ニートじゃなくてただの無職がVRMMOで釣りをするお話はどうですか?

華翔誠

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第一部 失業したおっさんがVRMMOで釣りをしていたら伯爵と呼ばれるようになった理由(わけ)

ゲーム過去編「女子会」

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「ベルに聞きたいことがあるんですが?」
今は、冒険の休憩中。
サーラントは、ベルラインに寄り添うように腰かけていた。
正式版が始まって以来、やけにくっついてくるサーラントに、
ベルラインは、困惑していた。
が、βからの戦友ということもあり、無下にもできず、
寄り添うのを黙認してきた。
異性であればパーソナルエリア警報が出てもおかしくない距離だ。
「なんだ?」
「ベルファンとかベルサラって何の事ですの?」
「・・・。」
「ギルドの人たちに聞いても、教えてくれないんです。」
【トイレ休憩で落ちてる奴は、まだ戻ってこないのか】
ベルラインは、心の中で思った。

今日は、眠れぬ教会の一人と聖騎士団の一人、計二人のLv上げを行う
為の冒険だった。
サーラントとベルラインは、護衛のために付いてきていた。
トイレ休憩に行ってるのは、野武士から護衛に来てる男性だ。

「人にはそれぞれ主義というものが存在する。あまり詮索しない事だ。」
ベルラインは、苦し紛れに答えた。
「また主義ですの・・・。」
そうこうしてると、野武士の人間が戻ってきたので、再びLv上げが始まった。


どうしても気になったサーラントは、パルコがONしてるのを確認し、
連絡をとった。
鋼の翼のギルドルームで話をしようということになった。
現在は、ヴォルグ、パルコ、カラットの3人しか所属しておらず、
ギルドルームを使用する者は、殆ど居なかった。
サーラントはパルコが苦手ではあったが、それは剣を抜いてるときであり、
通常時は、良き相談相手となっていた。
「パルさん、ベルファンとか、ベルサラって何の事ですの?」
「あちゃあ、ついにサーラちゃんの耳にも入ってしまったか。」
「私に関係することですの?てっきりベルに関係することかと・・・。」
「まあどっちもかな。」
「???」
「ベルファンはね、ベルラインファンクラブの略ね。」
「なんとなくわかります。」
「で、ベルサラの方は、ベルラインとサーラントを見守る会の略かな。」
「な、ななななな、何ですの、それは・・・。」
「二人を温かく見守ろうって事だけど?」
「ど、どどどどど・・・。」
「落ち着いて、サーラちゃん。他人の主義というか趣味みたいなもんだから、
 サーラちゃんは気にせずに。」
「気にするなってのが、無理ですっ!」
顔を真っ赤にしてサーラントは言った。
「そうなると思って、皆、サーラちゃんに言わなかったんでは?」
「そ、それはそうですけど・・・。ベルは、この事知ってますの?」
「多分ね。」

「パルちゃん、こんばんわ。サーラも居たのか。」
タイミングよくというか、悪いというか、ベルラインがギルドルームに
入ってきた。
名刺交換していれば、相手が居る場所が、大体特定できる。
冒険していれば、その地方名が表示され、ギルドルームにいれば、
ギルドルームと表示される。
ただ、どこのギルドルームにいるかまでは、特定できない。
【間が悪い人って、本当にいるのね】
パルコは内心でそう思った。
テーブルはなく、円形状につらなるソファは、パルコの趣味。
ベルラインは、他の二人と同様にソファに腰をおろした。
いつもであれば、サーラントが近くに寄って来るのだが、そんな素振りも
見せずに、うつむいていた。
「どうかしたのか?サーラ?」
「な、なんでもありませんわ。」
ベルラインが、パルコの方を見ると、パルコは、やっちゃったみたいな
顔をしていた。
「もしかして、サーラ、あの事をパルちゃんに聞いたのか?」
「き、気になってたから、しょうがないじゃないですか・・・。」
「他人の主義だから、気にするなと言ったろう。」
「そうですけど・・・。」
「まあねえ。薄い本なんかも出ちゃってるけど。気にしない事ね。」
パルコが爆弾発言をした。
「パ、パルちゃんっ・・・。」
「何ですの?薄い本って?」
「知らなければいいのよ。」
パルコが誤魔化そうとする。
「サーラ、他の所では、絶対に聞かないようにしろ。」
「気になりますの・・・。」
「くっ、貴様が他でやらかしたら、とんでもない事になるからな、仕方ない。
 薄い本とはな、18歳未満禁止の本だ。」
「???」
「わかってないみたいよ?
 いい、サーラちゃん薄い本ってHな本の事よ。」
「へ?私とペルは女同士ですよ?」
「だから、そういう本よ。」
ボッ
火を噴いたようにサーラントの顔が赤くなる。
「サーラ、これに懲りたら何でも知りたがらない事だな。」
「つ・・・つまり、私がペルに迫られるみたいな?」
「何を言ってるんだ・・・。」
「殆どがベル受けの本らしいわよ?」
「受け?」
「つまりサーラちゃんが、ベルちゃんに迫るって事よ。」
ボッボッボッ
火山が大噴火したような顔になった。
「わ、わわわわっわ、私が、ベルを・・・。」
「ギャップ萌えという奴だろ。他人の趣味なんか気にしない事だ。」
「あら、ベルちゃんは平気みたいね?」
「見なければいいだけだ。」
「ど、何処に行けば買えるんでしょう?」
「おいっ・・・・。」
ベルラインが突っ込んで、事なきを得た。

が、後日、ネットでも買える事をパルコが伝えたのは言うまでもない。
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