箱入りの魔法使い

しゅん

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ジュリ

世界が泣いている

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「なんだ!何事だ!」

城一つ丸ごと破壊し尽くしたレーザー。

そんなものが他国まで轟かないはずが無い。

国の民は慌てて地下へ隠れる者、外へ出る者、神に祈る者まで現れた。

「あそこはかなりの軍力を持った国だぞ!それがあんな一瞬にして消え去るなど...!」

「サラダ王!我々はどうすれば!?」

「ええい!話しかけるな!そんなもの聞かなくてもわかるだろう!」

兵士たちはキョトンと突っ立っている。

「早くあのレーザーの元を叩くのだ!この城までやられればもう終わりだ!」

「は、はい!」

そう言って兵士たちは外に出て辺りにバリアを張ったり、結界を敷いたりして守りに徹している。

「ばっバカなヤツらめ!こんなもので防げるわけないだろう!今のうちに...」

サラダ王は今のうちに金庫から数多くの財宝をポケットや腹と服の間、パンツに詰め込んで地下室に向かった。

「ここなら、地面を抉られない限りた、助かる」

ここを出てもこの金銀財宝を売れば相当の金になる。

また一から国は作ればいい。

頭上から土がパラパラと落ちてきた。

それと同時になるとんでもない轟音。

ここにもレーザーが飛んできたのだろう。

すると音は止んで衝撃も収まった。

「ふは、フハハハハハ!生き残った!私の勝ちじゃあぁ!」

すると地下室のドアがギギっと空いた。

そこには高身長の白衣を着た男とその肩に乗っている三つ目の少女。

「...あーん」

王はレーザーが飛んでくると思って構えた、がいつまで経っても死なない。

それどころかなんだか焦げ臭い匂いがする。

「うっうわあぁぁあ!」

油とそれに引火して燃え上がる火。

火は服に燃え移りじりじりと皮膚を焦がしていく。

「ぎゃぁーーーー!」

───

「逃がすわけねぇだろ、タコが」

こんなところに時間は使わない。

次に急ぐ。

「もうそろそろだな、ジュリ」





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