四季折々の喫茶店

暦海

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よくあるご相談?

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「――いらっしゃいませ、優星ゆうせいさん、双葉ふたばさん! 今日もお越しくださりありがとうございます!」
「おはようございます、琴水ことみさん。こちらこそ、いつもありがとうございます」
「おはよ、琴水ちゃん。いつもありがとね」


 鮮やかに紅葉が山中を彩る、ある爽やかな秋の朝。 
 開店からほどなく、今日も明るく元気にお迎えをする私。すると、いつものように柔らかな笑顔で応えてくださる美男美女のお客さま。二ヶ月ほど前、めでたくお付き合いを始めた優星さんと双葉さんで。ふふっ、本日も仲睦まじくて何よりです。



 ――カランコロン。 


「――いらっしゃいませ、お客さま! ご来店ありがとうございます!」


 それから、およそ一時間後。
 そう、明るく元気にご挨拶をする私。恐らくは10代後半くらいの、華やかな茶色の髪を纏う可愛らしい女性へと。……まあ、恐らくは歳上の方に対し可愛らしい、などというのは失礼なのかもしれませんが、率直に申し上げるとそのような印象で――


「――あの……実は、虜にしたい人がいるんです!」


  そんな懸念の中、開口一番前のめりにそう口になさる女性。ですが、驚くことではありません。この手のご相談は珍しくない――というより、最も多いご相談の一つですから。なので、

「……想い人がいらっしゃる、ということですね?」
「はい! 彼との出逢いは、かれこれ三年一ヶ月五日前のことで――」

 すると、満面の笑顔でその男性との馴れ初めをお話しになるお客さま。別に聞いてもいないのに、などと思ってはいけません。好きな人のことを誰かにお話ししたくなるのは全く以て自然の摂理なのです。私だって、いつだって斎月《いつき》さんのお話をしたくて仕方が……まあ、それはいったん措くとしまして。


「……それは、とても素敵なお話ですね。お客さまのお気持ち、とてもよく分かります。それでは、その素敵な男性にお気持ちを伝える後押しを――」
「……えっと、後押しといいますか……その、何というか……惚れ薬? みたいなものがあればなぁと」
「……惚れ薬、ですか……」

 すると、私の言葉に被せる形でご希望を口になさるお客さま。……なるほど、そのパターンですか。惚れ薬という表現でなくとも、そういった魔法のような効果を期待してご相談なさるお客さまも今までにいましたのでこれまた驚くことではありません。なので――


「……大変申し訳ありません、お客さま。ご希望に沿う形で、とはならないかもしれませんが……それでも、お客さまの想いが叶うよう誠心誠意努めさせていただきます」

 


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