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第2章 炎の砂漠 編
第46話 砂漠の民との約束
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『砂漠の神殿』から無事、ヘダン族の街ミラージに戻ったカーリィたちは、出発の時以上の盛大な歓声を受ける。
当初、精鎮の儀式を行わず、途中で引き返して来たのではないかと疑う者もいたが、サラマンドラから授かったというヘッドティカを見せると、そんな謂れのない声は消えた。
但し、伝えにくい報告もしなければならない。
大切な『炎の宝石』が『梟』という謎の組織に奪われてしまった事だ。
その説明は、大精霊が自ら行うというため、言われた通りレイヴンたちは街の人々を広場に集める。
精鎮の儀式から、初めて生還した英雄を一目見ようと、カーリィの呼び掛けに応じた街の人々で、広場はごった返しになるのだった。
「カーリィ、おおよその人々は集まったようだぞ」
族長であるロンメルから、準備が整った旨、知らされると、カーリィは用意された仮設の壇上に上がる。
それだけで、会場は大きく盛り上がるのだった。
続いて、観衆は奇跡を目の当たりする。
カーリィが身に着けているヘッドティカの赤い宝石から光が発せられると、空中にサラマンドラの姿が映し出されたのだ。
突如、現れた大精霊にミラージの人々は、畏敬の念から崇め奉り、中には平伏する者まで現れる。
そんな中、サラマンドラから御言葉が下された。
「砂漠の民よ、我がサラマンドラである。今回は、ここにいるカーリィ、そしてレイヴンのおかげで、以降、精鎮の儀式は不要となった。言葉に尽くせぬほどの偉業と言える」
ここで、大精霊がカーリィの功績を褒め称えたことにより、彼女が登壇した時以上の歓声が津波のように響きわたる。
精鎮の儀式がなくなるという事は、千年以上続いたヘダン族の苦い歴史に終止符が打たれたことになる。
今まで、人身御供により生かされていたと自覚している砂漠の民は、安堵の気持ちと過去の『精鎮の巫女』たちに、改めて感謝の気持ちを禁じ得なかった。
特にレイヴンが知り合った古道具屋の婆さんなんかは、涙が溢れて止まらなくなっているようである。
自然と、『カーリィ』の名前が観衆から連呼されるようになった。
ただ、この後の大切な告白で、そのムードがガラリと変わる。
サラマンドラから、『炎の宝石』が盗まれた事が告げられたのだ。
砂漠の民には、サラマンドラの霊力の受け皿になっていたと伝わっていたため、これから、ダネス砂漠は、どうなるのか一様に不安になる。
「我の霊力の事なら心配しなくてもよい。精鎮の儀式が不要になった件から、霊力の受け皿としての役目は、『炎の宝石』にはなくなった」
その一言で、やや安心を取り戻すも、砂漠の秘宝がなくなった影響が本当に“ゼロ”とは思えない。
その点は、大精霊も正直に答えた。
「今まで、千年以上、あった秘宝。なくなった影響は、我にも分からぬ。『炎の宝石』がダネス砂漠に恩寵をもたらしていたことは間違いない。ただ、今しばらくの間は問題ないことを約束しよう」
そのしばらくというのが、どの程度の期間かは誰にも分からない。一年後、二年後という事はないだろうが、十年も二十年も、影響がないとは思えなかった。
そこで、もう一人の立役者、レイヴンが登壇する。
「奪った奴らは、誰か分かっている。俺は、俺の目的もあって、そいつらを追おうと思っている」
壇上に登った黒髪緋眼の青年は、出発の儀のもう一人の主役を担ったこともあり、この街では、ちょっとした有名人になっていた。
しかも、先ほどカーリィと並んでサラマンドラから賞賛された男。
その発言には、どよめきが起こった。
「必ず砂漠の秘宝を取り返してくるから、それまでの間、待っていてくれ」
レイヴンの力強い発言が、ミラージの住人に希望をもたらす。やや沈みかけていた空気を一気に振り払うのだった。
