振り返るといつもの君がいたような気がした。僕が助けた少女は有名なシンガーソングライターだった。『君の歌と僕の夢……。』

上条 樹

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君と来訪者

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「昌子!昌子いる!?」玄関先から男の声がする。俺は部屋のベッドの上で漫画を読んでいる

「はーい!あっ……、あなた……、来るなら電話してよ……」昌子の迷惑そうな声が聞こえる。

「上がってもいいか?」

「駄目よ……、外にいきましょう……」昌子が階段を上がっていく。部屋のドアを開けて彼女の様子を確認する。

「昌子、大丈夫なのか……?」俺は少し心配で声をかける。

「えっ……!あっ……、う、うん、大丈夫よ……」気丈に彼女は答えた。部屋に戻って身支度を始めたようだ。ドアの隙間から玄関先を覗くと、髪を茶髪に染めた、柄の悪そうな男がイラつくように、足をバタバタさせなが玄関の外を見ている。昌子の彼氏だろうか。しかし、なんだか険悪な感じであった。

 Tシャツとジーパン姿に着替えると彼女は慌てるように部屋を飛び出した。

「遅いんだよ!行くぞ……」男は少し舌打ちをするように吐き捨てる。

「うん……」昌子の様子が少しおかしい。いつもの勝ち気の彼女とは雰囲気が全く違う。

「なにかあったんですか?」美桜も気になったようで、部屋から顔を出す。

「いや、解らない……、ちょっと俺も出掛けてくるわ」俺は昌子の事が気になって二人を追いかけるように家を飛び出して見つからないように後をつけた。

 先頭を切って歩く男の後を昌子はしゅんとした感じで歩いている。いつもの明るい昌子を知っているだけに、これは尋常じゃないと感じた。

 近くの公園に二人は入っていく。しばらくの時間差を置いてから俺は彼らに見つからないように、そっと中に入る。何かを話しているようであるが聞こえない。

 男が激しく罵ののしるかのように、昌子に詰め寄っているようである。昌子は両手で顔を覆うって少し頭を左右に振る。あんな昌子を見たことがない。脅されているのか?

 男が昌子に向かって手のひらを上に差し出す。何かを要求しているようであった。
 昌子は手に持っていた財布から、一万円札を取り出すと渡す。男は札を確認すると、彼女へとなにか言葉を吐き捨ててからその場から姿を消した。

 あの男に脅されているのか?それとも……。
 色々考えを巡らせると胸がモヤモヤしてくる。

 昌子は深いため息をついた後を、立ち上がると家に向かって帰っていった。
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