振り返るといつもの君がいたような気がした。僕が助けた少女は有名なシンガーソングライターだった。『君の歌と僕の夢……。』

上条 樹

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君と新婚生活(仮)

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 リビングでのんびりとテレビを見ている。カウンターキッチンの向こう側からカレーのいい臭いがしてくる。

「なんか手伝わなくていいのか?」なんだか一人座っているのが少し申し訳なく感じた。

「あのね……、カレーは、この香りがしてきたら、ほぼ段取りは終わりなの。そうね、皿とスプーンを用意してくれるかしら」ご飯もすでに炊けているようである。カレー用の皿二枚もスプーンを棚の中から取り出した。「あっ、ついでに自分の好きな量のご飯を盛っておいて」言われるままに、ご飯を盛る。これはもう子供のお手伝いレベルであろう。

「本当に作れるんだな……。いい香りだ」

「馬鹿にしてるの?カレーなんて料理の内に入らないわよ。まあ、粉から作るなら別だけどね」鍋をかき回している。おたまで少量のカレー掬《すく》うと小皿に移して、味を確認して納得するように頷いた。

「なんだか、俺達新婚の夫婦みたいだな」なんだか適当に口からその言葉がでた。

「えっ!馬鹿……」昌子が珍しく赤くなった。これはおたまで殴られるかも思ったがそれは無かった。

「いただきます」ダイニングテーブルに乗せたカレーをたべる。きちんと福神漬とラッキョウが添えられている。その心遣いに感動すら覚える。「旨いわ!これ!母さんが作った奴より旨いわ!!」

「あ、ありがとう……」昌子もスプーンを使ってカレーを食べる。彼女のカレーの横にはビール缶が置かれている。ちなみに、俺の所にはコーラの缶が置かれていた。やっぱり子供のようだ。

「今日はお疲れ様でした!」プルトップを持ち上げると彼女は乾杯をしてからビールを口に運んだ。「あー、美味しい!一杯目のビールはやっぱり格別よ!お子ちゃまには解らないでしょうけどね」ケタケタ笑いながら会話を続ける。「そういえばこの前、バイクで2人乗りしてたようだけど、後ろに乗っていたのは……、もしかして……美桜ちゃんだった?」いつの間に見られたのか解らずにビックリする。

「ああ、そうだよ」コーラを飲み込む。あまり冷えていないので、冷蔵庫へ移動して氷をコップに入れて、その中にコーラを注いだ。少しだけ薄くなるのだが、正直いうと俺には少し炭酸が飛んだほうが好きなのであった。

「なによ……、付き合ってないって言ったくせに……、こそこそ会ってるんじゃない……」小さな声で彼女は何かを呟いたようだが、俺は聞き取る事が出来なかった。

「何だって?」

「いいえ、なんでもございません」またビールを飲み込む。結構なペースで飲まれるんだと感心する。二ヶ月前に成人された割には、適応能力がすごいのか。

 カレーを美味しく頂いたあと、食器洗いは自分がするから風呂を洗ってくるように指示される。一番風呂は自分が入るそうだ。俺の後は変なものが浮いてそうなので嫌だと言われた。

「そう言えば、風呂の掃除なんて何年ぶりやねん」子供の頃は手伝いでなんどかやった事はあるが、大きくなってからは母親まかせであった。キチンと洗うと結構な重労働になるのである程度簡単にする。
 ついでにお湯も貯めておこう。

「出来たぞ!」

「あっ、お疲れ様。こっちも片付いたから、お風呂の用意してくるわ」エプロンを外すと冷蔵庫の前にあるフックにそれをかけた。何だか機嫌よさそうに鼻唄を歌いながら二階に登っていった。

 俺はテレビのリモコンでチャンネルを変える。どこを点けても正直の同じような番組だらけなので見る気が無くなった。

「それじゃあ、先に入るわね」着替えの衣服が見えないように隠しているようだ。

「あっ」

「なに、一緒に入りたいの!?」細い目をして軽蔑するような視線を浴びせてくる。

「馬鹿!違うわ!……カレーありがとうな。本当に美味しかった」俺は素直に感想を言った。

「うふ、また美味しいものつくるからね……、それから覗いちゃ駄目よ」彼女は嬉しそうに浴室に向かっていった。

 なんじゃ、この雰囲気は……、また騙されてるのか?泣かされるのか、俺……。
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