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6 乙葉大ピンチ

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「お姉ちゃんを助けるって言っても、どうやって助けたらいいのか、全然思い浮かばない……」
 走りながら、弱々しく柚子が言った。
 その後ろでは、内田と銀司の二人が、柚子を追うようにして走っていた。銀司は軽快に、汗一つかかず走っているのにもかかわらず、内田は腹を揺らしながら、体中に汗を大量にかいて苦しそうに走っている。
「内田さん、大丈夫?」
 後ろを振り返りながら、柚子が心配して言った。
「はあ……大丈夫、大丈夫。このくらい、心配、しない、で」
 内田が途切れ途切れにそう言った。
 かなり無理をしているように見えたが、内田が大丈夫と言うので、柚子はそれ以上、心配しないことにした。
「ねえ、なにかお姉ちゃんを助ける、いいアイデアはない?」
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