花呪紋

藤雪花(ふじゆきはな)

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番外編2、プロローグ2  神託~聖痕編

3、

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「ニナはミナさまと双子なのにタダヒトで、しかも女なのに男だろ、残念だったな」と、悪友たちは容赦ない。
 痣がないぶんミナよりもきれいなはずなのに、ニナはきれいだといわれたことなど一度もなかった。

 ニナのふるまいが許されたのも、月のものが訪れるまでだった。
 王の娘たちと美貌や頭脳で選ばれた娘たちは、そのころから厳重に警護された城内の女の館で寝起きする。
 彼女たちはしかるべき男のもとへ嫁ぐべく、家事采配能力を養い、あるいは愛でられるべく生きた宝石のような女となることが望まれた。

 二つ下のタマのように、二十も年の差がある男の元へ、五番目の妻となることが誕生とともに決められるのも稀なことではない。
 織の部の母の元に生まれたアヤは、アヤ自身が踊りが好きだとしても、創作した踊りを月光以外に披露することはない。

 次々に嫁ぎ先が決まっていくなか、ニナの順はこなかった。
 子供時代が終わったのはハヤトたちも同じである。

 悪友たちは魚の部、匠の部、農の部、犬飼の部、織の部、そして物の部など、それぞれの部族の掟に従い、役割を果たすことを求められた。
 ハヤトはどうしているのだろうと思う頃、彼らを隔てる尖った柵を楽々と越えてやってくる。そんなときハヤトは、甘い蜂の巣の欠片や、山の民と交換して手に入れたといううさぎのような形の淡水真珠や熊の手を手土産にして、ニナだけでなく娘たちを驚かせ、うらやましがらせたのである。

 しかしながら、十五になっても十六になってもハヤトの肌に一人前の戦士のしるしである藍の刺青が刻まれることはなかった。
 抜群の運動神経と弓矢の腕前を誇っても、ハヤトの成長はゆるやかだった。


 十八の夏、事件が起こった。
 朱の国に組み込まれた海辺の国が、漂着した瀕死の男たちをひそかに匿っていたことが発覚したのだ。

 嵐の夜から既に二月が経つ。
 彼らの言葉は朱の一族に古くから伝わる言葉ととてもよく似ていた。

 異国の男たちが城に迎えられるその朝、娘たちは肌に香りの良い油が塗り込められ髪は念入りにくしけずられ、巻き上げられた。
 顔にはおしろいが厚く塗られ、頬には紅を、唇はうさぎの筆で赤く引かれる。特にニナは、婚礼の夜かと思うぐらいに仰々しく飾り立てられた。通訳に抜擢されたのだった。

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