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◆浮気な彼氏シーズン2#4 心理戦
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◆浮気な彼氏シーズン2#4
離婚したはずの元奥さんがどうしてここに?胸がザワザワして仕方ない。
「ぼ、僕は……」
彼女の自信満々な瞳が僕をまっすぐ見つめる。
一度は暁都さんと一生の愛を誓い合った人。
実物はあまりに美人だった。
この人が浮気しなかったら僕と暁都さんが付き合うなんてあり得なかっただろうと思うほどの。
ク、と手のひらを握って答えた。
「……暁都さんの仕事の手伝いをしています。あー良かったらその、近くの喫茶店で一緒にお茶でも飲んで待ちますか?」
そうさ、これは相手を安心させて情報を引き出すための嘘さ。なんて惨めな言い訳を心の中でしていた。
『心理戦』
近くの喫茶店に一緒に入った。暁都さんと僕がよくモーニング食べに来るところ。チョコクロワッサンが美味しいお気に入りの場所…なのに今は敵(?)と一緒にいる。
大きな観葉植物近くの、ちんまりとした隅っこの席に二人で座った。
近くで見るとより美人で僕は凹んだ。
「ここよく来るのかしら?いい所ねえ」
ニコと笑う笑顔は人の良さそうだ。
でもこの人が暁都さんの親友と浮気なんてしてたなんて…人って分からないものだ。
「そう、ですね」
あはは…と愛想笑いした僕。
「あ、そう言えば私、しのって言います。紫に乃木坂の乃」
わあー素敵、と更に愛想笑いを重ねた僕。
チラッと見下ろした紫乃さんのコーヒーカップを持つ左手。その薬指には巨大なダイヤの指輪が嵌っていた。あれ暁都さんくらいお金持ってないと買えないやつだよな…なんて嫌な算段を頭の中で弾いていた。
「それでね、聞いてよ。暁都ったらヒドイのよ。執筆に集中したいからしばらく実家に帰ってくれ、なんて私を追い出したの。何よ、自分は朝ちょこっとしか執筆なんてしない癖に」
紫乃さんはぺちゃくちゃと良く喋った。僕をただの編集者と思っているからだ。
「あの人煮詰まるとあのパーマかかったみたいな癖っ毛の頭ガシガシ掻くのよね。私と喧嘩した時もよくやってたわ」
「ああ、確かに…」
少しばかり失笑したけど、同時に恐ろしくも感じていた。
紫乃さんは暁都さんをよく知っている。
たまたま元奥さんにそっくりな熱心なファンが妻です、なんて嘘ついてるんじゃ…とか希望的観測してたけど、違う。
リアルに一緒に住んでないと知らない様なことも、紫乃さんは良く知っていた。
さああっと血圧がまたも下がっていく。やっぱ本当に元奥さんだ、この人。
見てみれば喫茶店の壁掛け時計はあっという間に回っていた。
暁都さんにはテーブル下の携帯で、ひっそりLINEで助けを求めてあるけど今のところ反応はない。
「それでお子さん、とかは…?」
「ま、近い内にとは思ってるのよ。だから暁都に早くしてって言いに来たの」
心臓がドキッとした。え、この人マジ?
暁都さんの親友の人との子供いるはずだよな…?その人と再婚しなかったのか?あ、そっちとも離婚した?
だからじゃあ二人目は暁都さんと作りたいってこと?それで暁都さんと再婚を目論んでいる?いや正気か?
でももしそうだとしたら、暁都さんお金持ちだし、再婚狙いたくなる気持ちは分からなくはない。
うう、でもそんなの嫌だ…!!
色々考えて一人ざわざわしていた。とっくに飲みきったカップを手持ち無沙汰に弄った。
その時膝の携帯がヴンと鳴る。暁都さんだ。
『今向かってる、もうすぐ着く』
ホッとした。だからちょっと強気に突っ込んでしまった。
「でも暁都さんて結構ひとりの生活長いですよね?そんなに長く別居してらしたんですか?何年も?」
「…そうよ。大変だったわ。私を長いことひとりにして、酷い男よ。…それに浮気もしたわ」
!
僕は我慢出来ずに言った。
「あっ暁都さんは離婚してるはずです!
浮気したのはそもそも・・あ、あなたでしょう!?暁都さんから全部聞いてます、僕!」
周囲には聞こえないようにヒソヒソ声だったけれど。暁都さんがこんな風に言われるのは耐えられなかった。
だけど紫乃さんはビクともしなかった。
「ああ、暁都・・まだ病気が治ってないんだわ。あの人ね、虚言癖があるの」
「な、何言って・・!」
「作家ってね、息を吐くように嘘つくのよ。嘘を作り上げるのが仕事なの。だからよ」
「暁都さん…暁都さんはそんな人じゃない!!」
つい大声で言ってしまった。周りにチラッと振り返られた。しまった、と思ったけど、でも我慢出来なかった。
「暁都から何を吹き込まれたか知らないけど…じゃあ暁都が言ったこと、全部本当だと証拠でもあるのかしら?」
ウグっと詰まってしまった。証拠なんて確かにないけど…!
「それにあなた、編集のフリしてるけど本当は違うでしょう?今の暁都の恋人。興信所使って調べさせてもらったわ。
あなただって私にさっき編集だって嘘をついたじゃない。同じ様に、暁都もあなたに嘘ついてるかもしれないわよ?
