どういうわけか源氏物語の世界に迷い込んだ私ですが……とにかく、幸せになるべく奮闘します!

暦海

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やっぱりそっくり?

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「――わぁ、大きくなったねげんちゃん!」
「…………へっ? あっ、うん……」
「……あの、女御にょうご? 貴女は、いつの間に幼い頃の若宮わかみやを知って……それに、源ちゃんとは――」
「ああいえっ、そう言えばな~んにも存じませんでしたわおほほほほ――」
「女御!?」


 翌朝、清涼殿にて。
 思わず感慨が込み上げそう伝えると、呆気に取られた表情かおでこちらを見つめる見目麗しい男の子。かつての愛息子、源氏げんじきみその人だ。……いや、愛息子といっても帆弥わたしのではないけども。

 そして、そんな反応は彼だけでなく――すぐ隣に視線を移すと、愛息同様ポカンとした表情かおで問い掛ける帝の姿が。……まあ、そりゃそうだよね。当然ながら、この子のもっと幼い頃なんて藤壺わたしが知ってるはずないし。あと、源ちゃんとか絶対言わな……と言うか、帆弥わたしも初めて言ったし。


 ただ……思わず藤壺ふじつぼらしからぬ反応をしてしまったのも、ある程度は仕方ないかなと思う。だって……うん、あんなにも小さかった光源氏あのこ……いや、今も小さいんだけど……ともあれ、こんなにも成長した我が子を前にしたら、やはりぐっと胸にくるものがあるわけで。……いや、帆弥わたしの子じゃないけども。

「……ねえ、女御さま。これ……」
「……えっ? ……わぁ、綺麗」

 そんな感慨に浸る最中さなか、そっと鼓膜を揺らす愛息子の声にハッと我に返る。何の汚れもない、愛くるしい瞳を向け差し出してきたのは庭園に咲く梅の花。……そう言えば、この頃の彼はこうして藤壺わたしに気持ちを伝えてくれてたんだっけ。何とも可愛らしく、ぎゅっと抱き締めたく――

 ……いや、駄目だ。本来、光源氏このこ藤壺わたしは決して結ばれてはならない関係――神様からの条件などなくとも、過度に距離を縮めるわけにはいかない。なので……ほんとに、本当に心苦しいのだけど、ここは――


「――あら、坊や。あの先帝の皇女たるこの藤壺わたくしが、そんな何処にでも咲いてるような平凡な花程度で靡くとでも? 分かったら、せいぜい男を磨いて出直してくることねおほほほ――」
「ひどくない!?」

 ……うん、ほんと酷いね。私だってやだよ、こんな藤壺。


 その後、瞳に潤ませどうしてか謝る我が子を冗談だと言い聞かせ慰める私。……うん、ほんとごめんね? あんなこと、もう二度と言わないから……たぶん。

「……ふふっ、それにしても……驚きはしたけど、一方で嬉しくも思うよ。そのような冗談を言うくらい、若宮と打ち解けてくれたのだから」
「……え? あっ、ありがとうございます……」

 すると、不意に届いた思い掛けない言葉にたどたどしく答える私。……えっと、ついお礼を言っちゃったけど合って……いや、たぶん合ってな――

「……以前にも申したけど、貴女は本当に更衣こうい――この子の亡き母に似ていてね。だから、と言うわけでもないが……どうか、これからもこの子と仲良くしてあげてほしい」
「……あっ、えっと……はい」

 そう、穏やかな微笑で話す帝。……そうだ、帝にとっても光源氏このこにとっても、藤壺わたしは――


「……うん、改めて思ったけど……本当に、更衣に良く似ているね。とりわけ、あの快活な笑い方は本当に良く似て――」
「いやリセットされてねえんかい!!」

 










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