箱入りの魔法使い

しゅん

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ジュリ

嵐の前の静けさ

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「本当に固有魔法使ってくれないんだな、寂しいぜ」

ミスノルフは未だに固有魔法を使わずにバルトロスの攻撃を防いでいる。

ミスノルフはそれで手一杯だと言うのにバルトロスは余裕があるようだ。

「そういや固有魔法を持たずに産まれてくる赤ん坊がいるらしい。それってまさかお前か?世界は広いねぇ」

戦ってて分かったこと。

このバルトロスはとんでもない魔力量を持っており、更にはそれを循環している。

使った魔力は普通、空気中に散らばり回収は不可能だが、こいつは魔力を再び体の中に取り込み再利用している。

それがバルトロスの固有魔法。

魔力切れは起きないし、絶対に隙なんてできない。

「疲れるな」

その言葉はバルトロスの癪に障ったのか。

「こっちは真面目に戦ってるんだ。それを疲れるだ?痛い目見なきゃ分かんねえかオッサン!」

ものすごい衝撃波。思わず受身を取れずに転がり込んでしまう。

「マジか...」

魔力が見える。

バルトロスの魔力が、その循環が目に見えるほど濃密に重厚になったということだ。

実物となった魔力は実に厄介だ。

本気なのか、戦いに。

「じゃあ見せてやるよ仕方ない。俺の固有魔法の片鱗を」

ミスノルフは手をかざした。
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