「私もレイヴンとともに追おうと思います。」
カーリィが追随すると完全に盛り上がりを取り戻す。
サラマンドラの姿が宙に映し出された時のような、活気が蘇った。
レイヴンとカーリィは、砂漠の民たちの期待を一身に受ける。
二人は並んで、その声に応えるのだった。
広場での報告会を終えると、その後、族長の屋敷に皆、集まる。そこで、レイヴンは今後の展望をヘダン族の族長ロンメルとその弟ハーモンに伝えた。
「『梟』って組織の手元には、これで『炎の宝石』と『風の宝石』の二つが揃った事になる」
「それじゃあ、他の秘宝も狙われる可能性が高いってこと・・・だな」
砂漠の荒鷲ことロンメルが鋭い眼光で確認する。話の流れを掴んで、次の展開を読むのが早いのは、さすがだ。
「その通り。敵のアジトが分からない以上、俺たちは秘宝を奪いに来たタイミングを足掛かりに、奴らを追い詰めなければならない」
「なるほどな」
ロンメルとハーモンがレイヴンの説明に納得する。では、どちらの秘宝の元へ行くかだが、これは既に『砂漠の神殿』の中で話し合われ、方針が定まっていた。
「サラマンドラの話では、『大地の神殿』に行くのは、現在、難しいそうだ。俺たちは『水の宝石』を守りに行く」
「『海の神殿』か。場所は分かっているのか?」
おおよその位置は、サラマンドラから聞いているが、詳細は分からない。
現地で海の民に話を聞くしかなかった。
しかし・・・
「海の民は、かなり閉鎖的だと聞くぞ。大丈夫か?」
ロンメルが指摘する通り、海の民が住む島は、現在、鎖国という政策を取っている。
懐柔し味方とするのは、骨が折れそうだった。
「まぁ、そこは何とかするしかない。・・・それより」
ここで、レイヴンはロンメルに頼みごとをする。それは『梟』のアジトについて、分かる範囲でいいので調査してほしいという事だった。
守勢に回ってばかりでは、なかなか対応が難しい。反撃の糸口を掴むには、相手の情報をより多く掴んでおく事が必要なのだ。
その辺もよく理解しているロンメルは、レイヴンの申し出を了承する。
この後は、一度、イグナシア王国に戻ってから、海の民の島国マルシャルへと向かう事になった。
メンバーはレイヴン、クロウ、カーリィ、メラ、アンナの五名である。
ロンメルは頭を下げて、カーリィとメラ、二人の事をレイヴンに託した。
「砂漠の民は、受けた恩は忘れない。必ず、二人はお前の役に立つはずだ・・・そう教育してきたのだからな。この先もカーリィとメラの事を、よろしく頼む」
「ああ、二人は『梟』を追うための貴重な戦力だ。しばらく貸してもらうぜ」
「何なら、しばらくと言わず、一生でも構わんぞ」
ロンメルは、ニヤリと笑うが、レイヴンは回答を控える。
この場にいるヘダン族四人の意味ありげな視線も、あえて無視することにした。
この打ち合わせの翌日、砂漠の街ミラージに別れを告げることにする。
『砂漠の神殿』に向かった時と同様、盛大な見送りを受けて、レイヴン一行は旅立つのだった。
今回、本当に長い旅となり、我が家があるイグナシア王国ロドスの事が、少々、恋しくなる。
レイヴンは肉料理店『ロイン』のハンバーグが無性に食べたくなったのだ。
あの国が故郷という訳ではないのだが、望郷の念に近いものを抱いてしまったのである。なんだかんだ言って、イグナシア王国に対する思い入れが強くなっている証拠だった。
ラゴス王のニヤつく顔を思い浮かべると、むかつくが仕方がない。
自然とレイヴンの足は速くなっていた。
イグナシア王国の西海岸に、ダールドという港町がある。この地方は、代々ポートマスという家名の領主が治めていた。
その白い砂浜に、今、人だかりができている。この間の嵐で遭難したのか、女性が一人、打ち上げられているのだ。
それを地元の漁師が取囲んでいる。
「おーい、息があるぞ!誰か医者を呼んで来い」
碧い髪をした女性の胸が上下に動いているのを認めた男が、大声で叫ぶ。
そこからは、皆、大慌てとなった。
