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第二部 淡水の王者と虫の王者

リアル過去編「花の女子大生」

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花の女子大生になった刈茅未菜は、先日サークルの先輩と
意気投合し、先輩の家にお泊りしてしまった。
寝込みを襲って、ディープキスをしたまではよかったが、
そこで先輩が目覚めて、マジ切れしてしまい、サークル自体出禁を
食らってしまった。
「あーあ、女性ばかりのいいサークルだったのになあ。」
ボーイッシュなショートカットに、ブランド物で身を固めながら、
自然と着こなすお嬢様。
中高とトップクラスの頭脳を持ち、才色兼備とは彼女のためにある
言葉の様だが、残念ながら、中身は腐っていた。
「そろそろ千鶴も全日本が終わって落ち着いてる頃ね。」
自称恋人の名前を思い浮かべ、彼女に会いに行く事を決めた。
同じ大学に居るため、簡単に会うことが出来る・・・訳ではないが
ストーカーの如く、千鶴の履修科目が頭に入ってるので、探すのは
訳なかった。
さっそく千鶴を見つけ、声を掛けようとすると。
「なっ・・・。」
なんと、井伊千鶴は、右足にギブスをはめて、松葉杖をついていた。
「何があったの千鶴、誰が私の可愛い千鶴をっ!」
詰め寄って問いかける未菜。
「み、未菜、落ち着いてください。」
「い、痛い、痛い・・・。」
未菜にアイアンクローをかまし、落ち着かせる千鶴。
「落ち着きましたか?」
「い、痛いじゃないっ。」
「そうですか?中学までは、いつもの事じゃないですか?」
「いや、そうだけど・・・あんた握力上がってんじゃないの?」
「まあ、10以上は上がってると思いますよ?」
「ちょっ・・・中学で40近かったのに・・・。」
「これも未菜のお蔭です。いつも変な事してくるから、いい練習に
 なりました。」
「・・・。 それより足どうしたの?」
「大会で、やっちゃいました。全治2ヶ月です。」
「えっ・・・。」
「いえ、そんな大きな怪我じゃないんですよ、手術すればもっと早く
 治りますし。」
「手術しないの?」
「将来を考えたら、自然治癒の方がいいだろうって。幸い学生選手権も
 全日本も終わりましたし、ゆっくり治ります。」
いつもの千鶴のように見えるが、未菜には落ち込んでるのが、よくわかった。
「あんた部活はどうするの?」
「当分お休みです。」
「だったら、今日、講義終わったら、遊びに行かない?」
千鶴の気分転換のために、未菜は遊びに誘った。
「嫌です・・・。」
「え・・・。」
「行きません。」
「ちょっ、用事でもあるの?」
「ないです。」
「・・・。」
「・・・。」
「私、泣いちゃうよ?」
「アイアンクローしますよ?」
「久しぶりに遊びに行くくらいいいじゃないっ!」
「サークル出禁になるような人と遊びに行きたくありません。」
「うっ・・・、何故それを・・・。」
「和美先輩が教えてくれました。」
「あのアマア・・・。今度はディープだけじゃすまさねえ・・・。」
「ということで、私は講義がありますので。」
「ち、ちづるーーーーーっ」
その場に泣いて伏せる未菜だったか、まったくもって無視された。

その日の講義も終わり、帰ろうとした千鶴だが、やっぱり未菜は待っていた。
「えへへ。」
笑いかける未菜をスルーし歩いてく、千鶴。
松葉杖なので、歩く速度は遅い。
「ちょっ、無視はないでしょっ?」
「離れてくれませんか?こんなのと幼馴染なんて思われたくないんで。」
千鶴は、1年生ながら学生選手権で優勝してる為、学内では有名人だった。
もちろん、未菜も先日の件で、有名人に。

「おい、あれ1年の刈茅だぜ。」
「ミスの最有力候補が、まさかガチだったなんて・・・。」
「おれあの子のファンだったのになあ。」
「いや、なんか雰囲気違ったよ。最初から。」

周りが騒ぎだす。
「あれれ・・・。私、有名人に?」
「和美先輩、相当怒ってましたから。」
「だってさ、家に泊めてくれたらOKじゃないの?」
「その腐った頭、速く治した方がいいですよ。」
「そんなあ、私、千鶴にまで捨てられたらっ・・・。」
「それはそうと、何処行くんですか?」
「へ?遊んでくれるの?」
「場所によります。変な所だったら、行きません。」
ここで、未菜は考える。
欲望むき出しの場所を答えると、千鶴は本当に帰ってしまうだろう。
「じゃ、じゃあゲーセンは?」
「あまり、動きたくないです。」
「ああ、ゲーセンって言ってもね。VR機の体験が出来るお店屋さんね。」
「VR機?」
「バーチャルリアリティーなんだけどね。」
「私、ゲームしないんで、よくわかりませんが。」
「足怪我してても大丈夫だから、行ってみよ?」
「変な所だったら、本気のアイアンクローしますよ?」
「えと・・・今日食らったのは、どの程度?」
「半分の力も出してませんが?」
「へー・・・。」
【あれで半分って、本気出されたら私、死んじゃうかも・・・。】
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