ねぇ……だって世界征服したら、私は二匹の大悪魔に魂を食べられてしまうんだもの……それに拒めば、その人の親族が魂喰らいにされかねない。厄介ね)
「ふぅ~~~~」
私は風呂場で足を延ばしリラックスする。
「まぁ、先のことはこれから考えましょう。今の私は恋せよ乙女なのだから!」
お風呂から湯舟に浸かっていた身体を立ち上がらせ、浴室で身体を拭きパジャマを着て退場していく。
「あがったわよ」
リビングに到着して時計を見ると、6時半になっていた。どうやら30分近く入っていたらしい。
「おう! じゃあメシにするか!」
「バステトちゃんにはこれを……」
「……どうも、いただきます」
イビルンからのキャットフードを頂くバステトだった。
私は一つきりしかないテーブルの椅子に腰掛けた。
「さて今日は何が出るのかしら?」
デビルンとイビルンが二匹がかりで持って来たディナーは何と北京ダックだった。
「どこから仕入れてきたのよこんなもの……?」
「どこって悪魔界からだぞ」
イビルンが答える。
「いや~~供物としてニワトリとかダックは捧げられやすいからなぁ~~入手は簡単なんだぜ」
デビルンが答える。
「まぁ、食べられそうなものでよかったわ。ちょっと豪勢な気もするけど……何かのお祝いかしら?」
「俺たち話し合ったんだよ! 魂ってのは対象者の身体に比例するから、丸々太らせて食べることにしたんだぜ」
「ああ、そう、よく聞く話ね。けどねそう簡単に食べさせては上げないわ。わかっているわよね私の目的が世界征服って、もし成しえなかったらあなたたちはどうするの」
「死ぬまで待つしかないんだぞ」
「だから、」世界征服を成しえるまで俺様達を駆使してくれ」
「大悪魔を駆使して世界征服か……あんがい簡単かもね」
「今日はその前祝いだぜ! たらふく食べて作戦会議だ!」
「じゅるり、魂の鮮度を上げてから食べるんだぞ!」
「わかったわ、とにかく頂きましょう(丸々太るのは無しだけど……この北京ダックの匂いには逆らえそうもないわね)」
「「「最初の晩餐、頂きます」」」
一人と二匹で食卓を囲みワイワイしながら世界征服の作戦会議をするのであった。
その最初の一歩としてこう締めくくろう。
「テーマは題して、大悪魔を駆使して始まる世界征服!」
おしまい。
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