35 / 64
バーニング・エンジェルズ・アライブ(ヒーロー編)
二人きりの個室
しおりを挟む
繁華街の中に飛び込み、 たどり着いたのは、二人きりの個室。
薄暗い照明、照明の照度を下げたのは直美様であった。
張り巡らされた鏡。 外に声が聞こえないように防音の壁が張り巡らされている。
「な、なんだか・・・・・・落ち着かないですね・・・・・・」俺は緊張のあまりゴクリと唾を飲み込む。
「そうですか?」直美さんは平然とした顔で答えた。俺は、女の子と二人でこんな所に来たのは初めてだった。
「ワンドリンク制ですので、とりあえずご注文をお願いいたします」店員が注文を促す。
「私は、クリームメロンで・・・・・・、榊さんは?」彼女はメニューを差し出してきた。
「俺、コーラで・・・・・・」未成年が注文する飲み物など、そんなにバラエティーに富んだものなど存在しない。たいていの場合、俺はコーラをお願いする事が多いと思う。
「承りました」店員はそういうとお辞儀をして、部屋から退出していった。
「すいません、私。 カラオケボックスって初めてで・・・・・・」直美様が少し顔を赤らめて言った。 その手には、すでに入力用の端末が握られていた。
「何か、歌いますか?」直美様の歌声も天使のように美しいので、期待を込めて聞いた。
「いいえ、それはまだ、ちょっと・・・・・・・」直美様は、端末を机の上にそっと置いた。 そのまま、持っていた鞄の中から黒い箱を取り出した。
「それは、なんですか?」俺は体を少し乗り出して、黒い箱を指差した。
「これは、検査キットです。 榊さんの血液を少し採取させて欲しいのです」直美様は黒い箱を開けると、中から注射器のようなものを取り出した。
「血・・・・・・ですか? 一体どうして、って言うか看護師でもないのに、注射器なんて使って大丈夫なんですか?」俺は椅子の背もたれに体重をかけて、少し後ろに逃げる形となった。
「大丈夫です。 これは腕の上に置くと自動で採決してくれる機械です。消毒も自動でしてくれるのです」彼女は、また天使の微笑みを見せた。俺の頭の中に、ナース姿の直美様が浮かんだ。 採血される前に、鼻血が出るのではと思った。
「なぜ、俺の血を・・・・・・?」まさか、直美様とお付き合いするのに血の検査が必要なのだろうか。 もしかして、遺伝子の検査、優秀な子供を残す為、そんな訳は無いだろうが・・・・・・。
「駄目・・・・・・ですか?」少し潤んだ瞳を見せて俺の血をねだって来る。 今度は子猫のような表情であった。俺には、断る術はすでに無かった。
「どうぞ! お好きなだけお取りください!」俺は勢いに任せて右手を出した。
「有難うございます!」そう言うと、直美様は俺の右腕に注射器のような機械を当てた。 ひんやりとした感覚のあとに、チクリと針が刺さる感覚がする。 ただ、今まで経験してきた注射器と比較すると全くといって良いほど、痛みは感じなかった。機械に設置されたモニターに『採取終了』の文字が表示された。
「有難うございます。 採取出来たようです」またまた、天使の微笑みで直美様は首を軽く傾けた。次は、ぜひナース服でお願いします。
「いいえ・・・・・・、でも俺の血を調べてどうするのですか?」注射の痕を確認した。 針の刺された痕跡は全く無かった。
「そうですね・・・・・・今は、まだ・ひ・み・つです」直美様は悪戯っぽい感じで言った。 小悪魔にもなれるのですか貴方は・・・・・・!
「折角ですから、榊さん、何か歌ってください」そう言うと直美様はマイクを俺に差し出した。
薄暗い照明、照明の照度を下げたのは直美様であった。
張り巡らされた鏡。 外に声が聞こえないように防音の壁が張り巡らされている。
「な、なんだか・・・・・・落ち着かないですね・・・・・・」俺は緊張のあまりゴクリと唾を飲み込む。
「そうですか?」直美さんは平然とした顔で答えた。俺は、女の子と二人でこんな所に来たのは初めてだった。
「ワンドリンク制ですので、とりあえずご注文をお願いいたします」店員が注文を促す。
「私は、クリームメロンで・・・・・・、榊さんは?」彼女はメニューを差し出してきた。
「俺、コーラで・・・・・・」未成年が注文する飲み物など、そんなにバラエティーに富んだものなど存在しない。たいていの場合、俺はコーラをお願いする事が多いと思う。
「承りました」店員はそういうとお辞儀をして、部屋から退出していった。
「すいません、私。 カラオケボックスって初めてで・・・・・・」直美様が少し顔を赤らめて言った。 その手には、すでに入力用の端末が握られていた。
「何か、歌いますか?」直美様の歌声も天使のように美しいので、期待を込めて聞いた。
「いいえ、それはまだ、ちょっと・・・・・・・」直美様は、端末を机の上にそっと置いた。 そのまま、持っていた鞄の中から黒い箱を取り出した。
「それは、なんですか?」俺は体を少し乗り出して、黒い箱を指差した。
「これは、検査キットです。 榊さんの血液を少し採取させて欲しいのです」直美様は黒い箱を開けると、中から注射器のようなものを取り出した。
「血・・・・・・ですか? 一体どうして、って言うか看護師でもないのに、注射器なんて使って大丈夫なんですか?」俺は椅子の背もたれに体重をかけて、少し後ろに逃げる形となった。
「大丈夫です。 これは腕の上に置くと自動で採決してくれる機械です。消毒も自動でしてくれるのです」彼女は、また天使の微笑みを見せた。俺の頭の中に、ナース姿の直美様が浮かんだ。 採血される前に、鼻血が出るのではと思った。
「なぜ、俺の血を・・・・・・?」まさか、直美様とお付き合いするのに血の検査が必要なのだろうか。 もしかして、遺伝子の検査、優秀な子供を残す為、そんな訳は無いだろうが・・・・・・。
「駄目・・・・・・ですか?」少し潤んだ瞳を見せて俺の血をねだって来る。 今度は子猫のような表情であった。俺には、断る術はすでに無かった。
「どうぞ! お好きなだけお取りください!」俺は勢いに任せて右手を出した。
「有難うございます!」そう言うと、直美様は俺の右腕に注射器のような機械を当てた。 ひんやりとした感覚のあとに、チクリと針が刺さる感覚がする。 ただ、今まで経験してきた注射器と比較すると全くといって良いほど、痛みは感じなかった。機械に設置されたモニターに『採取終了』の文字が表示された。
「有難うございます。 採取出来たようです」またまた、天使の微笑みで直美様は首を軽く傾けた。次は、ぜひナース服でお願いします。
「いいえ・・・・・・、でも俺の血を調べてどうするのですか?」注射の痕を確認した。 針の刺された痕跡は全く無かった。
「そうですね・・・・・・今は、まだ・ひ・み・つです」直美様は悪戯っぽい感じで言った。 小悪魔にもなれるのですか貴方は・・・・・・!
「折角ですから、榊さん、何か歌ってください」そう言うと直美様はマイクを俺に差し出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる