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「――いらっしゃいませ、優星さん。今日もありがとうございます!」
「おはようございます、琴水さん。こちらこそ、いつも明るい笑顔で迎えてくださりありがとうございます」
鮮やかな青の紫陽花が景色を彩る、ある爽やかな朝のこと。
柔らかな鈴の音の共に、ゆっくりと扉が開く。そしてお姿を見せたのは、丸眼鏡をかけた柔らかな雰囲気の若い男性。お亡くなりになった恋人の方を忘れたい――そんな悲痛な願いを抱くお客さま、優星さんで。
さて、あれからおよそ二週間――最初のご来店から早くも二日後に来てくださり、その日に斎月さんからの要望通り萱草についての例のお話をお伝えするも、柔らかな微笑でご理解してくださった優星さん。そして、それ以降も何度も当喫茶へ足を運んでくださり……ええ、本当にありがとうございます。
「さて、本日は何になさいますか? 優星さん」
「……そう、ですね。なにか、本日のオススメはありますか? 琴水さん」
「はい、本日はとりわけキャロットケーキがオススメです! 実は昨日、とても上質な人参が収穫できましたので」
「……へえ、そうなのですね。それでは、それとブレンドコーヒーでお願いします」
「はい、かしこまりました優星さん。少々お待ちくださいね」
その後、ほどなくして。
ご注文をお伺いしつつ、心の中で密かにガッツポーズをする私。今しがた申した通り、昨日収穫できた頗る上質な人参を使った斎月さんお手製のキャロットケーキを是非とも召し上がっていただきたかったからです。これまでのご来店で知り得た優星さんのお好みと照らし合わせも、きっとお気に召すこと間違いなしです!
「……うわぁ、美味しい。キャロットケーキは何度か食べたことがありますが、それでもこんなに美味しいものは初めてです。甘さもとてもほど良くて、本当に何個でも食べられそうなくらいで」
「ふふっ、ありがとうございます優星さん」
それから、数分経て。
そう、頬を緩めつつお褒めをくださる優星さん。ほとんど心配はなかったですが、このお言葉とご様子から喜んでくれていることがしっかりと伝わりほっと安堵を覚えます。なので、それは本当に良かったのですが――
「……その、いかがでしょう?」
コーヒーを口にした優星さんへと、躊躇いつつそう尋ねてみます。ですが、質問は味に関してではなく――
「……そう、ですね。少し、痛みが和らいでいる感じはありますが、まだ……」
「……そう、ですか。……でも、痛みが和らいでいるということは、萱草の効果は着実に現れているということです。なので、どうか不安にならないでいただけると嬉しいです」
「……はい、ありがとうございます琴水さん」
すると、淡く微笑みお答えになる優星さん。……やはり、まだそれほどに……いえ、それでも悲観することはないでしょう。少しずつであれ、着実に効果は出ているようですし、きっと……ええ、きっといつかは――
「おはようございます、琴水さん。こちらこそ、いつも明るい笑顔で迎えてくださりありがとうございます」
鮮やかな青の紫陽花が景色を彩る、ある爽やかな朝のこと。
柔らかな鈴の音の共に、ゆっくりと扉が開く。そしてお姿を見せたのは、丸眼鏡をかけた柔らかな雰囲気の若い男性。お亡くなりになった恋人の方を忘れたい――そんな悲痛な願いを抱くお客さま、優星さんで。
さて、あれからおよそ二週間――最初のご来店から早くも二日後に来てくださり、その日に斎月さんからの要望通り萱草についての例のお話をお伝えするも、柔らかな微笑でご理解してくださった優星さん。そして、それ以降も何度も当喫茶へ足を運んでくださり……ええ、本当にありがとうございます。
「さて、本日は何になさいますか? 優星さん」
「……そう、ですね。なにか、本日のオススメはありますか? 琴水さん」
「はい、本日はとりわけキャロットケーキがオススメです! 実は昨日、とても上質な人参が収穫できましたので」
「……へえ、そうなのですね。それでは、それとブレンドコーヒーでお願いします」
「はい、かしこまりました優星さん。少々お待ちくださいね」
その後、ほどなくして。
ご注文をお伺いしつつ、心の中で密かにガッツポーズをする私。今しがた申した通り、昨日収穫できた頗る上質な人参を使った斎月さんお手製のキャロットケーキを是非とも召し上がっていただきたかったからです。これまでのご来店で知り得た優星さんのお好みと照らし合わせも、きっとお気に召すこと間違いなしです!
「……うわぁ、美味しい。キャロットケーキは何度か食べたことがありますが、それでもこんなに美味しいものは初めてです。甘さもとてもほど良くて、本当に何個でも食べられそうなくらいで」
「ふふっ、ありがとうございます優星さん」
それから、数分経て。
そう、頬を緩めつつお褒めをくださる優星さん。ほとんど心配はなかったですが、このお言葉とご様子から喜んでくれていることがしっかりと伝わりほっと安堵を覚えます。なので、それは本当に良かったのですが――
「……その、いかがでしょう?」
コーヒーを口にした優星さんへと、躊躇いつつそう尋ねてみます。ですが、質問は味に関してではなく――
「……そう、ですね。少し、痛みが和らいでいる感じはありますが、まだ……」
「……そう、ですか。……でも、痛みが和らいでいるということは、萱草の効果は着実に現れているということです。なので、どうか不安にならないでいただけると嬉しいです」
「……はい、ありがとうございます琴水さん」
すると、淡く微笑みお答えになる優星さん。……やはり、まだそれほどに……いえ、それでも悲観することはないでしょう。少しずつであれ、着実に効果は出ているようですし、きっと……ええ、きっといつかは――
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