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蛮族の王
6、南の蛮族の影
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移動は同行の旅行者は馬車が基本だが、新婚カップルは馬に乗りたがった。
商団の恰幅の良い髭の団長は、はじめはしぶっていたが、熱意に負けて一頭貸す。
新婚カップルは二人乗りで軽く駆けた。ラブモード全開で、商団の雇人達は口笛を吹く。
(なんかいいな~!)
それをみて、リリアスも乗りたくなる。
彼らが堪能した後、リリアスも借りることにした。
「婚約者殿!僕と一緒に!」
ズインは声をかけるが、リリアスは笑顔で答えた。
「ズインと一緒に乗ればつぶれちゃう!!」
「そうよね!あなたは大きいから!」
と熟年カップル。
彼らはもっぱら景色や移動道中を楽しんでいる様子。
男二人は、仕事を探して地方のバラモンの領国に行くという。
「二人は婚約者ですか?いいですね~!それでどちらに?」
とズインにもリリアスにも聞いてくる。
行き先が気になるようだった。
「パリスに婚前旅行!」
ズインはウインクで答える。
帯刃しているのが物騒で、ズインはこの二人をムハンマドが寄越したリリアスの護衛と見ていた。
荷馬車と駱駝の一行は、一直線で砂漠のまばらな草原を行く。荷馬車10台、駱駝20頭。
雇われ人も、荷受人や護衛など、30名ほどいる。大きな商団だった。
リリアスは先導から最後尾まで走る。
髭の団長は感心する。
「あんたの婚約者さんは、きれいなのにお転婆だな!」
ズインは二人の男も慌てて馬を借りる交渉をしだしたのをみて、確信を深めた。
リリアスは最後尾から来た道を眺めた。
草木もまばらな砂漠地帯は岩場も多い。
そろそろ二日目の行程も終わる。
今日は旅行者もいるので小さなオアシスでテントをはり、砂漠で一泊の予定だった。
砂漠の王国とはいえ、都会に住むものは砂漠にテントを張った遊牧民の生活に憧れる者も多い。
そういう客人への特別サービスらしかった。
夕陽がオレンジに空を染めていた。
逆光に馬上の人影をみた。
(西のジャンバラヤ族??)
リリアスは二年前に数か月世話になったもの達を思いだす。
隊列を眺めている感じだった。
その影はすぐに消える。
リリアスは尚も風を感じながら夕陽を見ていると、別の方角からまた影が現れた。
ひとつ、ふたつ、みっつ、、、
10近くの影をかぞえる。
弓矢のシルエットもみたような気がする。
なぜか背筋が冷えた。
「誰かが付けているような気がするんだけど?」
団長に馬を返すときに言う。
「はぐれはずいぶん前に征伐されたんでしょう?」
髭の団長は片眉をあげた。
「はぐれって、ジャンバラヤ族の無法者のことだな。よくそんな業界用語を知っているな。あんたの見た影は、ジャンバラヤ族か南の蛮族かどっちかだろう」
リリアスはビックリする。
「南の蛮族!?」
記憶を探る。
南の蛮族の侵入は前王の治世で押さえられていたはずだった。
その後10年以上は蛮族の話を聞かない。
「最近、国境を越えて姿をみせるようになった。まだ、被害は出ていないが、こんなところまで姿をみせるとなると、ちょっと怖いな。
スピネル前王は恐怖で防いだが、代替わりをして現王のバーライトは少し甘くみられているのかもな」
リリアスの不安な様子を見て、団長は髭面をくしゃっと潰した。
「なに、大丈夫だ。蛮族の襲撃を受ける最初の被害者にならないように、護衛を雇っているから」
ズインも話を聞き付ける。
「武器はあるのかよ?この商団の護衛達は信用ができない。弱そうだ」
「そんなことはない。高いお金を払っているんだ。いざという時には活躍してもらわないと」
商団の雇う護衛達は凄みのある態度や顔つきではあるが、体もたるんだ感じの者も多い。
ズインは小さなオアシスに個別に張られたテントに不安を抱いた。襲撃に備えて、護衛は夜通し交代で見張ることになる。
「あんたたちも、武器を借りていた方がいいんじゃあないか?」
と新婚カップルにズインは声をかけるが、
「まさか!バラモンは平和よ~!」
との返事。
それよりも今夜の野外での食事が気になるようだった。
そして、二日目の夜が更けていく。
商団の恰幅の良い髭の団長は、はじめはしぶっていたが、熱意に負けて一頭貸す。
新婚カップルは二人乗りで軽く駆けた。ラブモード全開で、商団の雇人達は口笛を吹く。
(なんかいいな~!)
