箱入りの魔法使い

しゅん

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転入生

特訓

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ナツさんとの特訓が始まり1週間。

魔法剣のコントロールはほぼ完璧になっていた。

というか完璧ではななかった僕がおかしいのだが。

「今まで見た感じだと、リッカ君は魔力の最大値が増えないみたいだね、一日にできて六、七回、これは致命的だ」

確かにその通りだ、しかしこれは子供の頃から分かっていたことである。

不可能なことはそうそうに切捨て、目前にあるものを早く手にしておきたい。

「ナツさん、この腫瘍をコントロールしたいんだ、何か方法はありますか?」

「それについては僕も不確定要素が多すぎてどうしようもないな、だけどそれに詳しいやつならいるかもしれない」

まさか僕以外にもこんなふうに戦う魔法使いでもいるのか?

───

「久しいなナツ、お前から来るとはどういった用件だ?」

「彼はプレリュード、僕の知り合いでね、キミのいい相手になってくれるかもしれないよ」

その話し中にそのプレリュードさんがおい、おい、と何度も聞いているがナツさんは説明を先にした。

「よろしくお願いします」

僕はとりあえず第一印象をよく見えるよう深々とあいさつをした?

「はぁ...たくっ、借りは返してもうぜ、ナツ」

「もちろんだ」

そこでナツさんとは別れた。

本当はこの人は超強面で怖いし、多分この人は...だから一緒にいて欲しかったんだが。

「ナツから話は聞いてるが、お前のその口から聞いておこう、その腫瘍はなんだ?」

僕はその人にこの力のことを話した。

暴走した時は僕ではなく、精神世界にいるの悪意が僕の体を動かしているということを。

「悪意...か、だったら尚更てめぇは俺が鍛えてやる、てめえ名は?」

「リッカです」

「よしリッカ、とりあえず暴走してみろ」

「......は?」

この人は人の話を聞いていたのだろうか、確かに暴走の規模については端折ったが、学校が休校になるほどたのだから言わなくてもわかって欲しい。

「安心しろ」

その目は初めて会った時とは違う暖かい目をしていた。

まるで全てを任せられるような。

───

1週間後

「よし、今日も暴走からだ」

「ちょと待ってください、精神世界のその悪意と話せってのはそんな簡単じゃないんですよ」

前回の暴走では何とか元に戻ったが、あれは少し都合が良すぎたかもしれない。

訓練の内容は暴走して送り込まれた精神世界で悪意と、あの僕に話しかけてくると話し合うこと。

誰か、はまだ話が通じるが、悪意の方はダメだ。

僕の呼び掛けに応答すらしない。

でもたまに声が聞こえるのだ。

それはあまりにも聞き取れない程の声で。

それが鍵だ、と僕は踏んでいる。
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