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6 乙葉大ピンチ

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 乙葉がなだめた。
「そうだ、ルーカス。城の中のどこに鍵があるのかも教えてくれない? そしたら、探すのも手っ取り早いし」
「それは、僕にはわからないよ」
 ルーカスが答えた。
「本当に?」
 柚子が疑いの目をして尋ねた。
「また嘘ついてるんじゃないの?」
「これは本当だよ」
 ルーカスが断言した。
「なんだかあやしいわね」
 あいかわらず、柚子は疑ってルーカスを見た。
「本当だもん」
 そう言うと、すねたように、ルーカスが頬をふくらませた。
「そう……なら仕方ないわね。そこまでいうなら、ルーカスのいうことを信じましょう」
 あっさりと乙葉が言った。
「え? いいの? お姉ちゃん」
 意外だというように、柚子がおどろいて言った。
「いいのよ」
 乙葉が言った。
「とにかく今日は、小屋にもどって休んだ方がいいわ。もうすぐ日も落ちてくるころだし」
「乙葉の言うとおりだな。今日はここまでにして、小屋にもどろう」
 京一がそう言うと、みんなは納得してうなずいた。
 今回も鍵はダミーだった。ここまでくると、城にある鍵も本物かどうかはあやしい。でも、本物の鍵がある可能性がすこしでもあるならば、そこがたとえバーサークのいる危険な城だとしても、いくしかないのだ。
 なにしろ、もうほかに鍵を探す場所は、この園内にはないのだから——。
 乙葉たちは果たして、この遊園地の外の世界に、無事にもどることができるのだろうか。

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