箱入りの魔法使い

しゅん

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適応者

クラウン

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「メソッドさんはおかしいとは思いませんか?この体たらくを」

「まぁこの世界には色んな人がいるからな、今更驚きはしない。それに俺も変な体でな、魔力が全く無いんだ。」

厳密に言えば少しだけある。ただし、ほんの少し。

戦闘で使えるかと言えばそんなことは無いが、それを実戦で使えるよう調整したのだ。

「フランケンシュタインは今何をして生きているんだ?」

「私は、顔がバレないように働いてはバレて、その金で少しの食料を買って、その繰り返しです。そのうち全ての街で出禁になるかもしれません」

少しフランケンシュタインは笑った。

全く笑い事では無いのに。

「じゃあやりたいことは」

やりたいこと、か。

子供の頃、何を思っていたっけ。

学校にも行かせて貰えなかった。本も買ってくれなかった。生まれてすぐに不自由だった。

「そう...ですね」

目を閉じて、ある風景を想像する。

「海、海を見てみたいです」

どこまでも続く青い水面、空、香る潮風。

街の人たちには無い記憶だ。

まだ誰も行ったことのない場所。

「俺が連れていこうか?」

「えっ...」

「この怪我のザマであと数ヶ月は学校へ行けないんだ。嫌か?」

「...こんな私でも...あ、ありがとうございます!」

そうして二人の旅が始まる。



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