死に損ないの春吹荘 

ちあ

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四章 ……学校ってこんなんだっけ?

対決(ユウその一)

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 ソラのファンクラブメンバーがなにも言わず去っていってから、五分。
 いや、あの~……もう時間すぎているのですが?
 来ないのは困るんだよなぁ、いや、素直に。
 あの、三十分くらいの争いを予定しておりまして、四時半くらいにソラたちと約束済みなんですよね、はい。
 なので、遅いと、バレるから、嫌なんだよなぁ……。
 ま、そんなことを考えてから、さらに三分後。
 やっとのことで、屋上の扉が開いた。
 やっとお出ましですかい、ユウファンクラブよ。
 私はそう思って、しゃがんでいたところを立ち上がる。
「なんのようです」
 さっきの、テンション高めのマウンド取りたがりっぽいリーダーと違い、こっちのリーダーは、大人しくて清楚っぽいな。
 まぁ、どっちかっていうと、こーゆー人のほうがヤンデレとかになってやばいらしいけど。
「えーと、あの、いじめ紛いの件についてのお話をしたいと思いまして」
 敬語ってさ、こんな感じの使い方であってるよね。
 あの、制服を見る限り、リーダー様が、ソラファンは、中等部の赤ネクタイだったのよ。
 で、この先輩の方は、高等部の青ネクタイなのね。要するに、先輩。
 だから、敬語使わないとダメなんだよね。うん、辛っ!
「その件は、主に影島のファンがしていることです。我々は、せいぜい、紙屑を入れる程度。それが何か?」 
 うん、それもアウトなのよね。うん。
 なにをするにしても、そーゆーことをしてる時点でアウトなんですよ~、先輩。
 いや、あの過剰ファンを見た後だとね、薄れると思うはずなんですけど、案外あっちがあっさり終わったわけなのよ。だからさ、やってることと話の内容の、濃さがあってない。
 こっちもちゃんと異常に思える。
「いや、あの~、でも、邪魔なんですよね、紙屑って案外」
 一番うざったるいのってね、小さーな隙間に入った紙屑なのよ。
 後々まで残るしさ、たまに出てきたら、それはそれでうざいしさ。
 一番なんだかんだ迷惑なんだよね!
「なにをしろと?」
「こういうこと、やめてください」
「あんたが関わるからじゃないの」
「馬鹿なことするからよ」
「自業自得です」
 うん、あのさ、高等部の確率高いよね、ユウさんのファンって。
 だからかな?すっっごく圧を感じる。
「だとしても、転校してきて、春吹に入って、それだけで、こんないじめ紛いな目に遭う筋合いありません」
 私は言い切る。先輩方を多少睨みつけて。
 リーダー格の先輩は、何をいう、とわけのわからなそうな顔をする。
「あなたが、真水様に親しいからです」
 こっちもそーゆー系ですよねっ!
 でもさ、転校してきただけでそんなことされる筋合いないんだって、こっちは。
「私、もともと、真水とは、幼馴染みなんです。 なので、同じ学校に転校してきただけでこんな目に遭うのは困るんです」
 私がそういうと、あっちは簡単に引いて?くれたけど、こっちはダメらしい。
「困ると言われても、こちらからしたら、影島と付き合うのも嫌だという子もいるのに、女子となんてありえないの」
 うん、ユウに自由はないのか。そうか、大変だぁ♪
「好きなもの、苦手なもの、将来の夢……全て把握しているんです、私たちは。久々にあった幼馴染みだろうがなんだろうが、信仰対象は譲れません」
 信仰対象言い出したわ。
 なに、え、なに?信者?
 というかさ、一つ引っ掛かったのね。素直にいうよ?
 って言ってるけどさぁ、絶対に知らないよね。
 あんたらに、ユウのなにがわかるわけ?
 生まれも、事情も、抱えるものも……私たちですら分かり合えないものを、あなたたちが理解できるわけない。これは、断言できるよ。
 何年、一緒にいたと思ってんの?
「それを言うなら、質問に答えて」
「何故?」
「全部、私の知ってることを聞きます。なので、答えてください。正解であれば、あなたたちもしっかりと知っていると認めます。 ユウに関わらないようにします」
 私は宣言する。 
 これは、もう、私、勝つ。
「どうぞ」
 先輩は、そう言う。
 私は一礼して、質問を始めた。
「まず、ユウが春吹に入る前はどこにいたかご存じで?」
「甘村小学校」
「はい、区立です。 ですが、そう言うことではない。どう言う場所に住んでいたか、です」
「甘村町」
 それは知ってるのですね。
「いえ、どんなか、ですので」
「……アパート?」
 それは知らないと。
「違います」
「じゃあなに?」
「言いません」
 当たり前じゃあないの。
 言うわけないわよ。
「それは嘘をついていると言うのと同然よ」
「そんなことしなーーー」
ガチャ
 扉が開いて、ソラ&ユウが出てくる。
「ユーくんのことで揉めてるね~?」
 いや、さっきあんたのところの相手したけどなっ!
「俺のせいかよ」
 うん、そうだよ!

 
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