ニートじゃなくてただの無職がVRMMOで釣りをするお話はどうですか?

華翔誠

文字の大きさ
26 / 98
第一部 失業したおっさんがVRMMOで釣りをしていたら伯爵と呼ばれるようになった理由(わけ)

悩み

しおりを挟む
美緒には誰にも言えない悩みがあった。
「おっさん、バイトの後、話があるんだけど。」
いつものごとく一人で店に来ていた時野に話しかけた。
「俺に?」
「そう。」
「じゃあ進んとこで待ってるよ。」
時野がそう言うと、美緒はコクリと頷いた。

「私って親父とお母さんの本当の子供なのかな?」
波田運輸サービスで、時野は美緒から思いがけない相談を受けた。
「残念ながら・・・。本当の子だよ。」
「残念ながらって何だよっ!」
「宇品みたいなのから、美緒ちゃんみたいな可愛い子が・・・。」
「本当の子供っていうけどさ、私の赤ちゃんの頃の写真が、
 一枚もないんだよっ。」
「いや、あるよ。うちにも一杯あるし。」
「なんで、おっさんが持ってるんだよっ!」
「俺の息子と同い年だからね。赤ちゃんの頃は頻繁に会ってたよ。」
「うちには無いんだけど・・・。」
「ん? あー・・・そうか・・・。」
「なんだよ?」
「お母さんには相談してみた?」
「言えねえだろっ。普通・・・。」
「まあ見せれない理由は、別にあるんで、お母さんに相談してみたら?」
「どういう理由だよ?」
「そんな、たいした理由じゃないから、安心して聞いてみて。
 お母さんがいいって言えば、俺が持ってる写真も見せてあげるよ。」
「わかった・・・。」

「お母さん、私の赤ちゃんの頃の写真が無いんだけど?」
ギクっ!
家に帰ると美緒は、さっそく聞いてみた。
「そ、そうだったかしら・・・。」
「おっさんに相談したら、お母さんの許可とれって。」
「おっさんって?」
「時野のおっさん。」
【ちっ、康平君の写真と混じってたかっ!!!】
「どうしたの?お母さん?」
「いえ、どうもしないわよ?」
「うちにないなら、おっさんに見せてもらうけど?」
「えっ・・・。」
「・・・。」
美緒は、ジーっと母親を見つめた。
「はははは・・・。はあ・・・。しょうがないか。」
そういって、母親は古いアルバムを出してきた。
「いい、美緒。決して笑わないでね。」
「・・・。」
意味がわからなかった。

恐る恐るアルバムをめくると、スーパーヤンキーカップルと
赤ちゃんの写真があった。
親父が元暴走族というのは、知っていたが。
「こっちが親父だろ?この女の人は誰?」
「・・・。」
母親は、何も言わない。
「まさか、私の本当のお母さん?」
「・・・わ、わたし・・・。」
物凄く小さい声で答える母親。
「え?」
「だから、私なのっ!」
「・・・。」
笑うというより、物凄く引いた。
あの優しくて、たよりになる母親の過去がこれ??
顔から血の気まで引いてきた。
「わ、笑いたかったら、笑ってちょうだい。」
とても笑える状況ではなかった・・・。
「お、お母さんもグレてたの?」
「ちょ、ちょっとだけね。」
写真から見るに、とてもちょっとだけとは言えない雰囲気だった。
「私が髪染めても、バイトしても何も言わなかったのは?」
「い、言えた義理じゃないので・・・。」
「・・・。」
「一つだけ、親として言っとくけど。」
「何?」
「高校だけは卒業しなさいね。」
「するよ、普通。そこまで成績悪くないし。」
「そ、そうね・・・。」
「あれ?親父は高校出てるって聞いたけど・・・まさか・・・。」
「ごめん・・・私は、中退なの・・・。」
「それって私が出来たからとか?」
「ううん。成績も悪かったし、学校もあまり行かなかったしね。」
「・・・。」
スーパーカミングアウトされて、美緒は何も言えなくなった。
開けてはいけないパンドラの箱を開けた気分だった。
まあ、最後に残ってたのが実の子だったという安心っていうのが、
救いといえば救いなのかも・・・。
とりあえず、高校だけは、ちゃんと卒業しようと決心した美緒だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

処理中です...