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4 財宝強盗

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 四郎がすこし遠慮した様子で言った。
「もちろん。さあはやく食べて」
 乙葉が言うと、四郎は一瞬、戸惑ったように見えた。
 しかし、目の前にあるおにぎりの誘惑に耐えきれずに、四郎はゴクリと唾を飲み込むと、乙葉にさし出されたおにぎり目がけて、思いきりかぶりついた。そして、そのまま一気に口の中で噛みくだき、胃の中に流し込んだようだった。それから四郎は夢中になって、おにぎりがなくなるまで、頬張り、食べつづけた。
「はあ、美味かった」
 まもなくして、おにぎりを食べて満足したのか、笑顔になった四郎が、米粒のついた唇を、ひと舐めした。
「ありがとう」
 四郎は素直に礼を言った。
「どういたしまして。さてと」
 次に、乙葉はとなりでうらやましそうに、四郎がおにぎりを食べる様子を、じっと見ていた銀司のところにいって、しゃがみ込んだ。
 銀司は、乙葉がおにぎりをさし出した瞬間、迷いなく、そのおにぎりにかぶりつき、ガツガツとむさぼり食いはじめた。そしてあっという間に、おにぎりはなくなった。
 食べ終わった銀司は、満足そうに、一息ついている。
 最後に男の前で座り込むと、
「あなたも」と言って、乙葉は男の口の前に、おにぎりをさし出した。
「ふん、いらねえよ」
 強がっているのか、男は乙葉とおにぎりから、目をそらした。
「でも、お腹空いてるんでしょ?」
 乙葉が優しく聞いた。
「いらねえって言ってんだろ」
 いらついた様子で、男が言った。
 それを後ろで、椅子に座りながら見ていた柚子が、
「まあっ! せっかく人が親切にあげようとしてるのに、その態度はなによ!」と、声を荒らげて言った。
 すると男は、
「あーあー、うるせえなあ。頼んでもないのに、いちいちよ。俺はこういう、おせっかいなことが、大嫌いなんだよ!」と、声を張り上げた。
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