それをみて、リリアスも乗りたくなる。
彼らが堪能した後、リリアスも借りることにした。
「婚約者殿!僕と一緒に!」
ズインは声をかけるが、リリアスは笑顔で答えた。
「ズインと一緒に乗ればつぶれちゃう!!」
「そうよね!あなたは大きいから!」
と熟年カップル。
彼らはもっぱら景色や移動道中を楽しんでいる様子。
男二人は、仕事を探して地方のバラモンの領国に行くという。
「二人は婚約者ですか?いいですね~!それでどちらに?」
とズインにもリリアスにも聞いてくる。
行き先が気になるようだった。
「パリスに婚前旅行!」
ズインはウインクで答える。
帯刃しているのが物騒で、ズインはこの二人をムハンマドが寄越したリリアスの護衛と見ていた。
荷馬車と駱駝の一行は、一直線で砂漠のまばらな草原を行く。荷馬車10台、駱駝20頭。
雇われ人も、荷受人や護衛など、30名ほどいる。大きな商団だった。
リリアスは先導から最後尾まで走る。
髭の団長は感心する。
「あんたの婚約者さんは、きれいなのにお転婆だな!」
ズインは二人の男も慌てて馬を借りる交渉をしだしたのをみて、確信を深めた。
リリアスは最後尾から来た道を眺めた。
草木もまばらな砂漠地帯は岩場も多い。
そろそろ二日目の行程も終わる。
今日は旅行者もいるので小さなオアシスでテントをはり、砂漠で一泊の予定だった。
砂漠の王国とはいえ、都会に住むものは砂漠にテントを張った遊牧民の生活に憧れる者も多い。
そういう客人への特別サービスらしかった。
夕陽がオレンジに空を染めていた。
逆光に馬上の人影をみた。
(西のジャンバラヤ族??)
リリアスは二年前に数か月世話になったもの達を思いだす。
隊列を眺めている感じだった。
その影はすぐに消える。
リリアスは尚も風を感じながら夕陽を見ていると、別の方角からまた影が現れた。
ひとつ、ふたつ、みっつ、、、
10近くの影をかぞえる。
弓矢のシルエットもみたような気がする。
なぜか背筋が冷えた。
「誰かが付けているような気がするんだけど?」
団長に馬を返すときに言う。
「はぐれはずいぶん前に征伐されたんでしょう?」
髭の団長は片眉をあげた。
「はぐれって、ジャンバラヤ族の無法者のことだな。よくそんな業界用語を知っているな。あんたの見た影は、ジャンバラヤ族か南の蛮族かどっちかだろう」
リリアスはビックリする。
「南の蛮族!?」
記憶を探る。
南の蛮族の侵入は前王の治世で押さえられていたはずだった。
その後10年以上は蛮族の話を聞かない。
「最近、国境を越えて姿をみせるようになった。まだ、被害は出ていないが、こんなところまで姿をみせるとなると、ちょっと怖いな。
スピネル前王は恐怖で防いだが、代替わりをして現王のバーライトは少し甘くみられているのかもな」
リリアスの不安な様子を見て、団長は髭面をくしゃっと潰した。
「なに、大丈夫だ。蛮族の襲撃を受ける最初の被害者にならないように、護衛を雇っているから」
ズインも話を聞き付ける。
「武器はあるのかよ?この商団の護衛達は信用ができない。弱そうだ」
「そんなことはない。高いお金を払っているんだ。いざという時には活躍してもらわないと」
商団の雇う護衛達は凄みのある態度や顔つきではあるが、体もたるんだ感じの者も多い。
ズインは小さなオアシスに個別に張られたテントに不安を抱いた。襲撃に備えて、護衛は夜通し交代で見張ることになる。
「あんたたちも、武器を借りていた方がいいんじゃあないか?」
と新婚カップルにズインは声をかけるが、
「まさか!バラモンは平和よ~!」
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