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初めてのご対面?
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――ともあれ、数日過ぎたある朝のこと。
「――おはようございます、紫の君。私は、藤壺と申します。ご機嫌いかがですか?」
「……へっ、あっ……えっと……」
自室にて女房達と遊んでいると、卒然控えめに襖を叩く音が。どうぞと促すと、開いた先にいたのはかつての私たるあの麗しき女御さまで。……いや、この文章だけ切り抜くと全く意味分かんないけど……まあ、事実なので致し方なく。
ところで、それはそうと……本作にあったかな、こんな場……いや、気にしなくて良いか。きっと、神様の計らいか何かだろうし。
……ただ、それはともあれ……うん、やっぱり藤壺なんだよね。麗しく気品に満ち溢れた、あの藤壺なんだよね。思えば、こうして対面するのは初めてかも。
神様曰く――ある一部分を除き、私だった頃の藤壺の要素は何も残っていないという。うん、なんかわけ分かんないかもだけど……端的に言えば、眼前におはする藤壺は紛れもなく本物の藤壺ということ。尤も、ある一部分とやらが大変気になるところではあるけど、それはともあれ――
……まあ、そりゃそうだよね。ほぼ何も出来なかった桐壺の時とは違い、随分と筋書きに影響与えちゃったしね、前回は。その辺りを一度リセットするためには、私だった頃の藤壺の要素を残しておくわけにはいかないわけで。正直、淋しい気持ちはあるけど、致し方な――
……おっと、それより挨拶挨拶。……えっと、なんて呼べば良いのかな。紫の上から見て、彼女は――
「――はい、私は元気ですおばさん!」
「…………へっ」
そう、満開の笑顔で答える……も、どうしてかポカンとした表情の藤壺。それに……心做しか、なんか雰囲気が変わっ――
(――な、何を仰るのですか姫君! 早く、宮さまに謝罪なさってください!)
(――そ、そうです! 今すぐに、早く!)
(……えっと……なにゆえ?)
すると、何やらたいそう慌てた様子で私に耳打ちする女房達。……えっと、今の流れでなにゆえ謝罪を――
「――たいそうご機嫌宜しいようで何よりです、紫の君。……ところで、僭越ながら私自身、まだオバさんと呼ばれるほどには歳を重ねていないと認識しておりまして」
「……へっ? あ、はい……」
そんな困惑の最中、彼の異名を体現するかの如く眩いばかりの笑顔でそう口にする藤壺。……でも、なんでだろ。すっごい綺麗な笑顔なのに……なんか、すっごい怖い。……あれ、なにかまずいこと言ったかな?
――まあ、それはさておき。
「――まあ、それはさておき……こうしてご挨拶にお越し頂き、ありがとうございますおばさん」
「うん、その前置きはむしろ私じゃないかな? あと、結局オバさんのままなのですね……」
そう伝えるも、何処か唖然とした様子の藤壺。あれ、なにか変かな? 確か、紫の君は彼女の姪だったはずだけど……もしかして、違っ――
「――ですが、こうしてお会い出来て良かったです。ご迷惑でなければ、またお伺いしても宜しいですか?」
「……へっ? あ、はいもちろんです!」
「ふふっ、ありがとうございます」
すると、春の陽の如く穏やかな微笑で尋ねる藤壺。今度はまるで怖さのない――どころか、さながら聖母のような優しい笑顔で。……やっぱり素敵なだぁ、この人。ほんと、私の要素なんてやっぱり何処にも――
「――それでは、本日はこれでお暇すると致しますわおほほほ…………おや、私としたらなんと端な――」
「いや一部分ってそこかい!!」
「――おはようございます、紫の君。私は、藤壺と申します。ご機嫌いかがですか?」
「……へっ、あっ……えっと……」
自室にて女房達と遊んでいると、卒然控えめに襖を叩く音が。どうぞと促すと、開いた先にいたのはかつての私たるあの麗しき女御さまで。……いや、この文章だけ切り抜くと全く意味分かんないけど……まあ、事実なので致し方なく。
ところで、それはそうと……本作にあったかな、こんな場……いや、気にしなくて良いか。きっと、神様の計らいか何かだろうし。
……ただ、それはともあれ……うん、やっぱり藤壺なんだよね。麗しく気品に満ち溢れた、あの藤壺なんだよね。思えば、こうして対面するのは初めてかも。
神様曰く――ある一部分を除き、私だった頃の藤壺の要素は何も残っていないという。うん、なんかわけ分かんないかもだけど……端的に言えば、眼前におはする藤壺は紛れもなく本物の藤壺ということ。尤も、ある一部分とやらが大変気になるところではあるけど、それはともあれ――
……まあ、そりゃそうだよね。ほぼ何も出来なかった桐壺の時とは違い、随分と筋書きに影響与えちゃったしね、前回は。その辺りを一度リセットするためには、私だった頃の藤壺の要素を残しておくわけにはいかないわけで。正直、淋しい気持ちはあるけど、致し方な――
……おっと、それより挨拶挨拶。……えっと、なんて呼べば良いのかな。紫の上から見て、彼女は――
「――はい、私は元気ですおばさん!」
「…………へっ」
そう、満開の笑顔で答える……も、どうしてかポカンとした表情の藤壺。それに……心做しか、なんか雰囲気が変わっ――
(――な、何を仰るのですか姫君! 早く、宮さまに謝罪なさってください!)
(――そ、そうです! 今すぐに、早く!)
(……えっと……なにゆえ?)
すると、何やらたいそう慌てた様子で私に耳打ちする女房達。……えっと、今の流れでなにゆえ謝罪を――
「――たいそうご機嫌宜しいようで何よりです、紫の君。……ところで、僭越ながら私自身、まだオバさんと呼ばれるほどには歳を重ねていないと認識しておりまして」
「……へっ? あ、はい……」
そんな困惑の最中、彼の異名を体現するかの如く眩いばかりの笑顔でそう口にする藤壺。……でも、なんでだろ。すっごい綺麗な笑顔なのに……なんか、すっごい怖い。……あれ、なにかまずいこと言ったかな?
――まあ、それはさておき。
「――まあ、それはさておき……こうしてご挨拶にお越し頂き、ありがとうございますおばさん」
「うん、その前置きはむしろ私じゃないかな? あと、結局オバさんのままなのですね……」
そう伝えるも、何処か唖然とした様子の藤壺。あれ、なにか変かな? 確か、紫の君は彼女の姪だったはずだけど……もしかして、違っ――
「――ですが、こうしてお会い出来て良かったです。ご迷惑でなければ、またお伺いしても宜しいですか?」
「……へっ? あ、はいもちろんです!」
「ふふっ、ありがとうございます」
すると、春の陽の如く穏やかな微笑で尋ねる藤壺。今度はまるで怖さのない――どころか、さながら聖母のような優しい笑顔で。……やっぱり素敵なだぁ、この人。ほんと、私の要素なんてやっぱり何処にも――
「――それでは、本日はこれでお暇すると致しますわおほほほ…………おや、私としたらなんと端な――」
「いや一部分ってそこかい!!」
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