振り返るといつもの君がいたような気がした。僕が助けた少女は有名なシンガーソングライターだった。『君の歌と僕の夢……。』

上条 樹

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君と朝食

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「おはよう・・・・・・」どうやらあのまま眠ってしまたようで、気が付けば朝になってしまっていた。日曜日の朝、綾と美桜。そして昌子が朝食を食べている。

「ご馳走様・・・・・・」昌子は立ち上がると自分のコップと皿を両手で掴むとキッチンに移動した。昨晩の俺の態度に怒っているようであった。

「美桜ちゃん・・・・・・・、昨日はごめん・・・・・・・、俺、先に帰っちゃって・・・・・・・」俺が帰った後に会場に居合わせたファン達に囲まれて危ない目にあったと聞いて申し訳ない気持ちでその言葉は自然と口から飛び出した。そうなることは容易に予測出来たはずなのに、俺は自分に事しか頭に無かった。

「いいえ、大丈夫です。昨日の亮介さん・・・・・・、凄く辛そうだったから・・・・・・・・、仕方ないです。体調は回復しましたか?」美桜は俺の心を癒すような笑顔を見せた。彼女のその言葉を聞いて更に自分が情けなくなってしまった。自分がひどい目にあった筈なのに、この少女は自分を置き去りにした男の体調を気にしてくれる。本当に申し訳ない気持ちで死んでしまいたいくらいであった。

「美桜ちゃん、そんな奴に気を使わなくていいのよ。私も幻滅したわ」昌子はそういうと出かける様子で玄関へ移動していく。

「・・・・・・」俺には返す言葉が思いつかなかった。

「昌子君、どこに行くんだい?」綾がコーヒーカップを片手に、俺達のやり取りを冷静な目で見ている。それは何もかも悟ったような大人のような目であった。

「はい、昨日の試合の勝利の祝いにって、北浜さんが映画とランチを奢ってくれるそうなんで・・・・・・・、楽しんできます。行ってきます!」なんだか業とらしいほど燥《はしゃ》いだような笑顔を見せながら彼女は玄関を出て行った。

「行ってらっしゃい!」美桜は笑顔で見送る・

「ふう、昌子君となにかあったの?」綾は視線を合わすことなく、相変わらずコーヒーカップを片手に持って座っている。

「えっ、いえ、・・・・・・・・、まあ・・・・・・・」俺は彼女の問いに返す言葉が見つからなかった。

「思いは思っているだけでは伝わらないのだよ。態度と言葉で示さないと・・・・・・」コーヒーを一口流し込んだ。
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