慌ただしく人が動く中、その女性の口が動く。
『・・・ここは、どこ?』
周囲の騒ぎに一瞬、目を開けた彼女。
朦朧とした意識の中、見たことがない景色に困惑する。
そして、再び、その目を閉じるのだった。
当初、精鎮の儀式を行わず、途中で引き返して来たのではないかと疑う者もいたが、サラマンドラから授かったというヘッドティカを見せると、そんな謂れのない声は消えた。
但し、伝えにくい報告もしなければならない。
大切な『炎の宝石』が『梟』という謎の組織に奪われてしまった事だ。
その説明は、大精霊が自ら行うというため、言われた通りレイヴンたちは街の人々を広場に集める。
精鎮の儀式から、初めて生還した英雄を一目見ようと、カーリィの呼び掛けに応じた街の人々で、広場はごった返しになるのだった。
「カーリィ、おおよその人々は集まったようだぞ」
族長であるロンメルから、準備が整った旨、知らされると、カーリィは用意された仮設の壇上に上がる。
それだけで、会場は大きく盛り上がるのだった。
続いて、観衆は奇跡を目の当たりする。
カーリィが身に着けているヘッドティカの赤い宝石から光が発せられると、空中にサラマンドラの姿が映し出されたのだ。
突如、現れた大精霊にミラージの人々は、畏敬の念から崇め奉り、中には平伏する者まで現れる。
そんな中、サラマンドラから御言葉が下された。
「砂漠の民よ、我がサラマンドラである。今回は、ここにいるカーリィ、そしてレイヴンのおかげで、以降、精鎮の儀式は不要となった。言葉に尽くせぬほどの偉業と言える」
ここで、大精霊がカーリィの功績を褒め称えたことにより、彼女が登壇した時以上の歓声が津波のように響きわたる。
精鎮の儀式がなくなるという事は、千年以上続いたヘダン族の苦い歴史に終止符が打たれたことになる。
今まで、人身御供により生かされていたと自覚している砂漠の民は、安堵の気持ちと過去の『精鎮の巫女』たちに、改めて感謝の気持ちを禁じ得なかった。
特にレイヴンが知り合った古道具屋の婆さんなんかは、涙が溢れて止まらなくなっているようである。
自然と、『カーリィ』の名前が観衆から連呼されるようになった。
ただ、この後の大切な告白で、そのムードがガラリと変わる。
サラマンドラから、『炎の宝石』が盗まれた事が告げられたのだ。
砂漠の民には、サラマンドラの霊力の受け皿になっていたと伝わっていたため、これから、ダネス砂漠は、どうなるのか一様に不安になる。
「我の霊力の事なら心配しなくてもよい。精鎮の儀式が不要になった件から、霊力の受け皿としての役目は、『炎の宝石』にはなくなった」
その一言で、やや安心を取り戻すも、砂漠の秘宝がなくなった影響が本当に“ゼロ”とは思えない。
その点は、大精霊も正直に答えた。
「今まで、千年以上、あった秘宝。なくなった影響は、我にも分からぬ。『炎の宝石』がダネス砂漠に恩寵をもたらしていたことは間違いない。ただ、今しばらくの間は問題ないことを約束しよう」
そのしばらくというのが、どの程度の期間かは誰にも分からない。一年後、二年後という事はないだろうが、十年も二十年も、影響がないとは思えなかった。
そこで、もう一人の立役者、レイヴンが登壇する。
「奪った奴らは、誰か分かっている。俺は、俺の目的もあって、そいつらを追おうと思っている」
壇上に登った黒髪緋眼の青年は、出発の儀のもう一人の主役を担ったこともあり、この街では、ちょっとした有名人になっていた。
しかも、先ほどカーリィと並んでサラマンドラから賞賛された男。
その発言には、どよめきが起こった。
「必ず砂漠の秘宝を取り返してくるから、それまでの間、待っていてくれ」
レイヴンの力強い発言が、ミラージの住人に希望をもたらす。やや沈みかけていた空気を一気に振り払うのだった。
「私もレイヴンとともに追おうと思います。」
カーリィが追随すると完全に盛り上がりを取り戻す。
サラマンドラの姿が宙に映し出された時のような、活気が蘇った。
