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1 絶対絶命ゴーカート

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「さあ」
 柚子は肩をすくめた。
「私が起きた時には、二人はもういなかったわ。でも、ルーカスはまだベッドの上で、すやすやと眠っているようだけど」
「そう。まあ、どうせ京一は、いつもの朝練でもしているんでしょうね。久遠くんは、なにをしているのかわからないけど」
 こともなげに乙葉は言った。
「それにしても、暑い」
 柚子がなにか言いたそうにしているのを無視して、乙葉はすっくと立ち上がった。そして、小屋の窓と扉を全開にすると、冷たい風を浴びながら、両手を広げて深呼吸した。
「よし、これで涼しくなったわ。じゃあ私は、もうすこし寝ることにするわね」
 そう言うと、乙葉はふたたび、寝袋に向かって歩きはじめた。
「お姉ちゃん、まさか、二度寝する気?」
 おどろいたように柚子が言った。
「そうだけど?」
 なにか問題でもあるのかと思いながら、乙葉が言った。
 柚子はその途端、乙葉が眠ることを阻止そしするために、乙葉の寝袋をとり上げた。
 乙葉はそれを見て、おどろきながら口を開けると、
「ちょっと柚子、私の寝袋、とらないでよ」と言った。
「いや! だって私、お姉ちゃんに寝てほしくないんだもの」
 柚子が必死で反対した。
「かえして」
 乙葉はそう言うと、柚子の持っている寝袋の端をつかんだ。
 しかし、柚子は寝袋をひっしとつかみ、まったく離そうとしない。
 乙葉も負けじと、力強く寝袋をつかんで、引っ張った。
「私は——まだ——寝るんだから——離し——なさい——よっ」
 乙葉が顔を歪めながら言った。
「い——や——」
 柚子は、顔を真っ赤にしながら言った。
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