箱入りの魔法使い

しゅん

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ジュリ

牙と爪と

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「おいおい、こんな大金どうすんだよ」

「いくらあっても困るものじゃないだろ」

「遅くない?さっきの足止めいったハリスと...えーと誰だっけ」

「あー、ドラコでしょ。いいってあいつあれでも番号15位くらいだぜ」

───

ギャアアと鳴き声が空気を振動させ、ビリビリと迫力が伝わってくる。

「コイツ!ドラコってやつの固有魔法だ!変身してるんだ」

ドラゴン、またドラコは鋭利な爪と牙、頑丈な鱗、そして火を吐いたりする。

こういう類の敵は翼が弱点だったりするんだが、翼さえも硬化していて攻撃が通らない。

「ねぇねぇどうするのリッカ!あれに...ドラコに勝てるはずない...メソッドさんを頷かせた奴よ!」

火を吐くとはいえ物理攻撃がメインだろうこのドラコ、あのメソッドさんと互角に渡り合える...

「なら、勝てるじゃないか」

「え?今なんて」

「無理無理!僕はそこに隠れてるよー!」

トコトコと隠れたのはフミヤだ、もう一度言うようだが彼は最初から頼りにはしていない。

「わたし、も...」

「ダメだ、ニィナには手伝ってもらう」

ニィナはまるで白骨化したような顔だ。

翼もダメ、巨体にもスキは無い。

ファミリアだけで何とかなる訳でもないだろう。

腫瘍を自粛したからか、魔法のキレは良さそうだ。

あの時、ナツさんから教えてもらったあの魔法を使う。

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