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6 乙葉大ピンチ
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「気にしないで! 僕たちは運ぶよ!」
内田が叱責した。
乙葉の落ちている地点から地面までは、まだ距離があり、落下するのも、まるでスローモーションのように、乙葉にはおそく感じられた。
(私、死ぬのかな……?)
目をつむりながら地面に落下している最中、乙葉はそう思った。
これからしたいことやしなければならないと思っていたことは山ほどあるのに。それなのに死ぬなんて、絶対にいやだ。
「まだ、死にたくない」
そう呟くと、乙葉の目に涙が浮かんだ。
「死ぬのはまだはやいよ!」
おかしい。ここは空中なのに、誰かの声が近くで聞こえる。死ぬ前の幻聴だろうか。
それからパシッという音がしたと同時に、何者かに手をつかまれ、乙葉はそれ以上落下しなくなった。
(あれ……私、どうして空中で止まってるの?)
目を開けて上を見ると、そこには、ジェットコースターの近くにくることを、あれほどいやがっていたルーカスの姿があった。
ルーカスは、乙葉の手を、しっかりとつかんでいる。
「ルーカス……!」
乙葉はそんなルーカスを見上げて、おどろいて目を丸くした。
すると、下からみんなの声が聞こえてきた。
「まあ! みんな、あれ見てよ! あそこにいるの、ルーカスだわ! ルーカスがお姉ちゃんを助けてくれたのよ!」
柚子が声を上げた。
「よかった……姉ちゃん、助かったんだな」
銀司が言った。
「よかった! よかったよ!」
両手を挙げながら、内田が歓声を上げた。
下にいる三人が、持っていたマットを放り投げて大喜びしている中、レールの上にいる京一も、
「よくやった! ルーカス」と言って、一人ガッツポーズをしていた。
内田が叱責した。
乙葉の落ちている地点から地面までは、まだ距離があり、落下するのも、まるでスローモーションのように、乙葉にはおそく感じられた。
(私、死ぬのかな……?)
目をつむりながら地面に落下している最中、乙葉はそう思った。
これからしたいことやしなければならないと思っていたことは山ほどあるのに。それなのに死ぬなんて、絶対にいやだ。
「まだ、死にたくない」
そう呟くと、乙葉の目に涙が浮かんだ。
「死ぬのはまだはやいよ!」
おかしい。ここは空中なのに、誰かの声が近くで聞こえる。死ぬ前の幻聴だろうか。
それからパシッという音がしたと同時に、何者かに手をつかまれ、乙葉はそれ以上落下しなくなった。
(あれ……私、どうして空中で止まってるの?)
目を開けて上を見ると、そこには、ジェットコースターの近くにくることを、あれほどいやがっていたルーカスの姿があった。
ルーカスは、乙葉の手を、しっかりとつかんでいる。
「ルーカス……!」
乙葉はそんなルーカスを見上げて、おどろいて目を丸くした。
すると、下からみんなの声が聞こえてきた。
「まあ! みんな、あれ見てよ! あそこにいるの、ルーカスだわ! ルーカスがお姉ちゃんを助けてくれたのよ!」
柚子が声を上げた。
「よかった……姉ちゃん、助かったんだな」
銀司が言った。
「よかった! よかったよ!」
両手を挙げながら、内田が歓声を上げた。
下にいる三人が、持っていたマットを放り投げて大喜びしている中、レールの上にいる京一も、
「よくやった! ルーカス」と言って、一人ガッツポーズをしていた。
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