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1 絶対絶命ゴーカート

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 ルーカスがなにかを言いかけたところで、久遠が突然、大声を出してさえぎった。
「おと?」
 柚子が首をかしげて言った。
「おと、がなんなの?」
 みんなが然としていると、久遠は、ついにテーブルの上にのぼって、ルーカスの手から、スマホを取り戻した。
 その時、ルーカスはなぜだか、なにも言わずに、ニヤニヤした顔を久遠に向けていた。
 そして、スマホを取り戻した久遠は、急いで、なにかの操作をしているようだった。
「取り返せてよかったな、久遠」
 京一が、意味ありげに久遠を見て、軽く肩を叩いた。
 久遠はなにも言わなかったが、なぜか耳を赤くしていた。
「ねえ、そろそろ朝ごはんにしない?」
 おりをみて、乙葉が切り出した。
「そうだな、そうしよう」
 京一が同意した。
「わーい! 朝ごはん!」
 ルーカスがうれしそうに言った。
 一もん着していたことも無事に解決し、朝食の準備がはじまった。準備はほとんど京一、一人によって、手ぎわよく行われ、あとの四人は、ただ見ているだけの形となった。
 京一の手により、あっという間に、テーブルの上に朝食が並べられると、五人はそれぞれ椅子に腰かけた。そしてすべてが整ったところで、
「いただきまーす」と、全員は声をそろえて言った。
 目の前には、缶の中に入ったそれぞれ味のちがうパンと、湯でできるスープが置かれていた。
 ルーカスは食べるのが待ちきれないように、チョコ味のパンを缶から出して、口一杯に頬張った。
「ルーカス、そんなにいっぺんに食べたら、喉に詰まっちゃうわよ」
 乙葉が注意した。
「ら、らいろうぶ」
 口をもごもごさせながら、ルーカスがいうと、そのまま、ごっくんと飲み込んだ。
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