8 / 69
変 化
しおりを挟む
「はあ……」ヒロは大きなため息をついた。
「な、なによ!そのこれ見よがしのため息は?」カルディアは大きく頬を膨らませた。
「お前も大概だな・・・・・・」ヒロは呆れた顔で彼女の姿を見つめた。カルディアはまるで着の身着のままで飛び出してきたように荷物も持たずに、真っ赤な暗殺着の下に黒いズボン、腰には大きな刀を携えている。その傍らに銀髪の狼従えていた。それこそ、昨日残りの金を使いアウラ達を目立たないようにしたのが、全て無駄になった思いであった。
案の定、すれ違う人達はカルディアのその姿を訝いぶかしげに見つめていた。
「その格好かっこうどうにかならないのかよ。アサシンが目立ってどうするんだ!」ヒロは少し吐き捨てるように言った。
「な、なによ!仕方ないじゃない!これが私の一張羅なんだから!!」カルディアは少し拗すねたように呟いた。
「それじゃあ、せめてルイはなんとかならないのかよ。注目浴びすぎだろうが」ヒロがそう言うとルイは反応したように牙を剥き出しにした。
ガルルル!
「ルイ!!止めなさい!……仕方ない、ルイ!」カルディアが声をかけるとルイは小さくなって彼女の身体を覆った。それが丁度真っ赤な服を隠すようになった。
「おっ、いい感じじゃないか!」見事なルイの変化へんげにヒロは感心した。
「ルイも変化の術はお手のものなのよ」なぜかカルディアが自慢気に胸をはった。
それでも女ばかりの一同は目立つようで男達の視線は彼女達に釘付けであった。その様子を見てヒロはもう一度、大きなため息をついたのであった。
「それで、どこでオリオン王子って奴を襲うの?」カルディアが思い出したように聞いてきた。そう今回の旅の目的はあくまでオリオンという王子の暗殺なのだ。
「ひとまずブランドーの街に身を隠して、オリオン王子が街を出るのを待つ、それから一人になった奴を暗殺する」ヒロは真っ直ぐ前を見つめながら答えた。
「でも、身を隠すって言ってもどこで隠すのよ。お金はもうないのでしょ」彼女が痛いところを突いてきた。
「うっ……」返す言葉が無かった。
「ヒロ様、私達に任せてくれませんかだっちゃ?」アウラが口を開く。
「えっ?」突然の提案にヒロは驚く。
「お金が無くなったのは、アウラ達のせいだっちゃですよね?だから、アウラ達がお金を稼ぎますだっちゃ」頭のいいアウラにはヒロの所持金が無くなってしまったのは自分達のせいであるということを理解しているようであった。そしてアウラには何か考えがあるようだった。
「でも、盗みとかそんな事は駄目だぞ」ヒロは少し心配そうにアウラを見つめた。
「そんな事はしないですだっちゃ!私達に任せてくださいだっちゃ!!」アウラはカカとイオに目配せした。
二人はアウラの意図が解ったようで力強く頷いた。
「な、なによ!そのこれ見よがしのため息は?」カルディアは大きく頬を膨らませた。
「お前も大概だな・・・・・・」ヒロは呆れた顔で彼女の姿を見つめた。カルディアはまるで着の身着のままで飛び出してきたように荷物も持たずに、真っ赤な暗殺着の下に黒いズボン、腰には大きな刀を携えている。その傍らに銀髪の狼従えていた。それこそ、昨日残りの金を使いアウラ達を目立たないようにしたのが、全て無駄になった思いであった。
案の定、すれ違う人達はカルディアのその姿を訝いぶかしげに見つめていた。
「その格好かっこうどうにかならないのかよ。アサシンが目立ってどうするんだ!」ヒロは少し吐き捨てるように言った。
「な、なによ!仕方ないじゃない!これが私の一張羅なんだから!!」カルディアは少し拗すねたように呟いた。
「それじゃあ、せめてルイはなんとかならないのかよ。注目浴びすぎだろうが」ヒロがそう言うとルイは反応したように牙を剥き出しにした。
ガルルル!
「ルイ!!止めなさい!……仕方ない、ルイ!」カルディアが声をかけるとルイは小さくなって彼女の身体を覆った。それが丁度真っ赤な服を隠すようになった。
「おっ、いい感じじゃないか!」見事なルイの変化へんげにヒロは感心した。
「ルイも変化の術はお手のものなのよ」なぜかカルディアが自慢気に胸をはった。
それでも女ばかりの一同は目立つようで男達の視線は彼女達に釘付けであった。その様子を見てヒロはもう一度、大きなため息をついたのであった。
「それで、どこでオリオン王子って奴を襲うの?」カルディアが思い出したように聞いてきた。そう今回の旅の目的はあくまでオリオンという王子の暗殺なのだ。
「ひとまずブランドーの街に身を隠して、オリオン王子が街を出るのを待つ、それから一人になった奴を暗殺する」ヒロは真っ直ぐ前を見つめながら答えた。
「でも、身を隠すって言ってもどこで隠すのよ。お金はもうないのでしょ」彼女が痛いところを突いてきた。
「うっ……」返す言葉が無かった。
「ヒロ様、私達に任せてくれませんかだっちゃ?」アウラが口を開く。
「えっ?」突然の提案にヒロは驚く。
「お金が無くなったのは、アウラ達のせいだっちゃですよね?だから、アウラ達がお金を稼ぎますだっちゃ」頭のいいアウラにはヒロの所持金が無くなってしまったのは自分達のせいであるということを理解しているようであった。そしてアウラには何か考えがあるようだった。
「でも、盗みとかそんな事は駄目だぞ」ヒロは少し心配そうにアウラを見つめた。
「そんな事はしないですだっちゃ!私達に任せてくださいだっちゃ!!」アウラはカカとイオに目配せした。
二人はアウラの意図が解ったようで力強く頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
奥様は聖女♡
喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。
ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる