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モンスターバトル
しおりを挟む「エントリーされるモンスターは何ですか?」
受付でそう言われたので。
「スライムです。」
「ス、スイムですか・・・。」
何か、受付の人に、すげえ見下されてる気がする。
「まあ、お前が飼えるなんて、そんなもんだよな。」
ゴミにまで・・・。
「それでは、こちらまで連れてきて頂けますか?」
受付の人にそう言われたので、俺はユラちゃんの名前を呼んだ。
「ユラちゃんっ!」
そう呼ぶと、ユラちゃんが現れた。
呼べば出現するまでの仲になったのだ。
夜限定だけど。
突然現れたユラちゃんを見て、周囲の人たちが神速の速さで逃げて行った。
あれ、ゴミまで。
「お、お客様・・・。」
遠くから、受付の人が聞いてくる。
「そちらのモンスター・・・、いえ、幽鬼ですよね、それ?」
「スライムです!」
俺は断言した。
「すげえじゃねえか、正道。」
ユラちゃんを引っ込めるとゴミが寄ってきた。
「おい、ゴミ。」
「あ、あの正道さん、いい加減名前を呼んで貰って?」
「恐らくベット出来るのは、最初だけだ。」
「いやいや、VIPライセンス無いからベット出来ないだろ?」
「特例でベット出来るように許可を貰った。」
コイツに金を預けるのは、信用できないのだが、今はコイツしか頼む相手が居なかった。
「全部、ユラちゃんに突っ込んでこい。」
そう言って、有り金全てをゴミに渡した。
まあ、最悪、優勝賞金でるから、金は心配ない。
「おい、正道。」
ゴミは、逃げずに戻ってきた。
「ユラちゃんの優勝に全額突っ込んできたぞ。」
「今って、そんなのがあるのか?」
「100倍だぞ。100倍。」
「優勝賞金より、多くならね?」
「一生、遊んで暮らせるぜ。」
ああ、やっぱりコイツはゴミだ。
駄目な大人の顔してる。
日本でも、当たってもない宝くじで夢見てるゴミのような大人が、周囲にもたくさん居たが、こいつはそれ以下だな。
今は、スライムでゴリ押ししてるが、勝っていくとイチャモン付けられる可能性はある。
最悪、1回戦の賭けの勝ち分だけでもと保険のつもりだったんだが・・・。
ゴミのせいで何が何でもゴリ押しするしかなくなった。
まあいいや、最悪カジノを潰しても手配される事は無いし、裏の世界で賞金首になる可能性はあるが、だからと言って困ることは無い。
そういえば・・・。
「おい、ゴミ。お前賞金首になってなかったか?」
「裏のだろ?」
「カジノに居て大丈夫なのか?」
「おいおい、俺だって冒険者の端くれだぞ?」
端も端、最先端と言っても過言じゃないような。
まあいいか、こいつが殺られたら、俺が賞金を貰おう。
一回戦の相手はサーベルタイガー。
うあ、めっちゃカッコいいんだけど。
「さっさと終わらせろ。」
「スライムで出場なんて、なめてんのかっ!」
観客席から、ヤジが飛んでるんだが。
まあVIPって言ったって、カジノに出入りするような奴らだから、柄が悪いのはしょうがない。
サーベルタイガーの飼い主の勝ち誇ったような顔にも腹が立つが・・・。
「ユラちゃんっ!」
そう言って、ユラちゃんを登場させるとパニックになった。
観客は逃げるわ、相手の飼い主も逃げるわ、サーバルタイガーなんて、檻を登れないような高さまで登って、身を震わせてた。
もちろん、ベット終了後に会場から出る事は出来ず、出入り口は、物凄いことになっていた。
「あ、開けろ、私を誰だと思ってるんだ。」
「幽鬼を持ち込むなんて正気かっ!」
怒号が飛び交ってたが。
「あれは、スライムです。」
「「「アホかっ!」」」
結局、俺のというか、ユラちゃんの不戦勝になって、ユラちゃんを引っ込めたら、場は治まった。
大会は中止の方向で話は進んでいたが、ゴミの本領発揮。その辺のチンピラの如く、絡みに絡んで、ユラちゃんの優勝で話はついた。
カジノから巻き上げた豪華な馬車に、大金を詰め込んだ俺たちは、カジノを後にした。
もちろん無事に町を出れるとは思ってない。
「おい、有り金おいていきな。」
柄の悪い連中に、馬車を取り囲まれた。
「たった20人で俺たちに勝てるつもりか?」
もっと柄の悪いゴミが、馬車から降りて20人相手に凄む。
