添乗員転生   チートのせいで売られそうです

めい

文字の大きさ
15 / 15

出血大サービス

しおりを挟む
「さぁ、契約に乾杯しよう!!」

王太子が大きく手を挙げると、みな同じようにグラスを掲げた。

「「「乾杯」」」

私たち兄、妹にはジュースを入れてくれた。
この世界にきて初めてのジュース。
本当に美味しかった。

運ばれた料理には、それに合わせてカトラリーが一緒に運ばれてくる。
最初からセットしないのはソロバン家の事を思ってくれてだろう。
スープもカップで出してくれた。

王太子殿下は、昔から城を抜け出して王都を探索するのが大好きで、
その相棒たちがカイン伯や、ブライアンさん。
なぜか年齢が違うキンドリー様も悪友として参加してたらしい。
庶民の食堂を何度も利用していた。
だから、気にせず食事をしてくれ………
と、優しく声を掛けてくれる。

食事が進んでいくと、
それまで、あまり話さなかったカイン伯が両親に話しかけ始めた。

「あなたの子供たちは、とても優秀ですね。
領主代行として、誇らしい。
あなた方家族のおかげで、領地にも恩恵が与えられた。
これから援助は惜しまないよ。困ったら言ってきてくれ」

ここにいる人たちは、身分を嵩にきない。
こんな人たちが本当にいるんだろうか?

恐縮している両親にカイン伯は続けた。

「ブライアンから聞いたが、アリアを売る。というのは本当かね?」

一気に青くなり震えだす両親たち

「彼女は、君たちでは手に負えないのは、
今回の事でよくわかっている。
今まで守れただけでも、大したもんだ。
どうだろう、私の養女にもらえないだろうか??
俺が買った形にして、
金は出しても良いが………
それは、やめた方がお互いに良いと思うんだ。
売った。と知れると、君たちの元へ訪ねる事も出来なくなる。
……俺やアルトバイン家が、あとは引き受けるよ」

優しく労わるように声を掛けてくれる。
青くなっていた両親の顔から大粒の涙が流れ落ちてきた。

「養女になった後は、そこにいるキンドリー・ハイドの下で魔術を習わせようと思う。
彼は賢者と言われていて、王宮の筆頭魔導士だ。
神様のお告げ??……で、この森の女性と出会うためにきていたんだけど、
どうやら、それがアリアみたいなんだよね」

今度は、わけがわからない事を言い出した。

「キンドリーが直接に引き取っても良いけど、彼や魔法がイヤになったら
俺かブライアンのところに逃げてくれば良いよ。
その為には、俺の養女になるのが一番良いと思うんだよ」

えっ、それって私の家出先予定の2つじゃない!!
家出しなくてもよくなる??

お願い父さん、母さん頷いて!!
入る予定だったお金は、私が必ず働いて返しますから!!

食事会場の静まり返った。

「………お願いします………」

小さな声で涙ながらに母さんが返事してくれた。

そして、売り払う事になった状況を話してくれた。

「この子が3歳の時、私の食堂に一緒に連れて行きました。
それまでは、息子が見てくれていたのですが、
2人とも風邪をひいてしまっていて………
家の中でも、器量が良いことはハイチとも話していたんです。
でも、連れて行ったとたんに、
店のご主人や、客から変な視線が娘に集まって……
次の日に店に行くと、ご主人から『おかみさんには内緒で売ってくれ』と言われ……
前の日に来てた人は、雇い主まで連れてきて売ってくれ……
って、私の娘を何だと思っているんだって、最初は怒ったんです。
でも、話をなかなか聞いてくれなくて。
このままだと、悪いことが起きそうで………
だから、言ったんです。
あと、3,4年は最低でも待ってくれ!!って、
そうしたら、ご主人は自分よりもお金持ちに売るんだろうと思って。
諦めてくれて………
外に、この子を出したら、きっと同じような事が起きるだろう。
だから、家の中でだけ育てようと思ったんです。
そうしているうちに、魔法を使えるようになってて………
もう、私たちでは守り切れない。
だから、お金持ちに売って、大事にしてもらおうと……」

つかえながらも話してくれた。

私、愛されていたんだ。

兄たちも両親の気持ちは知っていたのだろう……

静まり返った部屋の中に、嗚咽だけが響き渡る。

「うん。わかった。君たちの対応は正しいと思うよ」

こんどは、王太子殿下が肯定してくれた。

「で、どうなんだいアリア。
今の話をきいて、カインの養女になるかい??
なるんなら、私が認可を下ろす。そうすれば、君を守る事が出来るよ。
町中に君を戻すのは心配だから、このまま屋敷にいて、
家族にも何時でも会えるようにしてあげるよ」

スゴイ!!私の全ての希望が備わっている。

身の安全、家族との面会……さっきキンドリー様の弟子にもしてもらえる。
って、言ってたから魔法の勉強も出来る

「はい。ぜひ、お願いします。
両親だけじゃなく、兄妹の面会も許可していただければ嬉しいです」

王太子殿下とカイン伯が満面の笑顔で返事をしてくれた。

立ち上がり父と母に抱きつく。

兄たちも私を一緒に抱き合った

……リンデンは机に伏して寝てる。うん。かわいい

「じゃ、カイン、手続きをしよう。アーサーもいるし契約書はすぐに作れるはずだ」

即断即決
素敵です!!

私は家出をすることもなく。
安全安心な場所を手に入れた。
魔法だって勉強できる。


これで、一件落着。
神様ありがとう!!

最初に妄想した
お金、器量、魔法、運、身体強化、前世の記憶

全て叶えてくれてたのね。
貧乏な家で記録が戻った時に、
ちょっと【ケチ】って思って、ごめんなさい
出血大サービス

与えてもらった2度目の命
頑張って、楽しみます!!

もう一度言わせて
ありがと~




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...