こぼれ話(人はこもごも)

びっと

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徳太郎さん

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徳太郎さんは石屋のご主人、おもんさんの旦那様です。

私とは血がつながっていない、しかし私たち家族にとっては原点ともいえるご先祖様。
なにしろ名字をいただいてるし。

ご出身は静岡の海の方。
これも珍しい。
われら農民、みんな近所の親戚同士で結婚してます。
おもんさんと、おかよさんは従姉妹だし。
賢三さんと志乃さんはハトコ同士になります。
どうして、おもんさんと結婚したかは不明。

徳太郎さんはもともと静岡で石屋さんをしていました。
その頃は、そこの地域の方たちは、皆さん同じ宗教に入っていました。
徳太郎さんももちろん入っていました。その宗教は高額なお布施を要求してきました。何度も何度もお布施を払い、とうとう徳太郎さんは破産してしまいました。


徳太郎さんは、キレました。


徳太郎さんは、フザケンナコラーと祭壇を海に投げ捨てました。(今なら不法投棄)
そして上京。東京で、また石屋をはじめることにしたのです。

わが家のお墓には、石屋のお抱え職人が作った竜の意匠を施した線香入れが置かれています。
名残ですな。


そして、もうひとつ。

私がカラダがかゆくて、引っ越し先の皮膚科にはじめて行ったときのこと。
医者に「あなた静岡の出身?」と聞かれました。
どうやら私は、カラダを掻くことを「かじる」と静岡の方言で言ってたらしいです。
これも徳太郎さんの名残ですな。
    
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