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第二部 淡水の王者と虫の王者
ビショップは、つらいよ 卒業編
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ビショップこと、村元政夫が通う大学は関西にある。
ようやく内定が決まった、村元だが、就職先は東京だった。
「どうするつもりなの?」
内定が決まり、喫茶店で村元は川俣千夏に報告したが、
喜んで貰えるどころか、意味の分からない質問が飛んできた。
「ど、どうするって?」
「私たちの事よ。」
「へっ?」
何の事かさっぱり、判らない村元政夫。
「そっか、東京に行ったら、私の事捨てるんだ。」
「いやいやいや、何それ?まるで俺たちが付き合ってるみたいな。」
「付き合ってるわよ。」
「・・・。」
デートというか食事に行ったりすることもあった。
もちろん大会に応援に行ったりもした。
が、恋人同士と言われることは、何一つしていない。
ここで、付き合って居ないと言えばどうなるのだろう・・・。
恐る恐る村元は、川俣千夏の方を見た。
彼女は、泣くと言うより、メラメラと炎を燃やし始めていた。
【これ、間違えたら殺される・・・。】
村元は慎重に言葉を選んだ。
「い、今まで通りでいいんじゃないかな?」
「遠距離ってこと?」
「そ、そうだね・・・。」
「ねえ。」
「ん?」
「東京で浮気したら、殺すわよ?」
目がマジだった。
卒業式が終わり、二人は食事に行ったのだが、川俣千夏は落ち込んでいた。
寂しそうに。
「だ、大丈夫だって。俺、器用じゃないの知ってるだろ?」
ミスター不器用が、慰めた。
彼女は美人だから、きっといい人が現れてくれるはずと淡い期待をもちつつ。
それまで、我慢我慢と心に決めていた。
「大学辞めようかな・・・。」
「いやいやいやいや、ダメでしょ?」
村元は真剣に焦った。
「私に東京に一緒に来てほしくないの?」
村元は、無い知恵を絞って言葉を選んでいく。
「いいかい、君は大学の期待も背負ってるんだよ?その辺をもっと自覚した方が
いい。俺が浮気することなんて絶対ないから。」
「絶対?」
「ああ、約束するよ。」
「浮気したら一緒に死んでくれる?」
「・・・。」
「死んでくれる?」
「も、もちろんさ。」
【白馬に乗った王子様、速く彼女を迎えに来てあげて・・・。】
心の底から、そう願った。
その帰り道、彼女は村元に寄り添うように腕を組んだ。
「ちょっと酔ったみたい。」
【いやいやいや、あなた未成年だし、そもそも飲んでないでしょっ】
心の中で思いっきり突っ込んだ。
そして、彼女は自分の学生マンションに帰ろうとせず、村元のアパートまで
ついてきた。
【正念場だぞ。村元政夫っ!理性を保てば、後はどうとでもなる。遠距離なんて
破たんするのが定石だっ!】
心の中で、自分に強く言い聞かせる。
彼女をベットに寝かせ、自分はカーペットの上で、雑魚寝しようとした。
「お水欲しいな。」
彼女がいうので、村元は、コップに水をいれ彼女に差し出そうとした。
すると、物凄い力で、引き寄せられ、彼女は首に腕を回し抱き付いてきた。
「恥をかかせないでね。」
彼女が言った。
【やばいっ、やらなきゃ、殺られる・・・。】
村元の本能がそう感じ取った。
そうして、村元は不毛な遠距恋愛を強いられる事になり、就職先へと
旅立った。
ようやく内定が決まった、村元だが、就職先は東京だった。
「どうするつもりなの?」
内定が決まり、喫茶店で村元は川俣千夏に報告したが、
喜んで貰えるどころか、意味の分からない質問が飛んできた。
「ど、どうするって?」
「私たちの事よ。」
「へっ?」
何の事かさっぱり、判らない村元政夫。
「そっか、東京に行ったら、私の事捨てるんだ。」
「いやいやいや、何それ?まるで俺たちが付き合ってるみたいな。」
「付き合ってるわよ。」
「・・・。」
デートというか食事に行ったりすることもあった。
もちろん大会に応援に行ったりもした。
が、恋人同士と言われることは、何一つしていない。
ここで、付き合って居ないと言えばどうなるのだろう・・・。
恐る恐る村元は、川俣千夏の方を見た。
彼女は、泣くと言うより、メラメラと炎を燃やし始めていた。
【これ、間違えたら殺される・・・。】
村元は慎重に言葉を選んだ。
「い、今まで通りでいいんじゃないかな?」
「遠距離ってこと?」
「そ、そうだね・・・。」
「ねえ。」
「ん?」
「東京で浮気したら、殺すわよ?」
目がマジだった。
卒業式が終わり、二人は食事に行ったのだが、川俣千夏は落ち込んでいた。
寂しそうに。
「だ、大丈夫だって。俺、器用じゃないの知ってるだろ?」
ミスター不器用が、慰めた。
彼女は美人だから、きっといい人が現れてくれるはずと淡い期待をもちつつ。
それまで、我慢我慢と心に決めていた。
「大学辞めようかな・・・。」
「いやいやいやいや、ダメでしょ?」
村元は真剣に焦った。
「私に東京に一緒に来てほしくないの?」
村元は、無い知恵を絞って言葉を選んでいく。
「いいかい、君は大学の期待も背負ってるんだよ?その辺をもっと自覚した方が
いい。俺が浮気することなんて絶対ないから。」
「絶対?」
「ああ、約束するよ。」
「浮気したら一緒に死んでくれる?」
「・・・。」
「死んでくれる?」
「も、もちろんさ。」
【白馬に乗った王子様、速く彼女を迎えに来てあげて・・・。】
心の底から、そう願った。
その帰り道、彼女は村元に寄り添うように腕を組んだ。
「ちょっと酔ったみたい。」
【いやいやいや、あなた未成年だし、そもそも飲んでないでしょっ】
心の中で思いっきり突っ込んだ。
そして、彼女は自分の学生マンションに帰ろうとせず、村元のアパートまで
ついてきた。
【正念場だぞ。村元政夫っ!理性を保てば、後はどうとでもなる。遠距離なんて
破たんするのが定石だっ!】
心の中で、自分に強く言い聞かせる。
彼女をベットに寝かせ、自分はカーペットの上で、雑魚寝しようとした。
「お水欲しいな。」
彼女がいうので、村元は、コップに水をいれ彼女に差し出そうとした。
すると、物凄い力で、引き寄せられ、彼女は首に腕を回し抱き付いてきた。
「恥をかかせないでね。」
彼女が言った。
【やばいっ、やらなきゃ、殺られる・・・。】
村元の本能がそう感じ取った。
そうして、村元は不毛な遠距恋愛を強いられる事になり、就職先へと
旅立った。
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