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4 財宝強盗
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「あー、ちょっとね。いろいろあって」
柚子をおさえるように両手を前に出し、目をそらした乙葉が、誤魔化すように言った。
「なに? いろいろって」
乙葉から離れた柚子は、目を細めながら、疑うように聞いた。
「まあいいじゃない。それより、そこにいるのって犯人でしょ? 捕まえておかなくて大丈夫なの?」
乙葉たちには気にもとめず、メリーゴーランドに夢中になっている犯人を見て、乙葉が言った。
「あの人は犯人じゃない」
柚子のかわりに、京一が即座に答えた。
「内田さんだ」
「内田さん?」
三人がそう話している間にも、ルーカスは内田にふわふわと飛びながら近づき、不思議そうな顔で、観察していた。
それに気づいた内田は、顔を輝かせながら、
「うわあ」と言った。
「君、なに? 空飛べるの? すごいねえ」
ルーカスはその言葉に、すっかり気をよくして、
「うん。空を飛ぶことなんて、僕にとったら朝飯前だよ」と、得意げになって言った。
「見てて」
そう言うと、ルーカスは空高く舞い上がり、内田に見せつけるようにあちこち飛びまわり、ついには空中で逆立ちをし出した。
「おお! すごい!」
内田は心から驚嘆しているような顔をした。
「君、超能力者かなにかかい?」
その時、ルーカスと内田の様子を、遠くからじっと見ていた乙葉は、
「ねえ、あの、内田さんって誰なの?」と、不審そうに尋ねた。
内田というその男は、よく見ると小太りで背が低く、頭が坊主で人がよさそうな顔をしていた。それと、外は暑いのか、顔全体に大量の汗をかいていて、首に巻いている白いタオルで、額に流れている汗を、何度も拭き直していた。
柚子をおさえるように両手を前に出し、目をそらした乙葉が、誤魔化すように言った。
「なに? いろいろって」
乙葉から離れた柚子は、目を細めながら、疑うように聞いた。
「まあいいじゃない。それより、そこにいるのって犯人でしょ? 捕まえておかなくて大丈夫なの?」
乙葉たちには気にもとめず、メリーゴーランドに夢中になっている犯人を見て、乙葉が言った。
「あの人は犯人じゃない」
柚子のかわりに、京一が即座に答えた。
「内田さんだ」
「内田さん?」
三人がそう話している間にも、ルーカスは内田にふわふわと飛びながら近づき、不思議そうな顔で、観察していた。
それに気づいた内田は、顔を輝かせながら、
「うわあ」と言った。
「君、なに? 空飛べるの? すごいねえ」
ルーカスはその言葉に、すっかり気をよくして、
「うん。空を飛ぶことなんて、僕にとったら朝飯前だよ」と、得意げになって言った。
「見てて」
そう言うと、ルーカスは空高く舞い上がり、内田に見せつけるようにあちこち飛びまわり、ついには空中で逆立ちをし出した。
「おお! すごい!」
内田は心から驚嘆しているような顔をした。
「君、超能力者かなにかかい?」
その時、ルーカスと内田の様子を、遠くからじっと見ていた乙葉は、
「ねえ、あの、内田さんって誰なの?」と、不審そうに尋ねた。
内田というその男は、よく見ると小太りで背が低く、頭が坊主で人がよさそうな顔をしていた。それと、外は暑いのか、顔全体に大量の汗をかいていて、首に巻いている白いタオルで、額に流れている汗を、何度も拭き直していた。
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