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第2夜 探しもの
8,誹謗
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理事長は多くの学生の応募者、何十にも取り巻く観客の集まり具合に満悦の笑みである。
司会は午前の講演と違う男子学生である。
一分という細切れの時間内に自由に自己アピールをさせていく。
それを映像コースの学生が写真を撮り、巨大スクリーンに映像と顔と全身の映像が映し出され、番号順に並べられていく。
このオーディションは運営側の実地での学びの場でもあるのだ。
本当に、藤原優子は学生を一流に育てていくのが上手だと思う。
腕を上げる機会がこの学校には豊富にあるのだ。
ベンチの席にも人が溢れてきたので、審査員のテントのぎりぎりのところまでわたしたちは移動する。
舞台上では声の張りや身振りは俳優コースがきわだっていた。
自分の出身やあこがれの俳優、この学院で学びたいこと、学んだことを数台のSNSカメラを意識してアピールする。
モデルコースはカメラを持つ学生とさっと視線を合わせてポーズで始まり、自信のあるポーズで締める。
どの学生も我こそはと思う者たちばかりであり、わたしには甲乙付けがたく、誰が選ばれてもいいような気がした。
審査員を左右に座らせた藤原優子は、舞台の学生とその後のスクリーンを交互にみていて、終わるとマイクを手にして二言三言会話を交わし拍手で締める。
スクリーンには、映像、写真の他に視聴者数とその応援チャットコメントが表示されるようになっている。
直接舞台の学生を見るのもいいけれど、わたしはむしろ背後のスクリーンに釘付けになった。
閲覧数を示す数字は、はじめは10ほどだったのが、学生たちが自分たちのSNSで学院パンフレットモデルオーディションの状況をつぶやいたことで、閲覧者数が500人を終えるあたりから、一気に1000人台に乗る。
見るたびに、100単位で増えていく。
閲覧数の増加と比例するように、応援チャットコメントが増加しはじめた。
25番良かった!名前覚えておくね!応援する!
こんな面白いもの、毎日公開して欲しい!学院のこの子を追ってください!絶対見る!
朝ドラ子役にでてましたね!
その頃からファンです!この子に100票!!
応募者たちも、SNS視聴者からの、右から左へと流れながら現れくてるコメントに気が付いている。
多ければ多いほど、コメントの流れるスピードは速い。
コメントの量は人気がある証拠のようで、舞台を降りるときに振り返ってコメントの動く速さを確認してはガッツポーズを作るものもいた。
しかしながら視聴者が5000人を超えるあたりから、次第にチャットコメント欄が荒れていく。
登場する学生の外面の特徴を声高にあげつらうコメントが混ざりはじめる。
それに気が付いた会場が、含み笑いと心無いコメントをする視聴者への憤りでざわついた。
それを受けて、理事長は背後の黒服の秘書に指示をした。
審査員の背後には、わたしの横には学生バイトが5人ほどノートパソコンを長机に広げ、スクリーンに映し出されているSNSの管理者ページを開き、自分たちの出番を待っていた。
黒服の合図で、バイトたちは批判的なコメントが上がる度にコメントとそのIDを削除していく。
僕が、わたしが、と声をかけあい、カタカタとキーボードを叩き、投稿される瞬間に画面に残らないように処理をしていく。
80人で約一時間40分。
あと20人で応募者全員が終わる。
どの子が学院の表紙を飾るのにふさわしいか、わたしに全く関係がないわけではない。
わたしも現役学生なのだから。
だから、審査員になったような心持で、表情や身体の特徴など鷹の目で見て、一分のうちに保留と却下の判断を勝手にくだす。
人を選ぶというのはなんて大変なことなんだろうと思う。
みんな、それぞれに頑張っているのだから。
50人を超えたあたりから、目がちかちかしはじめていた。
頭痛がする。
面白すぎて、根をつめてしまった。
身体の力みを取ろうと大きくため息をついた。
司会は午前の講演と違う男子学生である。
一分という細切れの時間内に自由に自己アピールをさせていく。
それを映像コースの学生が写真を撮り、巨大スクリーンに映像と顔と全身の映像が映し出され、番号順に並べられていく。
このオーディションは運営側の実地での学びの場でもあるのだ。
本当に、藤原優子は学生を一流に育てていくのが上手だと思う。
腕を上げる機会がこの学校には豊富にあるのだ。
ベンチの席にも人が溢れてきたので、審査員のテントのぎりぎりのところまでわたしたちは移動する。
舞台上では声の張りや身振りは俳優コースがきわだっていた。
自分の出身やあこがれの俳優、この学院で学びたいこと、学んだことを数台のSNSカメラを意識してアピールする。
モデルコースはカメラを持つ学生とさっと視線を合わせてポーズで始まり、自信のあるポーズで締める。
どの学生も我こそはと思う者たちばかりであり、わたしには甲乙付けがたく、誰が選ばれてもいいような気がした。
審査員を左右に座らせた藤原優子は、舞台の学生とその後のスクリーンを交互にみていて、終わるとマイクを手にして二言三言会話を交わし拍手で締める。
スクリーンには、映像、写真の他に視聴者数とその応援チャットコメントが表示されるようになっている。
直接舞台の学生を見るのもいいけれど、わたしはむしろ背後のスクリーンに釘付けになった。
閲覧数を示す数字は、はじめは10ほどだったのが、学生たちが自分たちのSNSで学院パンフレットモデルオーディションの状況をつぶやいたことで、閲覧者数が500人を終えるあたりから、一気に1000人台に乗る。
見るたびに、100単位で増えていく。
閲覧数の増加と比例するように、応援チャットコメントが増加しはじめた。
25番良かった!名前覚えておくね!応援する!
こんな面白いもの、毎日公開して欲しい!学院のこの子を追ってください!絶対見る!
朝ドラ子役にでてましたね!
その頃からファンです!この子に100票!!
応募者たちも、SNS視聴者からの、右から左へと流れながら現れくてるコメントに気が付いている。
多ければ多いほど、コメントの流れるスピードは速い。
コメントの量は人気がある証拠のようで、舞台を降りるときに振り返ってコメントの動く速さを確認してはガッツポーズを作るものもいた。
しかしながら視聴者が5000人を超えるあたりから、次第にチャットコメント欄が荒れていく。
登場する学生の外面の特徴を声高にあげつらうコメントが混ざりはじめる。
それに気が付いた会場が、含み笑いと心無いコメントをする視聴者への憤りでざわついた。
それを受けて、理事長は背後の黒服の秘書に指示をした。
審査員の背後には、わたしの横には学生バイトが5人ほどノートパソコンを長机に広げ、スクリーンに映し出されているSNSの管理者ページを開き、自分たちの出番を待っていた。
黒服の合図で、バイトたちは批判的なコメントが上がる度にコメントとそのIDを削除していく。
僕が、わたしが、と声をかけあい、カタカタとキーボードを叩き、投稿される瞬間に画面に残らないように処理をしていく。
80人で約一時間40分。
あと20人で応募者全員が終わる。
どの子が学院の表紙を飾るのにふさわしいか、わたしに全く関係がないわけではない。
わたしも現役学生なのだから。
だから、審査員になったような心持で、表情や身体の特徴など鷹の目で見て、一分のうちに保留と却下の判断を勝手にくだす。
人を選ぶというのはなんて大変なことなんだろうと思う。
みんな、それぞれに頑張っているのだから。
50人を超えたあたりから、目がちかちかしはじめていた。
頭痛がする。
面白すぎて、根をつめてしまった。
身体の力みを取ろうと大きくため息をついた。
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