レイヴンとカーリィは、砂漠の民たちの期待を一身に受ける。
二人は並んで、その声に応えるのだった。
広場での報告会を終えると、その後、族長の屋敷に皆、集まる。そこで、レイヴンは今後の展望をヘダン族の族長ロンメルとその弟ハーモンに伝えた。
「『梟』って組織の手元には、これで『炎の宝石』と『風の宝石』の二つが揃った事になる」
「それじゃあ、他の秘宝も狙われる可能性が高いってこと・・・だな」
砂漠の荒鷲ことロンメルが鋭い眼光で確認する。話の流れを掴んで、次の展開を読むのが早いのは、さすがだ。
「その通り。敵のアジトが分からない以上、俺たちは秘宝を奪いに来たタイミングを足掛かりに、奴らを追い詰めなければならない」
「なるほどな」
ロンメルとハーモンがレイヴンの説明に納得する。では、どちらの秘宝の元へ行くかだが、これは既に『砂漠の神殿』の中で話し合われ、方針が定まっていた。
「サラマンドラの話では、『大地の神殿』に行くのは、現在、難しいそうだ。俺たちは『水の宝石』を守りに行く」
「『海の神殿』か。場所は分かっているのか?」
おおよその位置は、サラマンドラから聞いているが、詳細は分からない。
現地で海の民に話を聞くしかなかった。
しかし・・・
「海の民は、かなり閉鎖的だと聞くぞ。大丈夫か?」
ロンメルが指摘する通り、海の民が住む島は、現在、鎖国という政策を取っている。
懐柔し味方とするのは、骨が折れそうだった。
「まぁ、そこは何とかするしかない。・・・それより」
ここで、レイヴンはロンメルに頼みごとをする。それは『梟』のアジトについて、分かる範囲でいいので調査してほしいという事だった。
守勢に回ってばかりでは、なかなか対応が難しい。反撃の糸口を掴むには、相手の情報をより多く掴んでおく事が必要なのだ。
その辺もよく理解しているロンメルは、レイヴンの申し出を了承する。
この後は、一度、イグナシア王国に戻ってから、海の民の島国マルシャルへと向かう事になった。
メンバーはレイヴン、クロウ、カーリィ、メラ、アンナの五名である。
ロンメルは頭を下げて、カーリィとメラ、二人の事をレイヴンに託した。
「砂漠の民は、受けた恩は忘れない。必ず、二人はお前の役に立つはずだ・・・そう教育してきたのだからな。この先もカーリィとメラの事を、よろしく頼む」
「ああ、二人は『梟』を追うための貴重な戦力だ。しばらく貸してもらうぜ」
「何なら、しばらくと言わず、一生でも構わんぞ」
ロンメルは、ニヤリと笑うが、レイヴンは回答を控える。
この場にいるヘダン族四人の意味ありげな視線も、あえて無視することにした。
この打ち合わせの翌日、砂漠の街ミラージに別れを告げることにする。
『砂漠の神殿』に向かった時と同様、盛大な見送りを受けて、レイヴン一行は旅立つのだった。
今回、本当に長い旅となり、我が家があるイグナシア王国ロドスの事が、少々、恋しくなる。
レイヴンは肉料理店『ロイン』のハンバーグが無性に食べたくなったのだ。
あの国が故郷という訳ではないのだが、望郷の念に近いものを抱いてしまったのである。なんだかんだ言って、イグナシア王国に対する思い入れが強くなっている証拠だった。
ラゴス王のニヤつく顔を思い浮かべると、むかつくが仕方がない。
自然とレイヴンの足は速くなっていた。
イグナシア王国の西海岸に、ダールドという港町がある。この地方は、代々ポートマスという家名の領主が治めていた。
その白い砂浜に、今、人だかりができている。この間の嵐で遭難したのか、女性が一人、打ち上げられているのだ。
それを地元の漁師が取囲んでいる。
「おーい、息があるぞ!誰か医者を呼んで来い」
碧い髪をした女性の胸が上下に動いているのを認めた男が、大声で叫ぶ。
そこからは、皆、大慌てとなった。
慌ただしく人が動く中、その女性の口が動く。
『・・・ここは、どこ?』
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