振り返るといつもの君がいたような気がした。僕が助けた少女は有名なシンガーソングライターだった。『君の歌と僕の夢……。』

上条 樹

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君とハート・キャンディーズ

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「桃子ちゃん!桃子ちゃん!」美桜が慌てて階段を駆け上がって行った。テレビの中では少女達にマイクが向けられていた。

「皆さん聞いてください!ダークファンタジーの社長が言うような・・・・・・・、枕営業を、桃子先輩はしていません!」彼女達はダークファンタジー所属のアイドルグループ「ハート・キャンディーズ」であった。ダークファンタジーの中では、桃山桃子の妹的存在であった。

「どうして、ハート・キャンディーズの皆さんがここに来られたんですか?」レポーターの中の女性が質問を投げかけた。

「先輩は、私達を・・・・・・・、私達を守るために・・・・・・・・」いつもセンターを飾っている、天野恵が涙を溜めていた。

「あなた達!一体、なにをしているの!?」扉を開いて桃子が飛び出した。

「先輩!」「桃子さん!!」彼女達は桃子を取り囲んだ。

「桃山さんだ!」「桃山桃子だ!!」レポーター達は桃子が姿を見せた事に、換気の声を上げて我先にという感じでカメラを向ける。

「くっ!!」俺も玄関を飛び出そうとしたが、その腕を綾に強く掴まれた。

「ちょっと、様子を見よう・・・・・・・・」彼女が俺を戒めるように制止した。先日の件もあり、これ以上の悪評を立てる事は俺やプロダクションにとっても避けたいところであろう。

「桃山さん、一言お願いします!」マイクが一斉に向けられた。

「・・・・・・・」桃子は沈黙している。

「桃子先輩!話して、話してください・・・・・・!」天野恵が懇願する。彼女の一途な目を見て桃子は少し微笑んでから、彼女の頭を優しくなでた。

「皆さん・・・・・・、ご存じかもしれませんが、ダークファンタジーは、セクシータレントを中心に売り出してきたプロダクションです。私達のような幼いタレントには・・・・・・・、そういう仕事はありませんでしたが、私の先輩達の一部の方達は・・・・・・・・、そういう仕打ちを我慢して仕事をされていた方がいた事を聞いています」桃子は出来るだけ言葉を濁しているつもりなのだろうが、これまでダークファンタジーの所属していた女優が、ある程度の年齢になるとAV業界に移籍していく者が多い事を、レポーター達はもちろん周知している。

「それは、プロダクションぐるみでそういう活動をしていたという事ですか?」レポーターの女性が聞く。

「はい・・・・・・・、ダークファンタジーは、芸能事務所という顔と・・・・・・・・、高級な・・・・・・、その・・・・・・・、性的なサービスを提供する事業を行っていたようです」桃子がそう口にした瞬間レポーター達の騒めきとフラッシュの激しい発光が続いた。

「それはテレビに出ている女優と・・・・・・・・、そういう事が出来ると・・・・・・・いう意味ですか?」男のレポーターは少しいやらしい口調で聞いてくる。

「もちろん私も、この娘こ達も入所するまでは、そんな所とは知りませんでした。正直、芸能界という場所はそういう場所なのかと思って、私は失望していたくらいです」それを聞いて、あの舌打ちキャラの桃子が誕生したのかと俺は勝手に考えていた。

「桃子さんは、桃子さんは・・・・・・・、私を守ろうとしたんです。事務所の社長が、中学生が好きなスポンサーのお偉いさんがいるから、私に・・・・・・・、夜に会えって・・・・・・・」

「それは児童じどう買春かいしゅんではないのですか!?」女子レポーターは少し憤慨したように聞く。

「私は嫌がりました・・・・・・・・、その私を見て、桃子先輩が・・・・・・・」天野恵はその場にうずくまって嗚咽を出した。

「身代わりになったというのですか・・・・・・!?」レポーター達がザワザワと声を上げている。

「そのつもりでしたが・・・・・・・・、私は助けられたんです。この小野寺プロダクションの社長とスタッフの皆さんに・・・・・・・」桃子も瞳を涙で濡らしている。

「助けたのは君だけどな・・・・・・・」綾が小さな声で呟いた。その顔には軽く笑顔がこぼれている。

「それでは、あの移籍騒動も・・・・・・!?」桃子の小野寺プロへの移籍は契約違反であり、こちらの一方的な強硬手段であったように言われていた。

「ええ、あのままダークファンタジーに居ては・・・・・・、身の危険を感じたからです」桃子は真っすぐ前を見据えている。どうやら肝が据わったようであった。

「それでは、小野寺社長とのレズビアン疑惑は!?」

「私は普通に男性の方が好きですよ!社長の事は・・・・・・・社長として小野寺社長は・・・・・・・大好きです」桃子は可愛らしい笑顔を見せた。その言葉を聞いは綾は嬉しそうに頬を染め照れくさそうに頭を掻いた。
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