死に損ないの春吹荘 

ちあ

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七章 春吹荘崩壊

パーティ、なんて飽きたわ

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 今日は、仕方なくパーティに参加することになった。
 普段は、こーゆーお誘いはかたっぱしから拒否して、絶対行かないといけないものに渋々行く。
 まぁ、今回は特別に、行ってあげるのだけどね。


















「いやだぁ~」
 と、誕生日にもらったテディベアを抱きしめながらミカちゃんは、ごねる。
「ごねても無駄よ~」
 と、言いながら、私は、さっさとお手紙を開けては、テキトーに分ける。
「あけなくていーじゃん」
「開けないとめんどくさいのとかあるのよ。 脅迫もどきとか」
 おじいさまとかに報告しなきゃいけないからねー、正直言ってめんどくさい。
 それに~?私のことろくに知りもしないで殺すだの何だの、無理でしょー。
 誘拐されたって慣れてるし?
 そんちょそこらの温室育ちのお嬢様とは訳が違うのよねー、これが。
「雪芽様、帝様。 御支度を」
 と、私の専属メイド、梨花が呼んだ。
「はーい」
「ちぇ~」
「こらこら、ミカちゃん。 これから先は、あなたはいつものあなたじゃないの。わかるわね?」
「はぁ…………、こんなの嫌だなぁ」
「頼りたくないはノーよ?」
「へーへ」
 明らかに不機嫌ながらも、ミカちゃんは、私とともに梨花の後を追う。
 彼女にドレスを着せられ、喚く声が聞こえてきた。
 ふふふっ、可愛いなぁ……。





























 パーティ。
 入場と同時に、会場のほぼ全ての視線が私たちに注がれる。
 私を見て、次に品定めをするかのようにミカちゃんを。
 しばらく静まり返り、その後ドッと、人の波が押し寄せる。
 その中に紛れて、ミカちゃんの悪口も。
 彼女は一切気にしてないみたいだけど……自分の悪口よりなんか、ダメージあるなぁ。
「ね、ミカちゃん」
 と耳打ち。
「ん?」
「ばらしちゃおっか?」
「やーだね」
 あら、つれないわね。
 そんなことを考えていながらも対応する。
 周りには、
「彼女は、私の幼馴染みの妹なんです」
 と、嘘の話を。
 まぁまぁの立場はあるのかな、なんて思い込ませる。
 まぁ、立場は実際そこそこあるのよねー、この子。知ってる人いないだろーけど。
「! ゆっきぃっ!」
 耳打ちにしては大きく、周りには聞こえない声で話しかける。
 少し興奮気味だった。
「なぁに? 何か面白いものでもあった?」
「マッくんがいるっ」
 あらあら、そんな笑顔になって。
 本当に楽しそうで嬉しそうねー。…………偽物でしょうけれど。
 でも、本当にこの苦しい中での知り合いは嬉しいのよね。きっと。
 私だってそうだし。ほっとするっていうか、安堵する。安心感を得られる。
「いーわよ、行っておいで」
「うんっ」
「でーも、お仕事もね?」
「はぁい」
 と、ほとんど上の空ながらにも返事をして彼女は抜ける。
 その穴を埋めるかのように余計に人が集まった。
 ミカちゃんにも、付け入ろうとした人がいるけど、無駄みたいね。
 まぁ、うちのお姫様は気が難しいからね♪













 しばらく相手をしていると、ミカちゃんが戻ってくる。
 周りは煩わしそうにしつつも、ミカちゃんを私の元へと通した。
「マッくんに頼んできた~」
 その心底楽しそうな作り笑いは……何か悪いことしたでしょー?
 いいなぁ。いいなぁ。
 私もやりたかったわ~。
 混ぜて欲しかったわ~。
 立場とか権力ってほんと煩わしいなぁ。
「ね、ミカちゃん」
「……むぅ」
 察したわね?
「そろそろ潮時よ」
「へーへー」
 あら、そんなに嫌そうにしないでちょうだいよ。
 私だって、最大限名前を使うんだから、あなたもよ。
「皆様にお知らせが。私の可愛い可愛い妹分についてなのですが」
 あちらも、ミカちゃんの存在については気になるのだろう。じーっと見てくる。
 それなのに、全く動じず、逆につまらなそうに手遊びを始めるなんて……ほんとどーゆー神経してるのよ、もうっ。
 というか、この歳で手遊びて……。
 何気に可愛げあるわね?!
「普通の子ではないんですよ♪名前は、帝宵衣ちゃん。 聞いたことある方もいらっしゃるのでは?」
 大抵のご令嬢様は、辺りをキョロキョロする。まぁご令嬢様は知らないわよねー。
 御子息様も、同じく。
 いや、女子より男子の方が知っててほしいな、おい?!!?
 数人、というか私の知り合いがほとんどなんだけど、はっ!とした表情になる。
「ふふっ、気がついた方もおられるようで? 帝ちゃんの、お母様は有名な数学者であり、お父様は有名な科学者なの」
 周りの目が変わる。
 特に、科学技術者を多く求める会社は。
 こーゆーときに子供のコネでどうにかしようって輩がいるから嫌いなのよねー。ま、今現在私たちがやってることは何だって言われたら終わりだけれど。
「そして、宵衣ちゃん本人は、幼い頃に大学推薦されるほどの天才児なんですよ♪」
 周りは、私のそばに彼女がいる理由に納得したらしい。
 まぁこんなすごい子だしねー?
 知ったのは仲良くなってからだけど。
「まぁ、仲良くしてやってください。たーだし、悪いことしちゃ、ダメですよ?ふふっ」
 かるーく、圧をかければ大抵の奴らは何もできなくなる。
 ミカちゃんのこと、これ以上は傷つけないからね。安心して。












 その日の成果は大きく、かなりの情報と人望が集った。
 これでまぁまぁできるわね♪
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