このまま置いて行ってもいいんだが、襲われて逃げるだけってのも性に合わない。
この世界に来て師匠に教わったことがある。
人に剣を向けていいのは、自分も斬られてもいいという覚悟がある者だけだと。
俺が馬車から降りる頃には、既に3人が死んでいた。
最先端に弱いゴミと言えど、冒険者。
この世界で冒険者になるには、越えなければならない壁が存在する。
幽鬼という壁が。
街に巣食うチンピラごとき束になろうと冒険者の相手ではなかった。
6人が絶命したころに、相手はビビり始めた。
数の優位が次第になくなり、更には数の優位が何の役にも立たないと気付いたからだ。
俺は、既に二人の首を落としていた。
どんな悪人であれ、死ぬ時くらい痛みがない方がいいという思いからなのだが、師匠からは甘いとよく怒られていた。
逃げ出そうとしていたチンピラの一人を捕まえて、ゴミの方に放り投げた。
「誰に頼まれた?」
こういう役は、ゴミのように強面がやるに限る。
「手足を一本ずつ斬っていけば、そのうち喋るだろ?」
俺がそうゴミに助言した。
実際、俺の師匠は、野党や悪党相手に、そういうことを躊躇なくやっていた。
「か、カジノに頼まれたんだ。」
手足一本も失うことなく、喋るチンピラ。
「どうする?」
ゴミは、そういうとチンピラを意にかけることもなく殺した。
「そうだな、潰していくか。」
悪の巣窟なんて潰しておくに限る。
カジノ潰して、金を奪ったら強盗だけど、さすがにそんな悪辣な事はする気はない。
だって、このお金は、真っ当に稼いだお金ですからっ!
ユラちゃん、様様なんだけどね。
カジノの建物の前に行くと、俺はユラちゃんを呼び出した。
いつもの十倍の大きさのユラちゃんがカジノの上空に現れると、あっさりとカジノの建物を押し潰した。
「「・・・。」」
唖然となる俺とゴミ。
「ま、まあ結果オーライか?」
ゴミが聞いてきた。
「よ、予定通りだ・・・。」
俺はそう返すしかなかった。
これは、ちょっとやり過ぎたかな?とも思ったけど。
カジノに集まるような奴は、碌なやつが居ないことは確かなんで、まあいいか。
「本当にいいんだな?」
俺は、ゴミに分け前は持てるだけ持って行けと言ったのだが、このバカ、動けなくなるくらいの金を持っていこうとした。
「お前、速攻で襲われて死ぬぞ?」
俺は、そう忠告してやった。
まあ、金がそんなにいるわけでもなく。
だって、何もせず優雅に遊んで暮らしてたら、間違いなく殺されるよね?
海外で、悠々自適に暮らしている日本人がよく殺されているしね。
一か所に留まって居ることが出来ない事情もあるし。
カジノで負けてショボショボと歩いている、おっさんを捕まえ。
現実世界でも、パチ屋から出てくるおっさんの殆どが、この世の終わりの様な顔をしている。
「荷車を売ってくれ。」
そう言って、相場の3倍の金を見せつけると、速攻で荷車を持って来た。
ああ、こんな大人にはなりたくねえな。
荷車に6割強の分け前を載せ、ゴミに渡した。
「お、おい、何かあるんじゃねえだろうな?」
疑うゴミ。
「後ろから俺を殺る気か?」
「お前を殺るのに、正面からでも余裕だが?」
「・・・。」
今回の金は1割でさえ、一生暮らせる大金だ。
が、このゴミなら、6割でさえ1年ももたないだろう。
カジノに対して、若干後ろめたさもあるし、還元分と思って、ゴミに6割も渡したのだ。
何度も、何度もこちらを振り返りながら、離れていくゴミ。決して感謝の気持ちで振り返ってるのではなく。
俺を警戒しているのだ。
まったく、去っていく時までゴミのような奴だ。
俺は、豪華な馬車を操り、カジノの町を後にした。
「しまった、女紹介して貰ってねえ。」
ふと思い出したが、まあいいや。
これだけ、金もあるんだし、女も寄ってくるだろう。
そう、よからぬ思いをはせていると、天が望みをかなえたのだろうか?
馬車の行く手を絶世の美女が立ちはだかった。
金髪青眼の絶世の美女。
パッキンに、青い瞳。
青緑の碧眼とは違い、完全なブルー。
決して元の世界では、出会えないような美女。
俺が、今、最も・・・。
「探したぞ、正道。」
会いたくない女性。
ああ、俺死んだな、これ・・・。
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