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「弦、我に問いたい事があると聞いたが?」
いつもより早く部屋に戻って来たイシュは、いつも通りに僕を抱きしめて頬にキスをして、僕の顔を覗き込みながらそう聞いて来た。
「あ、うん。笑わないで聞いてくれる?」
「勿論だ、我の愛し子」
「その愛し子って言葉どう言う意味で使ってるの……?」
「唯一無二の存在だと思って使っておるぞ。弦を一目見た時から我は、弦を伴侶に望んでおるのだ」
「本当に……? それならどうしてキス以上の事をしないの……?」
だから僕は、温度差を感じてたんだ――いや、今も感じているからこそ、イシュへの感情に気付かないフリをしていた。もう随分と前から僕は、イシュの事を好きになってる。そもそも二年もの期間一緒に居て、色々と世話を焼いて貰って、絆されない方が可笑しい。
「しても良かったのか……? 弦の世界では同性は性的対象ではないのだろう? 我は、弦に嫌な思いをさせるくらいならば、我慢した方が良い」
「え、我慢? 他は……?」
それは、僕に手を出すのを我慢してるって意味だよね? 他からの供給はちゃんと受けてるよね?
魔力の供給には性行為で循環させるのが一番効率がいいとスーザンが言っていた。それは魔力保有量が多いほど顕著だと。つまり、イシュが一番それが必要な訳で、相手側からしても、イシュの魔力は極上なはずだから、引く手は数多なはず――
「他で補給しては我慢とは言わぬ。それに弦の魔力を知って仕舞えば、他など到底供給を受けれたものではない」
まさかの受けてなかった。
「弦のいた国では操立てと言う言葉があるのであろ? 我が本気だと知って貰う為に弦に操を立てたまでの事」
確かにあるけど、それは生命維持に直結しないから出来るものだと思う。
「イシュ、体調は? 大丈夫なの?」
「身体はだるいが問題はない。耐えられぬ程でもないからの」
「それは大丈夫って言わないよ! なんでもっと早くに言ってくれないの! バカじゃないの!?」
「なっ……!」
少しくらい僕が喜ぶと予想していたのか、イシュは驚きを隠せない様で、急にあたふたし始めた。そんなイシュの顔を僕は両手で挟んで、イシュの唇に自分のそれを重ねた――
そう言えば、イシュとはもう何度もキスしてるけど、僕からキスするのは初めてかもしれない。
「僕はね、イシュの事が好きだよ。確かに、男同士に抵抗はあった。でも、そんなのはもう、どうでもよくて。僕が悩んでたのは、イシュの僕に対する気持ちが、僕と同じだとは思えなくて、尻込みしちゃってたんだ」
身体だけの関係でもいいから――なんて自分の首を絞める様な気しかしなくて、言えなかった。どうせ、身を任せるなら、僕はイシュからの愛が欲しい。だけど、それを言うのも、イシュの気持ちを知ってからじゃないと言う勇気は持てなかった。本当、僕ってヘタレ。その所為でイシュに無理をさせてるとは思わなかった。僕って馬鹿だな……よく考えれば、毎晩僕と同じベッドで寝てるから、他の相手なんてしてる訳ないのに。
「ごめんね。僕の所為で毎日身体も辛かったよね? そんなに僕の事本気で思ってくれてたなんて思わなくて。僕、自分に自信がなくて、臆病者だから……」
スーザンにお膳立てしてもらえなきゃ、イシュの気持ちを聞けなかったくらいに。
「いや、我がきちんと伝えていなかったのが悪いのだ。弦がスーザンに相談してくれて居らねば、弦が不安に思って居た事など、気付きもしなかった」
驚いて固まってたはずなのに、いつの間にか復活してたイシュは、僕の腰を抱いて膝に乗せる様にしてソファに座り直した。
「改めて言おう。弦、我の伴侶になってくれぬか?」
「本当に僕でいいの?」
「当然だ。我はもう一生、弦しか要らぬのだから」
「で、でもでも、僕は魔族じゃないし、寿命も違うから、そこまで思ってくれなくてもいいんだよ……?」
自分から告白しておきながら、イシュからのプロポーズと予想以上の気持ちに、逆に焦ってしまう。
「もう思ってしまっておるのだから、手遅れと言うものだ。それに、そこは心配しなくても良いと思うがの。それで弦、返事はくれぬのか……?」
「え、えっと、こんな僕でいいなら是非、貰ってください……!」
なんで心配しなくていいの? とか、手遅れって何!? とか聞きたい事は、色々あったけど、僕は、プロポーズに返答する事を優先した。だって、この感じだとまた、イシュにどこか勘違いされそうな気がしたから。
「んっ……ふ、ぁ……っ」
返事をきいたイシュは、勢い良く立ち上がって、僕をベッドに抱き上げて、そのまま性急に唇を奪って来た。その激しさに僕は声を漏らしてしまう。
「やっと、弦に触れられる……」
キスの合間に僕の着てたシャツはいつの間にか脱がされてて、肌に直接イシュの舌が這う。
「ッ……ひ、ぅ……」
時折吸い付かれるチリリとした痛みに、思わず声をあげながらも、これが、噂に聞くキスマークって奴なのかな――なんて考える余裕があったのはここまでだった。
向こうでも恋人なんて出来た事なかった僕は、同性は勿論、異性との性経験もなくて、僕がイシュに勝てるはずもないんだけど、ただただ、イシュが与えてくる愛撫に翻弄されるしかなかった。
「ひ、ひぁぁああああ――」
的確に、時に焦らされながら、他への愛撫でとっくに立ち上がって、涎を垂らす陰茎は触れられれば、すぐに一度目の射精を迎えてしまう。
「ッ、冷たっ……」
イった事で力が入らない僕の後孔に香油が垂らされて、その冷たさに身体がぞくりと震えた。
「急だった故、温めたものを用意出来なかったすまぬな」
一切乱れてない、それこそ服のボタン一つ外れていないままのイシュはそう言いながら、自身の指にも香油を纏わせ、ぷつりと僕の後孔に中指を突き入れた。
後から思えば、その場で香油を魔術で暖めるくらい訳ないはずなのに。
「ぅ、あ……ッ」
初めて感じる異物感に言葉にならない声を上げてしまう。
何だが、僕ばっかり乱れてる――それが余計に僕の羞恥を煽った。
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