まさか本気で自分が愛されているとでも?」
続く
離婚したはずの元奥さんがどうしてここに?胸がザワザワして仕方ない。
「ぼ、僕は……」
彼女の自信満々な瞳が僕をまっすぐ見つめる。
一度は暁都さんと一生の愛を誓い合った人。
実物はあまりに美人だった。
この人が浮気しなかったら僕と暁都さんが付き合うなんてあり得なかっただろうと思うほどの。
ク、と手のひらを握って答えた。
「……暁都さんの仕事の手伝いをしています。あー良かったらその、近くの喫茶店で一緒にお茶でも飲んで待ちますか?」
そうさ、これは相手を安心させて情報を引き出すための嘘さ。なんて惨めな言い訳を心の中でしていた。
『心理戦』
近くの喫茶店に一緒に入った。暁都さんと僕がよくモーニング食べに来るところ。チョコクロワッサンが美味しいお気に入りの場所…なのに今は敵(?)と一緒にいる。
大きな観葉植物近くの、ちんまりとした隅っこの席に二人で座った。
近くで見るとより美人で僕は凹んだ。
「ここよく来るのかしら?いい所ねえ」
ニコと笑う笑顔は人の良さそうだ。
でもこの人が暁都さんの親友と浮気なんてしてたなんて…人って分からないものだ。
「そう、ですね」
あはは…と愛想笑いした僕。
「あ、そう言えば私、しのって言います。紫に乃木坂の乃」
わあー素敵、と更に愛想笑いを重ねた僕。
チラッと見下ろした紫乃さんのコーヒーカップを持つ左手。その薬指には巨大なダイヤの指輪が嵌っていた。あれ暁都さんくらいお金持ってないと買えないやつだよな…なんて嫌な算段を頭の中で弾いていた。
「それでね、聞いてよ。暁都ったらヒドイのよ。執筆に集中したいからしばらく実家に帰ってくれ、なんて私を追い出したの。何よ、自分は朝ちょこっとしか執筆なんてしない癖に」
紫乃さんはぺちゃくちゃと良く喋った。僕をただの編集者と思っているからだ。
「あの人煮詰まるとあのパーマかかったみたいな癖っ毛の頭ガシガシ掻くのよね。私と喧嘩した時もよくやってたわ」
「ああ、確かに…」
少しばかり失笑したけど、同時に恐ろしくも感じていた。
紫乃さんは暁都さんをよく知っている。
たまたま元奥さんにそっくりな熱心なファンが妻です、なんて嘘ついてるんじゃ…とか希望的観測してたけど、違う。
リアルに一緒に住んでないと知らない様なことも、紫乃さんは良く知っていた。
さああっと血圧がまたも下がっていく。やっぱ本当に元奥さんだ、この人。
見てみれば喫茶店の壁掛け時計はあっという間に回っていた。
暁都さんにはテーブル下の携帯で、ひっそりLINEで助けを求めてあるけど今のところ反応はない。
「それでお子さん、とかは…?」
「ま、近い内にとは思ってるのよ。だから暁都に早くしてって言いに来たの」
心臓がドキッとした。え、この人マジ?
暁都さんの親友の人との子供いるはずだよな…?その人と再婚しなかったのか?あ、そっちとも離婚した?
だからじゃあ二人目は暁都さんと作りたいってこと?それで暁都さんと再婚を目論んでいる?いや正気か?
でももしそうだとしたら、暁都さんお金持ちだし、再婚狙いたくなる気持ちは分からなくはない。
うう、でもそんなの嫌だ…!!
色々考えて一人ざわざわしていた。とっくに飲みきったカップを手持ち無沙汰に弄った。
その時膝の携帯がヴンと鳴る。暁都さんだ。
『今向かってる、もうすぐ着く』
ホッとした。だからちょっと強気に突っ込んでしまった。
「でも暁都さんて結構ひとりの生活長いですよね?そんなに長く別居してらしたんですか?何年も?」
「…そうよ。大変だったわ。私を長いことひとりにして、酷い男よ。…それに浮気もしたわ」
!
僕は我慢出来ずに言った。
「あっ暁都さんは離婚してるはずです!
浮気したのはそもそも・・あ、あなたでしょう!?暁都さんから全部聞いてます、僕!」
周囲には聞こえないようにヒソヒソ声だったけれど。暁都さんがこんな風に言われるのは耐えられなかった。
だけど紫乃さんはビクともしなかった。
「ああ、暁都・・まだ病気が治ってないんだわ。あの人ね、虚言癖があるの」
「な、何言って・・!」
「作家ってね、息を吐くように嘘つくのよ。嘘を作り上げるのが仕事なの。だからよ」
「暁都さん…暁都さんはそんな人じゃない!!」
つい大声で言ってしまった。周りにチラッと振り返られた。しまった、と思ったけど、でも我慢出来なかった。
「暁都から何を吹き込まれたか知らないけど…じゃあ暁都が言ったこと、全部本当だと証拠でもあるのかしら?」
ウグっと詰まってしまった。証拠なんて確かにないけど…!
「それにあなた、編集のフリしてるけど本当は違うでしょう?今の暁都の恋人。興信所使って調べさせてもらったわ。
あなただって私にさっき編集だって嘘をついたじゃない。同じ様に、暁都もあなたに嘘ついてるかもしれないわよ?
まさか本気で自分が愛されているとでも?」
続く
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